第19話 2/11 デート?4 <奥川さんの真意?>
「何、言っているの?」
奥川さんが涙で濡れた目をこちらに向けてくる。
「今までの言動を見てれば何となく分かるよ」
「そんなことは……」
奥川さんはそう言いながらも目は下の方へと流れていた。
3年間の経験上、これは確実に何かある。
「行く前から何となくおかしいとは思っていたんだ。だって、今までの奥川さんならみんなで遊ぶことは会っても俺だけを誘うことは無かったよね」
「それは……」
奥川さんは何かを言いそうには見えない。
「やっぱり、言えないかな」
流石に、こんな状態の奥川さんに無理に話してとは言えない。
でも、全く話しをするつもりが無いのならそもそもデートには誘っていないと俺は思っている。
「ねえ、」
何か奥川さんが言ったように聞こえた。
「私でもいいでしょ?」
奥川さんは今までの涙を俺にぶつけてくるかのように俺に話かけてきた。
「それは……」
今度は俺が言葉に詰まる番になった。
もちろん、俺は奥川さんよりも平野さんの方が好きだ。
でも、何て返事をすればいいのか分からない。
そして、それでも奥川さんの思いの叫びは止まることはない。
「確かに、私じゃ桜ちゃんよりも魅力はないかもしれない」
「そんなことは……」
「でも、私は優気のことが好きだよ」
「それは、」
「ダメかな。優気にとってもそれが一番良い選択肢だと思うよ」
最後の一言を、目を少し下に向けながら言うと、再び俺のことを見た。
返事を待っているということだろう。
本当なら俺はここで告白の返事をするべきだ。
正直、さっきと変わらず何て返事をすればいいのか分からない。
でも、返事の前に一つ聞くことができた。
「俺にとって一番良い選択肢ってどういうこと?」
奥川さんは、はっとした表情をしていた。
「それは、、」
俺は、答えを待つ。
「えっと、えっと、えっと、、、、、」
「俺にはこの言葉の言い回しが何だか凄く引っかかるんだけど」
奥川さんは必至に言葉を探しているようだった。
でも、一向に出てくる気配はない。
そして、体感では1時間にも思えるくらいの時間が経った。
奥川さんははぁと一息ついてやっと口を開けた。
「ごめん。やっぱり告白のことは聞かなかったことにして」
奥川さんにさっきまであった焦りはどこかに消えていた。
「分かった」
俺は、こう返すしかできなかった。
「でも、一つだけ優気に忠告させて欲しい」
「何?」
「桜ちゃんのことは諦めた方が良いよ」
「え?」
いきなり何を言って……。
「桜ちゃん、優気のこと全く好きじゃないから」
「そんな……」
「それじゃあ」
「待って、」
「ごめんね。この後予定あるから先に帰らせてほしい」
俺は、奥川さんに言われた言葉の衝撃が強すぎて引き止めることさえできなかった。
そして、そのまま何もすることができず、家へと帰った
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