第3話 表もあれば裏もある!?ダブル『凛』の日常!!(3)




2人きりになったところで、瑞希お兄ちゃんが言った。




「たく・・・どこでどう間違って、俺が熱中症で入院ってことになってんだかなー?」


「それでいいんじゃないでしょうか?・・・ヤクザに薬を嗅がされたという方が、ややこしいですよ?」


「それもそうだな。それだけ聞くとロクでもねぇー誤解うけそうだ。」




そう、少し前まで瑞希お兄ちゃんは入院してた。


1日だけだったけど、この間まで通院してた。


事情は割愛するけど、体に害がなくて本当によかったと思う。





(あれぐらいですんでよかったよ・・・)





わからない人は、『彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)2』を読んでね♪




〔★宣伝を入れるな★〕





「本当に・・・瑞希お兄ちゃんが無事でよかった・・・」




そう告げて、ちょんと瑞希お兄ちゃんのシャツのはしをつまむ。




「ばか、あれぐれーで俺がへばるかよ?」




それに気づいた彼は、苦笑いしながら私の頭をなでる。




「俺のために漢見せた凛のためにも、お兄ちゃん、かっこつけなきゃダメだろう?初代龍星軍総長としてもさ?」


「そ、そんな・・・瑞希お兄ちゃんは、総長じゃなくなってからも・・・今もカッコいいです。」


「ははは!可愛い奴~!」




笑い声に合わせ、さらに頭をナデナデされる。




「ダメだぞ、凛?普段からそんなに可愛いのはー?だから会長も、凛をヤンキーだって思わなかったんだぞ~?」


「え?アイスを買いに行ってくださった会長さんですか?」


「おう!ありがたいし、元気なじーさんだろう?昔から、ああなんだぜ?」


「瑞希お兄ちゃんが、元ヤンだったのも知ってましたね?」


「まぁなぁ・・・悪いじいさんじゃねぇよ。」


「はい!良いおじいさんではありますが・・・・」


「どうした?なんか、あるか?」


「なにといいますか・・・」




悪いことではないと思うが、気になったことを伝えた。




「なんだか僕・・・・あのおじいさんに子ども扱いされているような気がしまして・・・・」


「そりゃあ、子供だろう?どちらかといえば、孫かな?」


「そうじゃなくて!高校生相手の対応じゃない気がしたんです!」


「うん、そうだったな。」


「え!?気づいててスルー!?」




〔★気のせいではなかった★〕





「あはははは!いいじゃんか?凛は、ちっちゃくて可愛いからさ~」


「ニタニタしながら言うのを、やめて下さいよ!僕、子供じゃないです!」




完全にからかいモードで、相手にしてくれない瑞希お兄ちゃん。




「別に、嫌われてはねぇからいいだろう?あのじいさん、気に入った奴にしかおごらないし。」


「じゃあ、おごってもらえてる瑞希お兄ちゃんは、気に入られてるんですね?」


「どうだろうな~?自分のことはわからねぇからよ!」


「絶対そうです!そう思って下さい!」





苦笑いする彼を、謙虚だと思う。





(そういうところも含めて、好きすぎる・・・・・・・!)





「あれで、人を女だとからかわなければ、もっといいんだよな~」


「あははは・・・美人姉妹にされちゃいましたね~」


「たく、誰が女だよ!?俺らは、兄弟だっての!なぁ?」





瑞希お兄ちゃんからの同意の言葉。


それに少し心が痛む。






「瑞希お兄ちゃん・・・」


「ん?どうした?」


「いいんですか?」


「なにが?」


「だって・・・・・・僕のことを、実の弟って言ってますけど、本当は他人じゃないですか・・・。」





瑞希お兄ちゃんは、僕のことを弟だと紹介してるけど、全然違う。


本当は、血のつながりなんてない他人同士。


だけど、この頃の瑞希お兄ちゃんは、僕を『自分の弟』だと言って紹介する。


決まって、兄弟だって言う。





「実際は、僕と瑞希お兄ちゃんは、仲のいい先輩後輩じゃないですか?」


「なんだよ、凛は嫌なのか?」





僕の言葉に、彼がこちらを見る。


不思議そうな顔をされたので、よけい困惑した。




「ち、違います!嫌じゃないですけど、ただ・・・」


「じゃあ、いいじゃねぇか?俺は凛のこと、本当に弟だと思ってる。それぐれー大事だ。」


「瑞希お兄ちゃん・・・」


「何年も前に、助けたことの礼が言いたくて、俺をずっと探してくれてたこと・・・。それを知った時、俺はすごくうれしかったぜ?」





6年前、家庭環境が嫌で家出した時、僕は瑞希お兄ちゃんに助けてもらいました。


彼は、名前も告げずに去っていき・・・それから僕は『みずき』という名前を頼りに探し続け、やっと再会できたのです。


一目で大好きになった真田瑞希お兄ちゃん。




瑞希お兄ちゃんは、僕のことを覚えててくたけど・・・・




私を見ながら、誇らしげに瑞希お兄ちゃんは言う。




「あの時の男の子が、俺も惚れちまうような【男】に成長して帰ってくるなんてよ~誰が思ってたことか♪」




(私、女の子なんだよね・・・・・・・・・)







お兄ちゃんには言ってませんが、本当の私は女の子。


本名は、菅原凛。


15時歳の高校1年生。


なぜ、偽名を使って、男のこと嘘をついて男装してるかというと、瑞希お兄ちゃんが間違えて覚えてたんだよね。




(私を女の子じゃなくて、男のこと勘違いしていたことが、すべての始まりだった・・・・)




女のことして瑞希お兄ちゃんと仲良くするはずが、なぜ、男として仲良くしてるのだろう・・・。




〔★残念な再出発だ★〕




当時も今も、ショートヘアーだったけど、あの時・・・・ズボンではなく、スカートをはいていれば、この間違いは怒らなかったんじゃないかって思うよ。


子供の時は、男女がわかりにくいけど。




〔★まちがいにも限度がある★〕





教えなかった私も悪いけど、話の流れでそうなったから仕方ないじゃない!?





(てか、初恋相手で片思いの相手に男子って言われるのは、かなりきついんですけど!?)





瑞希お兄ちゃんを探してたのは、助けてもらったお礼を言うためだけじゃない。




(初めて好きになった男性へ女の子として・・・・彼に告白するためでもあったんだけど・・・・!!)




〔★願いは叶っていない★〕





一目惚れした瑞希お兄ちゃんに会えて、仲良くなれたけど、恋は進展しない。


代わりに、弟として扱われ、兄弟愛を深めてしまっている。


可愛がってもらえるから、文句は言わないけどね!


愛されてるからね!




〔★望んでいる愛とは違う★〕







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る