1.〝字〟

1-1.「字の要素」

1-1-1.基礎的な文字

📖この節では、次の項目について説明する。

  【

   🖈文字の分類

   🖈字を指すことばの定義

  【かん

   🖈漢字の位置づけ

   🖈日本語に漢字を当てる意義

   🖈海外からの漢字の認識

  【じゅんかん】⛏

  【

  【はだかおうさまげんしょう】⛏



      †



📕【

 〈語を筆記する場合においてそれ以上分解できない語の量子〉の意。

 []と書いて同義。


   📍文字の分類


 日本語で主に使われる文字は、次のようなものとなる。


  • :固有の「けい」「はつおん」「」の3要素をすべてそなえる文字

   ◦かん:{木林森}など

    ‣ かんえないつうかん:{〇卍凹}など

   ◦ごう:{麿麻呂木工𠷡百合}など

   ◦じゅんかん:{〆〼}


  • :固有の「けい」「はつおん」の2要素をともにそなえるが「意味は持たない」文字

   ◦ひら:{あいう}など

   ◦かた:{ワヲン}など

   ◦ごうりゃく:{𬼂なりよりコト}など


  • だいごうの記述を代理するもの

   ◦ちょうおん:{ー〜}

   ◦おど:{々ヾ〻}など

   ◦ごうてきかん:{仝}

   ◦りゃっごう:{㍼㈱㌫}など


  • やくもの:文を文面として記述するときの体裁補助をするもの

   ◦くうはくごう:{ }

   ◦とうてん:{、。}

   ◦かんたん:{!?}

   ◦いんよう:{「『〽}など

   ◦いんどう:{―‥…}など

   ◦せつぞく:{゠‐・}など

   ◦ちゅうしゃくごう:{※•◦}など

   ◦そうしょくごう:{┠❀⛏}など


  • がいらいごう:日本語ではない事を示すもの

   ◦{ABC}{123}{@%#}など


   📍字を指すことばの定義


 ところで〔字〕とは、〈いえの子〉のこと。

 一方〝現在「」と思われているもの〟は本来、〈記述で用いるよびな〉たる「ごう」と呼ぶもの。

 それが、漢字において〝基本的な部品の組み合わせで、子孫がどんどん増えていく〟という有様から、漢字やその派生記号についても「」と呼ばれるようになった。

 なお「」は、〈いえの子〉と特に区別したい場合の「」の別称である。


 要は本来、〈現在「」と思われているもの〉はすべて「ごう」であり、その対訳が「characterキャラクター」となるべきもの。

 その中に、「という特別な種類の記号」が含まれるわけである。

 そして〈現在「ごう」と思われているもの〉は、「markマークごう」に該当するのだ。


 とはいえ、それらは飽くまで本来の話。

 〝characterキャラクター〟との認識はくつがえすのがもう難しいほどまでに、浸透してしまっているもの。

 よってそれにならい、ここでも〈ごう〉は「」または「」と表記する事とする。

 なお中国語圏においては、「ズー」の認識は本来どおりに〈漢字〉であり、ほかの外来記号についてはズー」と呼んでいる模様。

 ただし英単語は、派生のされ方が漢字と似通っているため、「wordワード:単語」を〈〉の対訳としても差しつかえないかもしれない。


 ところで〈文字〉の対訳が「letterレター」とされる場合もあるが、これは厳密には文字そのものではなく、〈文字の書かれ方〉のこと。

 だから例えば〈大文字/小文字〉は、「upper-caseアッパー・ケース letterレターlower-caseロウワー・ケース letterレター」と呼ばれるもので、{〜characterキャラクター}とは呼ばれない。

 ついでに手紙もまた〈記述で表現されたもの〉の意で「letterレター」と呼ぶし、〈何らかの記述〉を「literalリテラル」、かつ〈記述にたづさわるための最低限のわきまえ〉を「literacyリテラシー」と呼ぶ。

 あるいは「characterキャラクター」と「letterレター」の違いは、「種族」と「人間関係性」の違いと類似するもの、とも言えるだろう。


 ほか、〔符〕とは〈証書〉転じて〈それを根拠に一定の行動を起こさせるもの〉〈合図〉の意。

 文中での符号は、「役割などで特別扱いをする」ことを明示するものである。

 たとえば「␍␊↵改行マーク」は〈ここで改行〉という合図をする符号であり、これはレイアウトに属する要素であるから、語の構成要素としてとらえるべきではない。



      †



📕【かん

 〈かつての日本において自国語の表記のために輸入された漢語由来の文字〉の意。


 ある言語に、必ずしも文字表記が存在するわけではなく、日本語の前身「やまとことば」も文字を持たず、すべてが口頭伝達だった。

 その不便の解消のために、隣国から漢字が輸入されるに至ったが、さすがにその普及には数世紀を要した模様。

 気の遠くなる話である。


   📍漢字の位置づけ


 字の基本的な部品が象形によるもので、象形とは簡略化した絵の事であるから、つまり


  • 漢字は


 である。

 したがって個々の持つ意味がかなり明確かつ限定的で、ゆえに「ひょう」とも呼ばれ、その一字一字が最小の意味単位である「けいたい」として機能する、という特徴を持つ。


 たとえば、かつては〈物の一部が抜け落ちる〉ことを「かく」と呼んだ。

 ならびに、何か物をひっけば欠けること、文字を書くには地面や石板をいたことから、〈鋭利な物で擦ること〉や〈文字を記すこと〉をも「かく」と呼ぶようになった。

 とはいえ、〔欠〕〔掻〕〔書〕は別々のしょうえがいた別々のイラストであるから、同じ読みだからと言って「く」「く」「く」は当然、どれも可換ではない。

 つまり語を記述するとき、漢字イラストを正しく選択しないと、その語は言葉としての意味がたんするわけだ。


 これは「」とも言え、たとえば「いとしい→ゐとしい」「I love you.→i luv u.」のように、転化させても発音に大きな差異が無ければ一応通用するとは、大きく質を異にする部分である。

 字形から字義がある程度推察可能で、その意味するところの具体性が高く、かつ多彩で、大抵の概念を少ない文字数で特定できる。

 その有用性のためか、古代において作られた文字体系のなかで、現行でなお使用されているゆいいつの表意文字である。


   📍日本語に漢字を当てる意義


 ちなみに「やまとことば」に漢字を当てる事について、〝「やまとことば」の持つ本来の意味が失われてしまう〟とのねんにより、「どんなびょう」とのことばで警鐘を鳴らす一派が存在するようである。

 しかし現用されているのは「ほん」であって、飽くまで「やまとことば」ではなく、「どんな意味で遣われているか」が不明確、つまりその〝本来の意味〟とは異なる遣われ方をされているゆえに、その区別のため漢字を当てるという手法が考案されたもの。

 よってこれは、実情に沿わない邪魔な警鐘というか、〝そもそもとはなんのためにそんざいするものか〟を、提唱者には再考願いたい。

 語とは人のために有るのでり、人が語のためにるのではないのではないか。


   📍海外からの漢字の認識


 なお、欧米で単に「kanjiカンジ」とわれたときは、古漢字および中国語における繁体字や簡体字を含まず、日本で現用されている漢字のみを一般に指す。

 これは、欧米におけるなぞの日本人気()のほか、漢字をコンピュータで扱う際の体系化を、特に日本の企業や団体が、海外へ積極的に働き掛けていた事にも起因すると思われる。



      †



📕【じゅんかん】⛏

 〈本来漢字ではないがの要件を満たすため漢字として通用する符号〉の意。

 〝〆〟〝〼〟がこれ。


 前者は〔〆〕という「けい」と、{しめ}という「はつおん」に加え、〈これにて終わり〉〈以下空白〉転じて〈際限〉〈期限〉という「」を持つ。

 後者も〔〼〕という「けい」と、{ます}という「はつおん」に加え、〈ます〉〈ます〉という「」を持つ。

 つまりの要件を満たすのだが、ただそれをもって「漢字」と定義されており、そこには強引さが感じられないでもない。

 もしかすれば「これはである」と言っても伝わりづらい、と予想されたために、あえてそのように言いきったのかもしれない。

 しかし、「漢字」と呼ぶのに抵抗があるのは間違いないので、[じゅんかん]という呼び方をここに提案するもの。


 なお〔〆〕は文書において、らぬ追記によるかいざんを防止するために、文章末にす符号である。

 これを記すことを〝しめる〟ともい、現在でも手書き文書の場合には、万全を期して記されることもある。

 また、それは〈期限〉の意の「り」の語源ともなっていて、ほか{しめ}が「め」の代用としても用いられる。


 〔〼〕もまた文末での{あります}などの代用として{あります}と表記されたりするが、これは当て字のはんちゅうである。



      †



📕【

 〈漢字の持つ基本的な意味の定義〉の意。

 []と書いてほぼ同義。


 語の説明付けという観点では[ねん]とったほうが適切であるようにも感じられるが、一般には「字の念」と言っても通用しづらいと思われる。

 また字の主観という観点に立てば「字の意」という解釈でも問題ではなく、またこの考え方のほうが字義の尊重をうながしやすいかもしれない。

 なお意と念の違いについては、部〖4.意〗で説明する。


 また、繰り返すが漢字はほぼイラストであり、ゆえに字義をじ曲げようとすると「はだかおうさまげんしょう」が発生するので注意する。



      †



📕【はだかおうさまげんしょう】⛏

 〈そこに無い物を有ると言い張ってひんしゅくを買う者が出てくるタイプの自然現象()〉の意。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る