第11話 SF③

「残すは近未来SFの作品ですね」

「SFのアニメ作品は多いなぁ・・・」

今まで語ってきたジャンルの中でSFアニメのオススメ作品が1番多かったのではないだろうか?

「SFは名作がやっぱり多いよな」

「実写ドラマよりも明確に優れた表現や演出をできるのもアニメの魅力ですからね。逆に人間ドラマ、人情モノとかを映像化するならアニメじゃなくても・・・ってなる事も多いですし」

「たまに漫画原作とかで、何故それをアニメ化じゃなくて、実写化にした?って作品はあるけどね」

「あるある」

これは俺にも心当りがある。

「『鉄の錬金術師』とかはコスプレ大会みたいだったもんな」

「あーあれはな・・・やっぱり主人公のエドワードとかの外人っぽい役を日本人キャストで演じるのには限界があるよな・・・」

「漫画原作でも『るろうに剣真』とかは和物だからヒットしましたよね」

たしかに『るろうに剣真』の実写映画は人気があって何作も作られていたはずだ。

「『キング・ダム』も中国・・・アジアの話だから人気あったのかな?うちのおかんも気に入って見に行ってたし」

ケンイチのおかんは『キング・ダム』を見に行くのか・・・守備範囲けっこう広いな。

ちなみに『キング・ダム』はジャンピの連載漫画で中国の歴史・・・秦の始皇帝の話である。

「同じジャンピの漫画原作の映画だったら『約束のネバーエンディングストーリー』も滑ってましたよね・・・」

「あれも日本人が演じると無茶なキャスティングだから・・・」

つまり・・・

「漫画原作を実写化する時に日本人のキャラならヒットするけど、外国人のキャラを無理矢理日本人が演じると失敗するのでは??」

「よっさん・・・真理ですね」

「俺達ド素人が10秒で辿り着く答えになぜ実写映画のおエラいさん達は気付かないのか・・・」

謎である。

「まぁいろいろあるんでしょうね。僕達素人にはわからない複雑な事情や理由が・・・」

「そうだな。多分パっと思いつかないだけで、外国人っぽいキャラを日本人が演じた邦画の名作もあるんやろ」

外国人キャラを日本人が演じた邦画の名作・・・謎のジャンルである。

そして2人はアニメヲタクであって、邦画ヲタクではないので、これに関してはどうやらお手上げのようだ。

「そう言えば何の話をしてましたっけ?」

話が脱線していたな。

「SFアニメは数が多いなって話からちょっと脱線してたな」

「ああ、そうでした!そうですね!それだけSFジャンルはアニメの花形って事ですよ」

知樹が無理矢理に話を軌道修正してきやがった。

「近未来ってだけでもかなりの作品数があるよな?」

「ですね。『サイコパス』や、さっきチラっと名前の出てきた『電磁コイル』、小説原作の『新世界から』も面白かったです。

「どれも名作やけど、少し古めやな・・・」

説明を求めたい。

「説明を求めたいんだが」

「この辺りはよっさんにオススメしたいって作品ではないのですが、名作なので知識として・・・って感じになりますが・・・」

知樹が続ける。


「まず『サイコパス』は近未来、人間の犯罪心理が数値化された日本が舞台で、新人の検視官が犯罪者に立ち向かう話ですね」

「犯罪心理が数値化された日本がわかんないです」

「雰囲気で理解してくれたらいいよ。ざっくり言うと犯罪を犯しそうなやつは、まだ何も悪い事してなくてもAIが勝手に犯罪指数を割り出して、要注意人物って決めつける世界観ね」

「ヤベーじゃん」

「ヤバイっすね。こういうのをAIの管理が行き過ぎた世界の話をディストピアものって言うんですけど、このジャンルも王道なのでたくさんの作品がありますね」

『ターミネイター』もこんな感じだった気がする。


「次は『電磁コイル』ですが、こちらは今のスマホをもっと優秀にしたデバイスが眼鏡という形で小学生にも広がっている世界線で、少年少女達がそのデバイスや自分達の住んでいる街の秘密を解き明かしていくという話です」

「『電磁コイル』はNHKの子供向けアニメだったんだけど、やたら雰囲気暗いよな」

「ですね。オープニング曲からグイグイとテンション下げていきますもんね」

テンション下げていくオープニング曲ってなんなんだよ。

「でもあの曲も聞き慣れてくると名曲なんだよな」

「わかります。ヲタクって本当にチョロいですよね」

ヲタクはチョロい・・・よくわかる。

「あとは・・・『新世界から』ですね。これは呪力っていうの超能力が存在するファンタジーな世界観ではじまるのですが、実は1000年後の日本だったって話ですね」

「生活レベルとかが低くて、ファンタジーの世界とか過去の話かと思ったら、実は未来いの話でしたってのもあるあるのパターンやね」

「この作品はさっきも言いましたが原作が小説なんですよね。これは原作とアニメは比較してどうなんですかね?原作厨のケンさん?」

「これは原作読んでないわ・・・」

「チっ使えねーな」

まーた毒吐いてじゃれてる。

「でもアニメだけでもしっかり面白い作品だと思うよ」

「同感です。・・・が、まぁ今あげた作品はとりあえずはすぐに見なくてもいいかなって感じですね」

「どれもちょっと古いもんな。『サイコパス』くらいかな?今も人気あって今後も展開していきそうなの」

「『サイコパス』って何か新作情報ありましたっけ?」

「3年くらい前にやった3期と映画が最後ちゃうかな」

それでも3年も前なのか・・・


「さてさて、それではよっさんにオススメしたい比較的新しいめの作品は・・・」

ここからが本番のようだ。

「俺はここ数年なら『ヴィヴィ』、『アクダマドリーム』、『デカダンサー』が好きやったな」

いきなり3つも出すのね。

「どれも面白かったですね。僕はその中だったら『アクダマドリーム』が好きです」

知樹も全て見ているらしい。

「『ヴィヴィ』はテーマパークで歌を唄うだけのアンドロイドだったヴィヴィが、100年後の世界から来たAIと共に100年後に起こるAIによる人類抹殺計画を止めるって言うストーリーやな」

「歌が随所に使われてて、エモいシーンも多いんですよね。ケンさんが好きそうなやつです」

と、言うと・・・

「恋愛要素もあると?」

「恋愛要素はないわ。でもたしかにクライマックスとか要所要所で歌を使って感動させる作品は好きかも」

ケンイチは感動系やエモい作品が好きなようだ。


次は知樹が説明を始める。

「『アクダマドリーム』は戦争によって国が真っ二つに割れた日本が舞台で、カンサイがカントウの属国になっている世界観なのですが・・・」

「また凄い事なってるな・・・」

「でもワクワクするやろ?」

「嫌いじゃない」

「続けていいですか?・・・それでカンサイのアクダマ・・・犯罪者達が協力したり騙したり裏切ったりしながら、カントウの秘密に立ち向かっていく・・・みたいな話ですね」

「知樹・・・説明ありがとう」

そういえば『アクダマドリーム』はケンイチのオススメだったよな。

「世界観もめっちゃスタイリッシュでかなり楽しいんですよね。ちょっとビターなところも好きです」

「良い作品だったわ。人気があったから舞台化もしてたはず」

「え?そんなんやってたんですか?」

「らしいで。詳しくは知らんけど」

「アニメの舞台化って面白いん?」

そもそも可能なのか?

「僕はあまり観た事ないですけど、人気はありますね」

「主に女性ファンがメインのコンテンツやな。有名なところだと『テニスの王様』とか、ゲーム原作になるけど『刀剣乱打』とか・・・たしか『弱者ペダル』もあったはず」

「『弱者ペダル』って自転車のアニメやろ?舞台の上で乗り回すん?」

「さぁ?」

「さぁ?」

誰も内容は知らないのか。

「なんか逆に興味出てきたわ」

「そっちの方向のヲタクに向かっていってもいいですけど、フォロー出来ないですよ」

「そうやな、ちょっと俺達は専門外やわ」

2人も未開の地か・・・俺にはまだ早そうだ。


「あとは『デカダンス』やな」

こっちの話題は得意分野ではないらしく、さらっと本題に帰ってきた。

「これも未来の話で文明はかなり崩壊していて、ガドルっていう怪物と戦う世界で・・・」

「ガドルって単語よく出てきましたね・・・今ケンさんに言われるまで完全に忘れてました」

「いや、俺もたまたま覚えてただけやわ。そしてこの単語は全然覚えてなくても、巨大怪獣くらいの認識で大丈夫やで」

「オーケー。俺も帰った時には絶対忘れてる思う」

「ぶっちゃけ今まで紹介したアニメのタイトルを忘れても、見ようと思った時に、あの時に話したアレなんやっけ?って連絡くれたらすぐ答えますよ」

「助かる。今日だけでもかなりたくさんのアニメ作品を紹介してもらったけど、全部をちゃんと覚えてる自信はないわ」

「まぁヨシハルにプレゼンするという形で、俺達2人のアニメうんちくをひたすら聞いてもらってるみたいなもんやからな」

自覚はあったらしい。

でもね。俺も楽しいからいいんだぜ。WINWINってやつだ。

「それで・・・ガドルっていう怪物と戦う巨大移動要塞がデカダンサーって名前で、その中での生活とか、ガドルとのバトルをする話だけど・・・」

「この作品は、話の根幹をネタバレ出来ない系ですよね。見てのお楽しみ・・・みたいな」

「そうやな。現時点で言えるのはこのくらいだけど・・・面白かったよ」

「サンキュー。ケンイチからのオススメはこの3つやね。知樹はなんかオススメないん?」

「・・・よくぞ聞いてくれました」

まぁ・・・ないはずがないよな。


「『サイバーパンクエッジライナーズ』というネトフリ限定のアニメなんですけど・・・」

「またネトフリ限定かよ!ズルいわ!お前はネトフリの営業マンか!?」

これまたケンイチの知らない作品のようだ。

「いやぁ・・どうせ紹介するならケンさんにも見て欲しいなって作品も多いですからね」

「まぁ・・・今日の知樹の話を聞いて、帰ったらすぐにネトフリに加入しようとは思っているがね」

やっぱり知樹はネトフリの営業マンじゃねーかな。

「でも実際ネトフリ限定のアニメで面白い作品多いですよ。ラブコメのところはケンさんの専売特許だから言わなかったですけど、ネトフリ限定の『ロマンティックキル』も面白かったです」

「ぐぬぬ・・・また見たい作品が増えてしまった」

ぐぬぬって実際に言うやついるのな。アニメだけかと思ってたわ。

「それで『サイバーパンクエッジライナーズ』ですが、もちろん近未来の話で身体をサイボーグにした不良・・・アウトローが成り上がっていく話なのですが・・・」

「が?」

「かなりハードな世界観や描写ですね。たしか年齢制限もあったはず。でもバトルもカッコイイし、めちゃくちゃオススメしたいですね」

「これも見てみたいなぁ・・・」

「そうやな。知樹にめちゃくちゃオススメって言われたら、チェックせなあかんわな」

「やな。俺も絶対みるわ」

2人でうなずき合う。

「あと、これはゲームが原作ですね。本編ではなくて前日譚って感じですが」

「そうなんだ」

ゲーム原作のアニメ化は難しいという話だったが・・・これは面白いようだ。

「ゲームに出てくる街並みやキャラなんかもチラッと出てきてその辺りの完成度もかなり高いらしいです。僕はゲームの方はプレイしてないですが」

「してないんかよ!」

思わずツッコむ。

「とりあえず・・・SFアニメは語りつくしましたかね?」

長かったSFアニメもやっと終幕か。

「語りつくしてはないけど、無難にオススメできる作品は伝えれたと思うわ」

まだ語りつくしてないのかよ・・・どれだけストックあるんだよ・・・
























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