第21話 表もあれば裏もある!?ダブル『凛』の日常!!(21)



「せやで、凛!わしのことを思うなら、朝霧はんへの報告せんといてぇー!!」



(仕方ないなぁー・・・・)




手を合わせる相手に、じぶしぶ、自分を納得させる。




「わかりました・・・発信ボタンを押す前でしたので、やめておきます・・・」


「うはははは!うんうん、それでええんや♪ちゅーことで、みんなで仲良く合コン行って彼女作ろうで!」



「「「「「みんな?」」」」」






ヤマトの発言で、私を含めた全員が固まる。




「なんや凛、忘れたんか!?わしら以外も誘ってええっちゅーとったやん!?」


「それはそうだけど・・・円城寺君達、来る?」




付き合いが始まったばかりで、みんなが女子に対してどういう考えかわからない。




「はあ?合コンに来いだぁ・・・・!?」


「俺ら硬派ヤンキーが、『龍星軍メンバー』が合コンですか~?」


「その言い方やめろ、円城寺、長谷部!凛さんは、五十嵐を思って言ってるだけだろう!?ここは・・・折れるしかないだろう?」


「そうだな・・・2人だけってのも、ハーレム狙いで印象悪くなるからな。俺、付き合ってもいいぜ?」




にらみ、あざ笑い、遠まわしに言って、渋々答える4人。




(・・・・みんな・・・・・硬派ヤンキーは、合コンが嫌みたいね・・・・)




〔★わかりやすいリアクションだった★〕




「ラジオのため、凛の道のメンツと龍星軍の立場を考え、今回は参加してやる。」


「うわー上から目線でありがとう~円城寺君。」


「うははははは!ラジオってわしのこと?」


「あーあ!面倒くせ~!まぁラジオ君のおかげで、桃山女学院の女を見物できると思えば、自慢話になるよな~」


「なぁ、わしのこと!?なぁなぁ??」


「秀は切り替え速いな~俺は女のご機嫌取る話ができるかどうかで、焦ってんのにさ~騒音男のおかげで、いい迷惑だぜ!」


「なぁなぁ、それもわしのことー?」


「馬鹿野郎、テメーら!男が女に媚びてどうする!男らしくふるまってこそ、凛さんはますみって女を惚れさせ、サングラスの馬鹿のために自己犠牲を持って、合コンの参加を決められたんだぞ!?!やっぱり、硬派が世界を平和にするんすね、凛さん!?」


「世界平和はともかく、僕とますみちゃんは赤の他人ですから。」


「うはははは!誰も本名で呼んでくれへんのなぁー!」





ヤマトの言い分もわかるが、乗り気じゃない4人に不安を覚える。



これで合コンに参加していいのか、と。




(こういう時、カンナさんがいれば頼もしいのになぁ~)




「そういえば、カンナさんはどうしたの?今日は来ないんですか?」


「あ!?カンナ、だと?」




私の問いかけに、ビクッとする円城寺君達。


互いの顔を見あった後で、全員を代表して円城寺君が言った。



「いや、あいつは~単車のメンテナンスで、百鬼さんのところへ~」


「行ってるの?まさか、1人?」


「なんか問題あるか?」


「いや、催涙スプレー持って行ってますよね?」


「なに『虫よけスプレー持った?』みたいな口調で言ってんだよ!?」


「何かあっては困ると思いまして。」




〔★何かが起きる前提だった★〕




「確かに、百鬼さんは女癖が悪い!だからって、カンナのことまで心配するな!」


「それ、刑事事件だと、立派な証拠ですよ?」


「先輩を犯罪者にしてんじゃねぇぞ!カンナはそういう目で見られるのが嫌いだって知ってるから、そういう目で見ないって百鬼先輩も言ってんだよ!」


「署名となつ印はもらってますか?」


「疑りぶけーなこの野郎!むしろ、百鬼さんには合コン話するなよ!」


「話さないけど、なんで?」


「あの人、合コンあらしで有名なんだよ!」


「あれが合コンあらし!?」



(瑞希お兄ちゃんよりも劣るのに!?)




〔★モテる要素がわからない★〕



驚く私に、悠斗君はさらなる情報をくれた。



「そうだよ!むか~し!俺らの一個上の先輩カップルが、百鬼さん合コンに呼んだんだよ!そしたらよ~」


「どうなったんです?」


「参加した女全員と肉体関係を結んだ挙句、先輩カップルの彼女までお持ち帰りしやがったんだよ!」


「野獣じゃなくて、性獣(せいじゅう)じゃない!?」



(どれだけ肉食系なの!?)




〔★男女交際もワイルドだった★〕




「その噂・・・俺も聞いたことあります。」


「可児君!?」


「飲み会の会場だった居酒屋に居合わせた合コングループへ乱入し、店出る時にはハーレム状態で女共をお持ち帰りしたそうです。その様子を見送る合コン参加メンバーの男達があまりにも哀れだったと・・・・語り継がれております。」


「なにしてんの、あの人!?どんな伝説作ってるの!?」




〔★ロクでもない武勇伝だ★〕





百鬼の話を聞き、ヤバいと思ったのは私だけじゃなかった。



「おお!?いかん、いかんぞ、凛!百鬼はんにもしゃべったら、あかーん!」


「ヤ、ヤマト!?」




浮かれていた男が、初めて慌てだす。




「いくら草食系男子が増えたとはいえ、やりすぎやで!!超危険な肉食系が身近に存在してるやんか!?」


「いや、あれは雑食でしょう?それも肉食じゃなくて、野獣系?まぁ主食は肉ですけど。」


「そうかもしれんけど、問題はそこちゃう!絶対に、言ったらあかん!次の日曜日、午後6時に猫の群れの銅像の前で会うまで、合コン話は他言無用や!!内緒やで!!?」


「わ、わかりました・・・」



私の両肩をつかみ、ただならぬオーラを出しながら言うヤマト。



(さっきとも違う威圧感(いあつかん)・・・本当に本気で、恋しちゃったのね・・・・)



私が逆の立場でも、そうするけど・・・・


必死過ぎる男に、首を縦に振るしかなかった。




〔★Yesとしか言えない空気だ★〕




「大河君も!カンナはんに言うたらあかんで!?女の子はおしゃべりな生き物やさかいな!?」


「え!?カンナさんにも内緒!?」


「はあ?言われなくても、言うわけねぇだろう?」


「え!?言わないの、円城寺君!?」


「言ってどうすんだ、凛道?まさか、連れてく気だったのかよ?」


「いや、そうじゃないけど・・・仲間はずれにしてるみたいで・・・」


「お前さ、いつもカンナを意識した発言してるけど、気があるのかよ・・・!?」


「あるわけないでしょう、悠斗君?僕は友情の線引きはちゃんとできてるんです・・・!」


「うっ!だ、だったら、いいけどよぉ~」




疑う相手に、疑いの余地がないよう言い返せば、すねながらも納得してくれた。





「ほな、来週は桃山女学院の子らと合コンや~!みんな、おきばりやす~♪やで!!」


「けっ!凛道とラジオのために、一肌脱いでやるか?」


「しかたねぇなよ。凛道1人にも、ヤマトと2人にもできないからな。」


「うははは!それほどでも~あづは~ん!ゆうはん!」


「それが俺の呼び方かよ?」


「誰が晩飯だ、ボケ!!」


「凛さんのためとはいえ・・・自分、硬派なんで、凛さんをガードすることに努めたいと思います。」


「うはははは!ちなみにこの合コン、飲み食いは男が5000円以上はかかるところらしいでぇ~!財布、忘れたらあかんで~!」



「「「「「高っ!」」」」



「相手が桃山女学院の御嬢様ですからね・・・。」


(というか、私も男性料金で払わなきゃダメなのかな・・・?)




〔★当然である★〕




周りとは違った意味で、値段を気にしていれば、陽気な関西男子が言った。




「それで彼女が出来るなら、安いやんけー!」


「そ・・・そうだな。相手は最高級品・・・!」


「食い物みたいに言うな、秀!高価な単車だと思え!」


「それはそれで、下ネタにもつながるだろう、悠斗!」


「爆裂弾はいい気なもんだぜ。少しは凛さんをお守りをすることをなぁ~!」


「可児君、僕のことは良いから、食べることに集中してください。僕は顔合わせが済んだら、隙を見て離脱しますので。」


「なんでそうなるんだよ、凛!」


「合コンに集中しろよ、凛君!」


「そんなに嫌なのに参加するって・・・・」


「ケッ!よっぽど、ラジオ野郎が気に入ってんだろうなー?」


「嘘だー!凛さーん!!」


「うははは!あーはよう、あの子に会いたいわ!待ち遠しいで~!」


「あ。ねぇねぇ、ヤマト。合コンの話、瑞希お兄ちゃんになら、言ってもいいよね?」


「あかんて。」




こうして、人生初の合コンに、『男の子』として参加が決まりました。





〔★瑞希との時間が減った★〕







~表もあれば裏もある!?ダブル『凛』の日常!!~完~








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