2月 第3週目

第20話 2/12 他愛もないやり取り

2月12日 日曜日 第3週目

<昼> 

「優気―。そろそろ朝ごはん食べたらー?」


 1階から母さんの声が聞こえる。

 でも、今の俺にとってはどうでもいい。

 ベッドの中で今日は一日過ごそうかな。


「あぁ。このまま明日が来なければいいのに」

「何、不穏なこと言っているの⁉」

「うぉい‼」


 目の前にはお母さんが立っていた。


「何でいるの⁉」

「ここは私の家よ?」

「いや、そうだけど、ここは俺の部屋‼」


 俺は、起き上がって自分の布団をバシバシと叩きながら母さんに説明した。


「まあ、そんな小さなことはどうでもいいじゃない」


 ……。

 俺が何か言ったところで聞かないことは、今に始まったことではないから今さら驚かない。


「ほっといて」

「どうしたの?」

「いいから」


 マジで落ち込んでいるから早く出て行ってほしい。


「喧嘩でもした?」

「マジでほっといて‼」


 俺は、母さんを強引に部屋の外へと追いやった。








<夜>

 あぁ。

 マジで明日、学校に行きたくないな。

 奥川さんがいきなり告白したことも十分驚いたけど、平野さんに俺が嫌われているという事実が凄く痛い。

 まあ、学校では毎日会っているわけだし、嫌われることなんて探せばきりがないくらいありそうだけど。


 ピロン


 メッセージの通知音が鳴った。

 俺は、ベッドから体を起こして携帯を開いた。




<メッセージアプリ>

リンーもうすぐ、バレンタインだね‼

鉄平―それがどうした

リンー今年は自信作ができそうだよ‼

さくら―どんなの?

鉄平―どうせ、毒入りだろ

優気―島田さんは毎年いちごだったよね。今年もいちご?

ASUKA―きっと、生チョコだよ‼

さくらー私はいちごだと思う!

リンーまあ、当たらずしも遠からずだね

ASUKA―てことは、今年は毒入りかぁ

リンー楽しみにしててね‼

鉄平―せめて、毒に関しては否定してくれ。じゃないと、安心して食えないんだが。

リンー今年は鉄平の分を特に気合い入れて作ったからね!

鉄平―もう、絶対に何か入っているだろ‼

リンーそれじゃあ、また学校で‼




 メッセージのやり取りはこれで終わり。

 時間にすれば5分にも満たない時間だった。

 でも、文字だけでもみんなと会話ができて少し気分が落ち着いた。


 もう、すっかり夜になっている。

 ふと、時計を見ると8時になっていた。






 そろそろ、ごはんでも食べてこようかな。

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