楽しい神様の集会
この世界の神々は、年に1度集まってはだらだらと会話をする集会をするらしい。以前、森の中の精霊と、この国の神を調査し、話題になった私はその勢いのまま、神々の集会を調べることにした。
私は遠い異国の、情報の神を信仰している身なので、もちろん毎日祈りを欠かさない熱心な教徒だ。だから、本気で願えば連れて行ってもらえるのでは?と甘い考えで沢山の捧げものをし、私の熱意を伝えた。その結果
「え?来たいの?つまんねーよ?ええの?うーん、まぁいいやおいで」
ちょっと適当が過ぎないか?
…ともあれ、これで正式に取材許可が降りたと考えていいだろう。という訳で万が一を考えてカメラは4台、バッテリーや周辺機器を2桁以上用意し、パソコンとSDカードをセットで3台用意した。流石にここまでやれば大丈夫だろう。
そして、遂に運命の日がやってきた。
私の信仰する神、情報を司る、メーダ様が謎のゲートを開き、その中に私を引きずり込む。そこに足を踏み入れると、汚れの無い純白の世界がそこにあった。
上下左右の感覚を失いそうなほどに真っ白な空間の真ん中には、絶対に人間には作れないであろう継ぎ目のない真っ黒の椅子と大円卓があった。
そこには既に何柱かの神と、その横に並ぶ人間がいた。
「俺が人間連れてくって言ったらみんな気に入りの子連れてきたんだよね」
そう言いながら、慣れたように円卓に向かい、どっかりと腰を下ろした。
「自由に見て回りな」
メーダ様がそう言うので、私はまずここにいる神々をじっくり眺めることにした。
まだ全員では無いが、それでも沢山いる神々。もちろん、そのほとんどを私は知っていた。
青白い顔で、今にも死にそうな顔をしながら身を縮ませる少女の隣には、死神のメソレム様がいた。隣の人をすぐに連れてくためにかな。
片腕のない、けれど近づいたら簡単に殺されそうな雰囲気を纏う軍人、それを楽しそうに小突くのはクジィー様。軍人の彼の顔が怖い。
対照的に、弾けんばかりの笑みを浮かべ飛び跳ねているのは、クマの着ぐるみを着た少女。それを見て微笑ましそうに笑うのはクズレ様。でもなんかやたらでかいクマに乗ってて近づいたら食われそう。
そして、私のよく知るラゼラータ様は少し離れたところで、レイピアを持った女の子と楽しそうに笑っていた。あの子は確か、この前の剣技大会で優勝していた子かな?
そんな感じで、会場はとても盛り上がっていた。それを写真に撮り、神々の話を聴き、今回の記事のネタを纏めていく。すると、音楽の神であるラーサワ様が
「うちの子な!歌がな!上手いのよ!!可愛いぜ!!ラゼラー…タ?の大災害止めたのもうちの子だぜ!凄いだろ!」
そう言って、1人の女の子を自慢し、そっから醜い神々の自慢合戦が始まった。メーダ様いわくいつもの事らしいが…
そんな愉快な神々の集会をネタにした記事は、瞬く間に国中で話題になった。それから、世界中にも広がった。
おかげさまで俺は有名人になったが、1部の神は支持率が下がったらしい。
どんまい
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