第17話 表もあれば裏もある!?ダブル『凛』の日常!!(17)




ますみちゃんの声に、数人の高校生がやってきた。


無表情で迫ってくる姿が怖い。




「どちら様・・・・!?」


「知りたい~?」




そうつぶやけば、腕を引っ張られた。


思わず視線をそちらへ向ければ、ますみちゃんがニヤリと笑う。





「ますみの親友達だよ?」




「親友達!?多すぎでしょう!?」


「なに!?あの可愛い子もか!?」






同じ言葉を聞いたはずなのに、私とヤマトの感想はわかれた。




「え!?多いかぁ~凛!?ええやんけぇーかわぇぇやん!かわぇぇなぁ~わかわええ!」


「え!?これぐらいが普通なの、ヤマト?てか・・・可愛いを言いすぎだよ?」




デレっとした顔で、桃山女学院の生徒を見るヤマトを見て思う。




(そういえば、どういう子がタイプか聞いてなかった・・・)




〔★後回しにしていい疑問だ★〕





固まる私達に、やってきた女子高生の1人・・・アイラインの濃い女の子が言った。





「ますみ~凛道蓮君は、どうしたの?だれ、そいつら?」


「やだなぁ~マイマイ!えへへへ!彼が凛道蓮君♪」


「え!?この子が!?」



「「「「「あの凛道蓮!!?」」」」」



「そっちのサングラスの彼が、同じ龍星軍の『[あらしやまマヤマト』君だよ!」


「どーも、凛の同級生でぇーす!!」



「「「「ええええ!?同じ年ぃ!!?」」」」



(その言い方・・・私を年下と思っていたわね・・・!)




年齢はともかく、凛道蓮ではないと思われていたのは間違いない。


能面みたいだった顔だった女子高生達が、ますみちゃんの紹介を受けて動き出した。




「え!?すごーい!本物!?」


「めっちゃ可愛い!写メってもいいですかー!?」


「凛道君の武勇伝、聞いてますぅ~」


「すごい可愛い~!女の子みたーい!」



「そ、それはありがとう・・・・!」




無表情が一変し、キャッキャッと大騒ぎする女子の群れ。


テンションが上がったのは彼女達だけじゃない。




「きゃ~凛道君以外の龍星軍、初めて見ました~」


「うははは!いやぁそれほどでも~」


「背が高くて、頼もしい~!えっと、あらしやまくんですよね?凛道君とは同級生?」


「うははは!いやぁ、なんのなんの!」


「サングラスがお似合いです~あらしやまくん!」


「うはははは!!わし、こんなに女の子にモテたの初めてやで、凛!?」



「そうやって喜ぶ前に、間違った名前で紹介されてることを指摘しなさーい!」




〔★ヤマトが一番うるさかった★〕





私の注意もどこ吹く風で、女子高生に囲まれ、ご機嫌になるヤマト。


そのハイテンションに気づいたのは、私だけではなかった。




「アラシヤマクン・・・・あたしの友達、可愛いでしょう?」


「は!?なに言いだすんですか、ますみさん?」


「ますみちゃんでいいよ、蓮君!ねぇ、どうなの、アラシヤマくん!?」


「ますみちゃん、あらしやまじゃなくて、ごじゅうあらしだよ。」


「うははは!どっちでもええやんけー!」


「よくない!自分のことでしょう!?」


「それより凛!あの子、可愛いと思わんか~!?」


「は?」




私の言葉に返事をしなかったと思えば、ゆるんだ顔で私に聞いてくる。




「あの子って・・・?」


「ば!声おおきいでぇ~!可愛い子見てるやんか~!わしのタイプやねん!!」


「って、君の声の方が大きいよ!?え!?好きなタイプがいたの!?」


「うははははは!はーずかしーい!!」




〔★浮かれていた理由がわかった★〕






「す、好きなタイプって・・・・」


「うはははは!」




間違いない。


こんなに照れているから、間違いない。




「ますみちゃんの・・・お友達の中に、良い子がいたの?」


「うは!うはははは!」




頬を染め、両手を手で覆いうなずく姿。



絶対、間違いない!






「あかーん!一目惚れや!」


(恋に落ちた!?)





どうやら、好きなってしまったらしい。




〔★想像以上のスピードだ★〕




「嘘でしょう、ヤマト!?」


「嘘やあらへん!どないしょー!?」


「どないしょーって、僕が、どないしょーだよ!?」


「あかん!これ逃したら、告白できへんかも!女子高生彼女へのプレゼントは、ブランド物の財布しかあかんてホンマ!?」


「知らないよ!てか、僕の背後に隠れて、僕の肩に顔を埋めて、恥ずかしがるはやめて下さい!!」


「自分、意外とええにおいやなー?女子高生は、ブランド品しか受け付けんちゅーのは、ホント!?」


「俺が知るかぁぁぁ!」




〔★聞く対象ではある★〕




彼氏からのブランドものなんて!


彼氏はいなかったし、恋人もいないしで、むしろ私が瑞希お兄ちゃんの嫁になりたいって言うのにさ!




〔★凛の心は荒れている★〕





「おい、ヤマト!落ち着いてくれ!みんな見てるからさ~」


「あかん!凛と一緒やから目立つねん!素の僕は静かでーす!」


「もっと騒がしいでしょう!?」



「ねぇ、話し戻していいかなぁ?」





私達のやり取りに、私の腕から離れずにいた女の子が言った。




「だいたいのことは、わかったよ~?」


「ますみちゃん。」


「誰とは聞かないけど~ごじゅうでらくん、あたしの友達に興味アリ?」


「ありまっす!!」


「即答!?その前に名前が違うって言いなさい!ごじゅうあらしだよ!」


「きゃは!ごめ~ん!長くて覚えられなくって~ヤマト君でもいい?」


「ええよ!ええよ!さっそくやけど、ますみちゃんのお友達とメアド交換してええ!?」


「早速すぐだろう!?何言ってるんですか!?」


「せやから、可愛い子がおるねん!あ、見てみ!微笑んでるわ!」


「どちらかといえば、笑われてますよ!?」




目だけでチラッと見れば、ニヤニヤしながら私達を見ている。




(女子高生・・・集団で群れを成す生物にして、私がこの世で一番苦手な種類・・・!)




〔★凛も女子高生だ★〕





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