第19話 表もあれば裏もある!?ダブル『凛』の日常!!(19)




私達のやり取りに、ますみちゃん以上にその友達が騒ぎ出す。




「ええ!?それだと、ますみがフラれたってこと!?」


「うそー!?あのますみが?」


「告って、断われたのぉ・・・!?」




「あーあ、バレちゃった!でも・・・・・いいじゃない?」





驚く親友達に、開き直ると彼女は言った。






「ヤマト君が言うように、恋愛の神様は気紛れ。あたし、絶対に蓮君の彼女になるからね?」


「見込みないのに強気発言!?」


「ウフフフ♪絶対に、あたしのこと、好きにさせちゃうんだから!」





そう言って笑うと、つま先立ちしながら言った。





「だから蓮君も、ヤマト君以外のお友達を誘ってきてね?待ってるよ~♪」



チュ♪



「へ?」




耳元でますみちゃんの声がしたと思えば、目元に何かがあたる。









「・・・・・・・・・・・・え?」


「えへへへ!初キスしちゃった~!」







(なっ・・・・・・・・・・!?)





そう言って、やっと私の腕から離れた彼女は、頬を染めながら嬉しそうにしてる。





「ああ~!?ええなぁ~凛!ほっぺにチューしてもらえて!」


「ちゅ・・・?えええええええええええええええ!?」





ちゅーしてもらえて!?


今、ちゅーしてもらえてって言った!?



(てか、私ちゅーされたの!?)




カーッと顔がが熱くなる。


戸惑いと、驚きと、同性とはいえ、こんな可愛い子にちゅーされたことで混乱する。



(人前でなんてことをッ!?)



〔★凛の恥じらいが発動した★〕




ギクシャクしながら体をのけぞらせれば、私を見ながらますみちゃんは笑う




「きゃははは!顔真っ赤~凛君カワイイ~!」


「かわ・・・はあ!?まっ、ますみちゃん!?」




ちゅーした犯人を見れば、友達の輪の中で満足そうにしていた。


目が合えば、ウィンクしながら手を振られる。





「じゃあね、蓮くーん♪またねぇ~?ヤマト君も、メールするからぁ~よろしくぅ~♪」


「ちょ、はああああ!?ホントのホントに、勝手に決め過ぎで~~~!?」


「うはははは!必ずするから、みんなで、来てやぁ~♪」


「って、やまとぉぉぉぉぉ!?」


「うふ♪もちろんよ~!必ず蓮君と一緒に来てねぇ、ヤマト君♪」


「だから、本人の同意を無視して決めるのは~」


「あとねぇ~蓮くーん!ず~っと気になっててぇ~蓮君に、聞きたいんだけどォ~~~~~!」



たっぷり間を置くと、極上の笑みでますみちゃんは言った。




「蓮君の後ろにいる人達は、お友達~?」



「お友達?」



「うふふふ♪まぁいっかぁ~じゃあねぇ~蓮君!ヤマト君もね!」


「うはははは!おおきにぃ~!楽しみにしとるでぇ~~~!!」






可愛く微笑んで去って行くますみちゃん達へ、熱心にデレデレ顔で手を振っているヤマト。


そんな友達よりも、気になったのが・・・





「後ろ?」





と言ったますみちゃんの言葉。




さっきまで、後ろにいたはずのヤマトは、今は私より前にいる。



(それがどうして、『後ろにいる人達』って・・・・・・・)






「誰?」


「俺だ。」






振り返って尋ねれば、後ろにいた人が低い声で答えてくれた。







「凛道テメー・・・・!瑞希さんの店舗兼住宅で、なに恥ずかしいことしてんだよっ・・・・!?」


「・・・・・・・円城寺君。」







いつも通り不機嫌な顔で、メンチを切りながら私を見ている制服姿のお友達。


それだけでも、困っちゃうのに。





「凛さん!?どういうことです!?硬派であるはずのあなたが、合コンって!?」


「凛!今のは、桃山学院の生徒だろう!?」


「お前、見かけによらず、たらしなのか・・・・!?」



「可児君、悠斗、秀君・・・・」




全員勢揃いで、固まっている東山高校の男子達。






「説明してもらおうか、総長・・・・!?」


「は、話は中で・・・・!」






眉を吊り上げながら言う円城寺君に、また嫌われちゃったと悟る私。


そこにカンナさんがいなかったことで、自分が不利な立場にいると思い知らされた。





〔★凛の修羅場は続いている★〕







CLOSEの札がついたままのお店の中、ある意味、私もCLOSEしそうだった。





「じゃあ、なにか?瑞希さんの職場でブラコンプレーをする前に、桃山の女を下心で助けてたのかよ!?」




閉店時は、自由に使っていいと言われている1階の店内。


そこに設置されているうちのテーブルの1つに、私と円城寺君が向かい合わせで座っていた。


尋問でもするように言ってくる円城寺君に、つかれる思いで説明を続けていた。




「プレーって円城寺君・・・・僕は瑞希お兄ちゃん同様、善意で助けただけだよ。」


「そのお礼で、合コンってなんだ!?レベルの高い桃山女学院を、自主的に助けたかいがあったな!?」


「どこが!?完全に、戦力外通告されてたって話したよね!?渋々助けただけなんですけどー!?」


「お前よぉ・・・硬派のくせに、4代目総長でありながら、女遊びとはいい度胸だな・・・!?」


「遊んでないって!むしろ、ヤマトが無理矢理~」



「うはははは!可愛い子がおったねん!」




そう言って、私の隣でニヤニヤしてるのが、合コン参加の原因になった人物がいた。






「五十嵐(ごじゅうあらし)!このラジオ野郎!テメーどういうつもりだ!?」


「恋のつもりや~!」






ピリピリする円城寺君に、デレデレしながら語るヤマト。




「めっちゃ、ドストライクで好みやねん~!あの綺麗な茶髪!マッチりとした目!ええわぁ~」


「そんな子いたか~秀!?」


「茶髪はいたぞ。」




うっとりしながら語るヤマトに、円城寺君の両脇にいた2人が話し出す。




「髪の長さはバラバラだったが、似たようなもんだぞ。6人いて、4人が茶髪だった」


「え!?1人足りないぞ!?7人だったじゃんかー?」


「ますみって子は、カウントしちゃダメだろう?凛君狙いだからな。」


「じゃあ、そのうちの誰かですね・・・」




〔★ヤマトの相手をしぼりこめた★〕




「けど1人、えれーブスがいただろう!?」


「ああ、いたな~あの女をのぞけば、3人だな。」


「失礼ですよ、悠斗君、秀君。」




〔★さらに相手をしぼりこめた★〕





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