3-3-3.小説の位置づけ

📖この節では、次の項目について説明する。

  【しょうせつ

   🖈小説の定義

   🖈小説の呼ばれ方

  【fictionフィクション

  【nonfictionノンフィクション

   🖈nonfictionノンフィクションの類型

   🖈二次創作と原作毀損レイプ

  【ぶん

  【ぶんめい

   🖈ことばの死が意味するもの



      †



📕【しょうせつ

 〈私人があらわすオピニオン〉〈私説〉の意。


   📍小説の定義


 基本的には「じんはつ」すべてを指す。

 したがってネットのSNSや掲示板は、「しょうせつたいしゅう」とも言える。

 ほか、自身の体験をほぼそのまま文章にしたものを「しょうせつ」と特に呼ぶが、「私私説」という解釈ではかさことば的であり、より適切に解釈するなら「せつ」になるかと思われる。


 一方で、「小説の英訳」とされる「novelノベル」は、少なくとも英語としては〈⦅本で出版されたりしているような⦆しっかりとした綺譚テール〉の意であり、つまり

 しかし一般にはこのノベルの意に引きられ、「しょうせつ」とえば〈綺譚テール〉、ともなって「しょうせつ」は〈たんさっtalerテーラーはな)〉と受け取られるもの。

 結果、小説と示されているほんだなには「純粋な綺譚テール」ばかりが並ぶ、という多様性に欠けた残念な事態におちいっている。

 ノベルの浸透前と思われる時代には、たとえば官能小説において「にくにおけるげんりつかんけい」という論述テーゼが唐突に語られ始めるなど、まあまあいい感じにカオスな事になっていた。

 ただ、昔の時代には「ほんとはしきるもの」という認識が強かったため、そんな観念によるものとは言えるかもしれない。


   📍「ノベル」の不明確性


 「novelノベル」は強いて和訳するなら「たんこう⛏」のようになるはずではあるが、〝綺譚テールに該当する以上は小説としても成立する〟というところが、誤解に拍車を掛けているかもしれない。

 ただ、論述テーゼメインの「たいせつ」までもが「novelノベル」と訳されるので、こちらの不整合についてはさすがにどうかと思われる。

 『ろっぽうぜんしょ』とかノベルちゃうやろ?

 あとそこの法学生、『六法全書』を「うすほん」とか呼ぶのやめろ(

 〝BL 6冊事件を忘れるな〟ってそういう意味か(


 なお、いわゆる「ライトノベル」は日本語であり、この語が何を指すかは人によってまちまちで不明確、とするのが通説である。

 直訳すると〈けいはく綺譚テール〉にもなり、この名称をいやがる作家が当然のごとく大勢いるので、あまり考えなしに呼称しないほうが良いかもしれない。


 ああそこのボクごめんね、「ノベル」は「述べる」とはちょっとちがうんだ(



      †



📕【fictionフィクション

 〈虚構に基づく物語〉の意。


 〈現実の状況や法則からかけ離れた題材を扱うフィクション〉を特に「げんそうfantasyファンタジー)」と呼び、「くうそうがくエスエフscienceサイエンス fictionフィクション)」とよばれる物語もファンタジーに該当する。

 なおやくはもちろん、風邪かぜぐすりも「現実の状況や法則からかけ離れた題材ファンタジー」なのでよろしくおねがいします(



      †



📕【nonfictionノンフィクション

 〈現実での出来事に即した物語〉の意。


 なお「fictionフィクションnonfictionノンフィクション」は「novelノベルの分類」であるため、伝承されたり出版物や記事のようになっていたりと、そういう一定の形になっているもの以外の発言やつぶやきに対してはわない。


   📍nonfictionノンフィクションの類型


 定義から誤解されがちだが、ノンフィクションは事実ドキュメントではなく綺譚テールである。

 そもそも完全な事実に基づいた物語とは、つまりは事件報道そのものであり、単に出来事を並べるに始終するものだから、読み物としては得てして退屈なもの。

 だいいち、登場人物の言動やその場の情景について、細かい記録がそうそう残っているはずは無く、その部分については創作が避けれない。

 よって、〝事実に対しての矛盾を含ませずに、どう自分の持ち味を出せるか〟が、ノンフィクション作家の腕の見せ所、かつ鑑賞者の見所となる。


 創作部分を極力省いて事実を追求しよう、との取り組み的なノンフィクションを特に「しゃじつdocumentaryドキュメンタリー)」と呼ぶ。

 ただこれも、見せる事柄の取捨や順序の選択をしたり、報告者レポーターが所感を語ったりするなど、そういった脚色は間違いなく創作の部類なので、これらが介在するかぎりでは事実ドキュメントではないし、脚色無しならそれは事実ドキュメントなのであって写実ドキュメンタリーではない。

 そう考えると、つまり報道とよばれるものも実は写j……ゲフンゲフン

 あとそこのネラー、〝報道はDQNドキュンメント〟はさすがに言いすぎだ(


   📍二次創作と原作毀損レイプ


 〈既存のフィクションを事実ドキュメントと見立てて、そのノンフィクションを試みたもの〉が狭義での「そうさく」であり、原作者本人がそれを行なったものを特に「がいでんsubサブ storyストーリー)」と呼ぶ。

 あ、原作も無いのに外伝をってる作品が有るけど、あれはネタだからそっとしておいてあげて(

 ひんぱんに有ることだが、本作がまだ終結していない状態で外伝を出し始めたり、どれが本作でどれが外伝なのかまったくわからない題名付けをされると、それを見せられるほうは果てしなく混乱するもの。

 それにいていけるのは、連載開始からの古参読者だけだろう。

 少なくともぼくは、「判別面倒くせえ」と感じた瞬間、すっぱりこうどく意思を放棄する。

 よって、特に商業ではそういった、しないでいい苦労をこうどく者にさせるようなことは、あまりなさらないほうがよろしいかとおもいます、


 なお、じょくするかのように原作設定を大きく損なう、そういった性質の二次創作ないし解釈は、「げんさく毀損レイプ」と呼ばれるもの。

 一方でことばについて、特に近代に作られたような新語は、原作者がかなりはっきりとしており、また古いことばについても不詳なだけで、原作者は当然いるはず。

 そうやって作られたことばは「さくしゃていしょうしたあらたながいねんだいめい」に相当し、その概念本体とセットで創作の一種、と言える。

 つまり、そこにあることばを誤用誤解するのは、ある作品について作者の主張や、ファンの認識からは大幅にかいした説明を、すいちょうしてまわる原作毀損レイプとなんら違いが無い。

 少なくともことばを操って作品をすという、物書きの部類がこれを犯すのは、かなり最悪に近い禁忌ではないかと思われる。


 ……いや、{すいちょう}は誤りで{ふいちょう}が正しい、だなんてだれがした?

 {ふい}って何よってのもあるけど、〔吹〕って字を指すことだけ伝われば発音なんてどっちでもよくね?


 ことばとは、人とのつながりもまた作るための道具。

 相手がだれにせよ、人に対する敬意を忘れた人の言葉は薄いもの、ではなかろうか。



      †



📕【ぶん

 〈ぶんきょうの略語〉culturaカルチャー〉の意。


 「ぶんきょう」とは、〝けいばつりょくたよらずぶんさとしておさめることで、じんみんをよりほうこうおしみちびく〟という思想のこと。

 ここでう[ぶん]とは、〈論述テーゼ〉を指す。

 が、だれとは言わないがどっかのヴァカが、考えなしにも「culturaカルチャー」の訳語に当てやがったせいで、〈人間の精神的活動やその所産〉のような意で遣われることになった。

 〈culturaカルチャー〉指したいなら「カルチャー」でいいだろ?

 {文}{化}という字の組み合わせがそんな意味になるか?

 なんで違う意味の語に割り当てたんだ?

 おかげで「ぶん」ということばが殺された。



      †



📕【ぶんめい

 〈文によってく道を照らすこと〉civilizationシビライゼーション〉の意。


 ここでう[ぶん]も、「ぶん」と同じく〈論述テーゼ〉を指す。

 せっかく前者の意味で、そういう社会を目指しましょうってふくちゃん()が提唱してくれた「目標のことば」なのに、まーたどっかのブァカが「civilizationシビライゼーション」の訳語に当てやがったせいで、〈知的ないし物質的に発達した社会〉のような意で遣われることになった。

 「シビライゼーション」じゃ伝わりにくいかもしれんけど、〈発達社会〉指したいなら「発達社会」でいいだろ?

 {文}{明}という字の組み合わせがそんな意味になるか?

 なんで違う意味の語に割り当てたんだ?

 おかげで「ぶんめい」ということばが殺された。


   📍ことばの死が意味するもの


 ことばが死ぬとは、そのことばが指す概念がうしなわれるということ。

 概念が失われるとは、その概念を提唱した、、という事だ。


 ふくちゃん可哀そうに。

 残念だよな。

 悔しいよな。

 今度そっち行くときうまいビール持ってくわ。

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