第15話 表もあれば裏もある!?ダブル『凛』の日常!!(15)




私の説明に、ヤマトが興奮気味に叫ぶ。




「うはぁあああ!てことは、可愛ええ子がぎょうさんおるんかい!?」


「そういうことです。現にこの子は、可愛いからね・・・」


「きゃ!可愛いだなんて~」




私の言葉に、なぜか体を近づけてくる女子高生ますみちゃん。




「ますみねぇ~いろんな人に聞いて、ますみを助けてくれたのが、あの最強暴走族『龍星軍』総長の『凛道蓮』さんだって聞いてここに来たの!」


「え!?僕の居場所って、そんなに簡単に特定されてる!?」


「そら、凛がおるんはここぐらいやで~!?」




〔★あまり隠せていなかった★〕





「てことは、凛にお礼でもするために来たんか!?まゆみちゃん!?」


「ますみです~あなたは、彼のお友達?」


「せやねん!わし、こういうもんですぅー!」



そう言って名刺を差し出す。


ゲームセンターで作ったという名刺をだ。




「なにこれ・・・『いがらしやまと』?」


「ぶっぶーっ!苗字が違うわ!不正解やから、凛は没収やで~」


「え!?」


「ええ!?ヤマト!?」




そう言うと、バイクを止めたまま、私をつまみ上げるヤマト。




〔★凛はつままれた★〕




「ちょ、何の真似だヤマト!?降ろしなさい!」


「せやけど、彼女間違えたヤン?」


「ええ!?ますみのせい!?」


「違うから!そんなことないよ!ヤマトも、巻き込むんじゃない!」


「せやけど、正解せん限り、凛はこのままやで!?それがこのゲームのルールや!」


「なんの罰ゲームだ!?」




〔★いつの間にかスタートしている★〕





「え~問題難しすぎる!ヒントちょうだい!」


「って、君も参加しないで!」


「あかん!ヒントはなしや~不公平になるからな?」


「何の不公平だ!?」


「じゃあ~キャンディーあげるから、教えて!」


「あ、カルピスソーダ味やん!?わし、本名は『ごじゅうあらしヤマト』ゆーねん!あゆみが丘学園の1年生やで!」


「って、答えを言っちゃってるよ!?」




〔★アメひとつで暴露した★〕





「はいはーい!答えは、『ごじゅうあらし』でーす!」


「って、君も!答えを聞いた後から答えを言ってもだめでしょう!?」


「うははは~!よーいえましたー!正解やから、おろしたるわ!」


「君もだ!降ろすのか、ヤマトー!?」


「うははは~!」




〔★あっけなく終わった★〕





「よかったぁ~!景品ゲット~」


「よくない!僕の腕を持ちながら言わないで下さい!」




地上に降ろされてからも、ツッコミが絶えない。


まるで、人を戦利品のように扱う女の子に私は言った。




「ますみちゃんだっけ?お礼の気持ちは伝わったので、お引き取り下さい。」


「え!?帰れってゆーの?」


「言ってます。」




うるんだ目で言う相手に、正直に伝える。




「僕は龍星軍の総長。あまり、関わらない方がいいですよ?」


「うはははは!せやでー!なんや、アジア系のヒットマンに狙われとるって、百鬼はんが言うとったでー!」


「それは聞いてない!?」


「聞いてないの!?」




〔★ヤマト以外が驚いた★〕




「ヒットマンて、蓮君・・・!?」


「う、いや、その・・・・詳しいことはわからないけど、こんな感じで狙われてるんです。だから、用が済んだら帰ってください。交番に近い帰り道を教えますから。」


「ええ!?そういう親切、初めてなんですけど!?そんな・・・じゃあ、あたし蓮君にお礼できないの・・・?」


「え?お礼の言葉を言ってくれたじゃないですか?」



「そうじゃないよ!」




大声で叫んだかと思うと、いきなり正面から抱き付いてきた。




「うわぁあああああ!?」


(胸があるのがバレる!?かも!!)




ドン!




「きゃん!」


「お、危ないでー!?」




思わず、突き飛ばしてしまった。


さいわい、ヤマトがキャッチしたので怪我はなかった。


女子高生に、怪我はなかったけど。




「れ、蓮君・・・・?どうして・・・!?」


「え?」


「ぐすんっ・・・・ますみが、そんなに嫌いなのぉ~?」


「ええ!?」




身体は傷つかなかったが、心を傷つけたらしい。




〔★女子高生は泣き出した★〕





しくしくと泣く相手に、大慌てで私は謝る。




「ご、ごめんなさい!悪気はなかったんです!」


「ひどいよぉ~うぇーん!」


「うははは!泣かしおったわ!やーい、やーい、女泣かせぇ!」


「お前どっちの味方!?いや、その、ますみちゃん、ごめん・・・!僕、女の子には慣れてないと言うか~」


「え?」




苦し紛れで言った言葉で、彼女が泣き止む。





(あ、なんとかなりそう・・・・?)




「女の子・・・・苦手なの?」


「いや、苦手と言うか~僕、硬派だから!わかるよね?あはははは!」




(なにかあれば、『硬派』といえば、大体の人が納得すると瑞希お兄ちゃんも言っていた。)





〔★凛はさっそく実行した★〕




教えを頼りに言ってみる。


それで相手の態度は変わった。





「そうだったんだ~!ごめんね~ますみ、勘違いしちゃった!」


「え!?わかってくれましたか!?」


「もちろんだよ~♪」




(よかった・・・!)


諦めてくれたみたいねー・・・



やっぱり、瑞希お兄ちゃんの言うことに間違いはない。




「てっきり、ますみのことが嫌いだと思って・・・」


「そ、そんなことないよ。嫌う理由もないし~」


「ホント!?」




間違いはなかったが・・・・






「じゃあ、ますみと付き合おう!」


「は?」


「えへへ~♪ますみ、蓮君のおかげで、男の子を見る目が変わったんだよぉ~!女の子になれてないなら、ますみで試してみよう?ますみの彼氏になってくださ~い!」


「はああああ!?」




とんでもない問題が起きる。







「つ、付き合ってって・・・!?」



(しかも、彼氏!?)






「ねぇ、いいでしょう、蓮君?ますみを、凛道蓮君の彼女にしてぇ~!!」




〔★交際を申し込まれた★〕





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