第14話 表もあれば裏もある!?ダブル『凛』の日常!!(14)




本日、2度目の着替えを終え、単車で待っているヤマトの元へ戻る。




「早かったのぉ~凛!?」


「君を野放しに出来ませんからね?」




モニカちゃんデザインの凛道蓮スタイルで、装いを新たにビシッと決めた。




「あと、ジャージとベルトをありがとうございました。」




ロッカーに入れていたエコバックを差し出しながらお礼を言う。




「なんや!?わざわざ、袋に入れてくれたんか!?」


「本当なら洗濯するところですが、ひとまずは、まとめておきましょう。このエコバックはあげます。買い物するなら、こういうのが便利ですよ。1人暮らしなら節約も必要ですから。」


「さっすが、総長!!気が利くでー!」


「声が大きいですよ!早く行きましょう!」


「うはははは!ほな、しゅっぱーつ!」




けげんそうにする若者達の視線をさけるに、私を乗せたヤマトのバイクは再び走り出す。



「どうや!?わしの家に寄ってくるルートは!?」


「このペースだと、かなり時間の節約になります。」




実際、計ってみたけど、水分時間が節約できた。


これなら、今後はヤマトの家を経由して凛道蓮になった方が良い。




「ヤマト、本当にありがとうございます。」


「水臭いで!ツレなんやから!」


「はい。」


「返事はもっとフレンドリーや!」


「うん!」


「ごーかく!うはははは!」




楽しい気分で身を任せる。


通過していく景色は見慣れたものだったが――――――――




「凛、凛、りーん!もうすぐ着くんやけどっ!」


「はいはい、わかってますよ。バイクは、ガレージに入れて下さい?僕も鍵を持ってますから、心配しなくても開けてあげ――――」


「うはははは!営業しとらんのに、女の子がおるでー!お店の前に!」


「え!?お客さん!?」




キキッ!




そう言ったヤマトの言葉に合わせ、急停止するバイク。


その音に反応して、人影が動く。




(参ったな、まただわ・・・・)





私達がいるお店『felicita(フェリチータ)』は、瑞希お兄ちゃんの店舗兼自宅になっている。


バリスタ見習いである瑞希お兄ちゃんは、時間が出来れば、勤務先で学んだことを生かして、自分の臣である『felicita(フェリチータ)』を開けていた。


見習いということで、値段も低価格。


しかし、仕事の合間に開けているのでは超不定期だった。



時々、開いてるかもしれないと思って、来ちゃったお客さんと遭遇する。




(基本、コーヒー入れる人がいないと・・・・瑞希お兄ちゃんがいないと開けられないんだよね~)





申し訳ない気持ちいっぱいで、バイクから降りる。


そして、お店の開店を待っている人に、謝ろうとしたのだけど。





「やっと見つけた!」


「は?」


「うは?」



見つけた?




「「誰を?」」




声を合わせ、お互いを見ながら確認し合う私とヤマト。


そんな私達に、声をかけた人が言った。





「誰って、あなたのことよ!ほら、マスクしてる可愛い彼氏!」


「え!?僕!?」


「そうよ~この前は、助けてくれてありがとうー!」




そう言って駆け寄ってこられ、思い出す。




「あ!?君、あの時の!?」




(瑞希お兄ちゃんの働くお店の前で、人を見た目で判断して、私に渋々助けを求めた人!)




〔★失礼な人だった★〕




「どうしてここに・・・・!?」


「決まってるでしょう!お礼をしに来たんだよ~凛道蓮君?」


「なぜ僕の名前を!?」


「だーかーらー!あれから探したの!」




気持ち悪いと思ってる私に飛びつくと、上目遣いで彼女は言ってきた。





「あの時はごめんね~頼りにならないって思っちゃって・・・でも、違ったね?すっごくかっこよかった!」



(今さら言われても・・・・)




〔★第一印象を直すのは難しい★〕





言いたいことはあったけど、口に出すと面倒なことになるのはわかり切っていた。


だから愛想よく、平気なふりをして言った。



「い、いや、気にしなくていいんですよ?見た目で判断されることが多いですから。」


「ホントに・・・?傷つけたと思うのに、ごめんねぇ~?」




目を潤ませながら言ってくる相手に冷や冷やする。




(どうしよう、泣かれたら困る!)




「気にしないでください!本当にいですから。」


「うん・・・なんか、蓮君って優しいね~?」


「え?蓮君?」


「あ!ごめん・・・馴れ馴れしすぎた?」


「そういうわけでは・・・」



(むしろ、聞きなれていない。)



適当に名乗った名前とはいえ、みんな私を『凛』と呼ぶ。


例外として、きちんと『凛道』と呼ぶ人もいれば、『凛助』と命名する人もいる。




「うははは!凛!凛!!誰や、この御嬢さんは!?」




私達のやり取りを見ていたヤマトが、バイクの上で叫ぶ。



バイクも置きに行かないで、なにしてるの?


あ、いや、置きに行けないよね。


私が持ってるカギがないと、ガレージは開かない。


まだ開けてなかった。




「凛、誰やねん!?」


「えーと・・・・そういえば、誰?」


「そうなるよね~うふふふ!」




そう言うと彼女は、髪につけたピンクのシュシュをなでながら言った。



「助けてもらったのに、名乗るのが遅れちゃったよね?あたし、桃山女学院の一之瀬ますみ!高校1年生でーす!」



彼女の言葉にびっくりする。




「え!?あの桃山女学院の生徒?」


「うはははは!なんや!?女子校だっていう情報以外わからんわー!」


「あ、そうだね。」



わからないヤマトのために言った。




「桃山女学院は、由緒正しき歴史ある大和撫子のための学校で、お金持ちはもちろん、政界や財界、芸能界で活躍する女の子が通ってる幼稚園から大学まである女子校なんだよ。」




私の学校も似たようなものだけど、桃山女学院は女子だけ。


さらにいえば、女子に対して優しくて、自由な校風。


『女性の輝き』をモットーにしてるとかで、女磨きがすごいらしい。


よく、あそこはレベルが高いと騒いでいる男子達の会話も耳にする。



(別名、リアルアイドル学園・・・・)




〔★女子力の高い学校だった★〕





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