第9話 SF①

「さっきチラっと話に出ましたし、次はSFアニメの話でもしましょうか」

「SFアニメは良いよな!傑作、名作揃いやわ!」

次はSFアニメの話らしい。

「SFというのは正確にはサイエンス・フィクションと言って科学的なお話のジャンルになるのですが、アニメに関しては雰囲気だけを感じてくれたら良いです」

「S・・・少し、F・・・不思議くらいの認識で大丈夫よ」

「まぁこのジャンル分けってのも僕らが勝手に言ってるだけですしね」

「ね」

知ってた。

「さて一口にSFと言っても、僕はこの中でもさらにカテゴリー分け出来ると思うんですよね」

知樹はこういうジャンル分けとか、カテゴリー分けとかを考えるのが好きなんだろう。

「ほう・・・聞かせてもらおうかな」

そしてケンイチは乗せるのが上手い。

なんだかんだで2人は仲の良いヲタ友達なんだろうなというのが、今日一緒に話しているだけでも伝わってくる。

羨ましいな。俺もその輪に加わりたい。

「ざっくりですけど・・・まずはタイムマシーン的なものや、時間を操る装置、能力を使って過去、未来に行ったり、同じ時間を繰り返したり、違う世界線に行ったりする・・・タイムトラベル・タイムリープを扱った作品」

「王道で鉄板のやつやね!ヲタクの大好物のやつ」

「次は宇宙モノ。宇宙船に乗ってどこかへ行ったり、戦ったり、他の惑星をテラフォーミングしたり・・・逆に宇宙人が地球に来て侵略または親交を含めるのもありますね」

「知樹的には『ガンダル』『マイクロス』はロボアニメで『宇宙戦艦大和』と『銀河英雄列伝』はSFアニメって認識って事かな?」

ややこしいな。

「まぁ・・・実は僕もそこまで深く考えた事はないんですけどね。今、話してるノリで分けちゃいました。が・・・その認識で大丈夫です」

知樹も完全にノリだけでしゃべってるんだな・・・普段からこんな事ばっかり考えているのかと心配になったわ。

「次は超能力ですね。能力バトルと被りそうですが、こちらは能力で戦わずに事件に巻き込まれたり、解決したりといった感じです」

「でも超能力は幅広いよな・・・能力使って過去に行ったらタイムリープモノになりそうだし、能力使ってバトルしたら当然バトルモノになるし、能力使って幽霊とか見えないものが見えたらホラーになりそうじゃない?」

幽霊が出てくる作品をホラーじゃなくて、SFというのは確かにおかしい気がする。

「たしかに・・・超能力をSFジャンルに組み込むのって無茶ですかね??」

「モノを動かすサイコキネシスとか人の心を読む能力とかならギリSFっぽい気はする」

そこで俺は助け舟を出す。

「いや、別にそんなに難しく考えんでええよ。知樹が楽しく話してくれたらそれで良いよ」

これは本心だ。正直そこまでジャンルがどうとかこだわらないし、2人が楽しく俺にプレゼンしてくれるのを聞くのが俺も楽しいのだ。

「よっさん・・・ありがとうございます!じゃあ超能力はSFです!」

「超能力はSF!ヨシ!」

ケンイチが指差し呼称をする。某ネコのようだ。

「そして最後は近未来モノですね」

これはわかりやすい。

「未来の話やね。進んだ科学技術の世界の話」

「ですね!アニメ的には科学技術が進んだ結果、荒廃しているパターンも多いですが・・・」

「あるある。よく無法と暴力の世界になってるよな」

「もしくはAIが管理してルールや法律でガッチガチの世界になってます」

これはアニメ以外の作品でもあるあるのお約束だ。

「近未来のロボットや技術が現代にやってきて・・・というパターンもこのカテゴリーに入れたいですね」

俺はパッと有名作品を思い出す。

「『ドラエモン』とかやな!」

「『ドラエモン』はSF・・・そうですね」

「『ドラエモン』をSFアニメの傑作で出されたら誰も太刀打ちできないきがするな」

『ドラエモン』は老若男女問わずに愛されている名作だ。まぁ今この場にはお呼びではないが。


「それではまずは1つ目のカテゴリーですが、これは・・・」

「まぁ『シュタイナーゲート』やな」

「ですかね」

これは2人がノータイムで答えが一致した。

「2人が即答するって事は間違いなく面白いねんな」

「これは間違いないですね」

「タイムリープもののアニメやったら絶対に名前があがる傑作やわ」

「この『シュタイナーゲート』ってのはアニメオリジナル?それとも原作があるん?」

ここまでの話の流れだと、当然チェックしておきたい点である。

「『シュタイナーゲート』はゲームが原作ですね」

ゲームが原作・・・今までになかったパターンだな。

「ゲーム原作のアニメって多いん?」

「ちょこちょこはありますね・・・」

「一番有名なのは『ポケモン!』だと思うけど・・・」

「『ポケモンか!』これは完全に頭から抜けてたわ」

「僕も完全に忘れてました」

有名過ぎて逆に忘れていたパターンである。

「名作と呼ばれる作品も多いですが・・・実際はけっこう難しいジャンルですよね」

「そうやな・・・恋愛趣味レーションゲームならヒロインがたくさんいたり、マルチエンディングが基本だから、アニメにする時にどのような構成にするか、メインヒロイン以外のヒロインをどう扱うか・・・絶対に迷うもん」

「傑作と呼ばれているゲームでもアニメにしたらイマイチな作品もありますもんね」

「例えば?」

知っている名前が出てくるとは思わないが、聞いてみる。

「『YU-MO』とか?」

ケンイチが答える。

「『YU-MO』はねぇ・・・ゲームはめちゃくちゃ面白かったんですよ!さっきの話の続きになりますが、ゲームではたくさんのトライ&エラーを繰り返して、無数にあるルートを辿った先にエンディングを迎えるんですが、アニメだとどこか他人事で重要なシーンだけをなぞってるだけって感じになっちゃたんですよね・・・」

「俺はゲームの方をプレイしてないけど、アニメは正直そんなに面白くなかったかな・・・いや、期待していたほどではなかったって感じかな」

ケンイチのネガティブな評価は珍しいな。まぁ今日は面白かったアニメの話ばかりをしているのもあるが。

「その点『シュタイナーゲート』はめっちゃ上手くアニメ化してたと思うよ!ゲーム未プレイの俺でもめちゃくちゃワクワクしたし」

「いや・・・ケンさん、ここはあえて言わせてください。『シュタイナーゲート』のゲームの達成感はアニメの比じゃないですよ」

知樹がケンイチの意見に待ったを入れる。

「ゲームを自分でプレイした時の没入感は全然違いますよ!何度も何度も何度も自分の手でトライ&エラーを繰り返した末に辿り着くエンディングは別格でした」

この流れは・・・アニメ見るなら原作ゲームをプレイしろって言われるパターンか?

「でもまぁ、それとは別の話として『シュタイナーゲート』はSFアニメの傑作という事は間違いないですし、ケンさんみたいにアニメだけ見ても全然楽しめる作品です」

ホっ・・・

「ゲーム原作のアニメってやっぱり難しいんやな」

「ゲーム原作でも面白い作品は多いですけど、ゲームを越えるってのは難しいかもしれませんね」

「ゲーム原作のアニメで面白いと言えば・・・『FATE』、『ペルスナ』、『クラナナ』・・・忘れそうになるけど『ドラグーンクエスト』も一応ゲーム原作やな」

『ドラクエ』はジャンピの漫画原作だと思っていたが、そもそもゲーム作品を漫画にしたものだったな。

「ケンさんは『ペルスナ』シリーズのゲームは全部プレイしてましたよね?アニメの方はどうなんですか?」

「『ペルスナ3』、『ペルスナ4』、『ペルスナ5』がアニメ化されてて、アニメの評判良いのは『4』だけど・・・まぁたしかにゲームの方がワクワクするな」

やはりそういう評価になるのか。

「知樹は『FATE』プレイしてるよな?アニメはどうなん?」

次は逆にケンイチが知樹に聞く。

「『FATE』は・・・めちゃくちゃ大量にアニメ化されてますからね・・・玉石混交ですよ」

「『FATE-O(ゼロ)』は面白かったよな」

「『ゼロ』はアニメで一番人気あるんじゃないですか?でもあれはゲームを元にした小説が原作ですけどね・・・」

「そうんなんだ?『FATE』シリーズはアニメでしか見てないから、その辺詳しくないわ」

「『FATE』のアニメは本当に種類が多いですからね・・・本作から派生したソシャゲの『グランドオーダー』もアニメ化されてますし、本編の主人公がご飯を作るだけの漫画をアニメ化した作品もあります」

なんでもアリやな。でも、そういう作品にも需要があるくらい人気のタイトルだと言うのはわかる。

「面白いのもあるし、面白くないのも多いです。総じて言えるのはゲームをプレイした時の感動はなかなか超える事が出来ないって事ですね」

結論、ゲーム原作のアニメは難しいと。

「そう言えば知樹は『クラナドゥ』の原作ゲームはプレイしてるん?」

さっきゲーム原作のアニメで面白いって言われていた作品の残りの1つのやつやね。

「プレイしてないです。ケンさんは?」

「してないわ」

2人が揃ってプレイしていないのは珍しい・・・のかな。

「じゃあ・・・ゲーム原作と比べてどうかは語れないけど『クラナドゥ』は泣けるよな」

「『クラナドゥ』は人生ですからね」

人生とはまた大袈裟な。

「その『クラナドゥ』は見た方が良いん?」

「少し古いですがオススメのアニメではありますね」

「キャラデザが気に入れば・・・って感じかな?『けいおんぶ!』と同じ太秦アニメーションの作品やし、時期も同じくらいだったと思う」

「じゃあゲーム原作のアニメは『シュタイナーゲート』と『クラナドゥ』見たらいいのかな」

「そうですね!」

「違う違う!今ゲーム原作のアニメの話はしてなかったで、SFアニメの話や」

そうだった。いつから脱線したんだっけ?

「そうでした。SFアニメの・・・タイムトラベルモノの話をしていたんでした」

「知樹が『シュタイナーゲート』をゲームプレイせずに語るやつはモグリって言いだした所から脱線したな」

「そんな事言ってないですよ!捏造しないでください!アニメ『シュタイナーゲート』は間違いなく傑作です」

「他にはタイムトラベル作品のオススメはないの?」

そう言えば1作品しか名前が出てないぞ。

「タイムトラベル、タイムリープを取り扱った作品で名作は多いんですけど、タイムマシン由来は少なくて、ほとんど能力由来の作品が多いですね」

「タイムマシーン系なら、この前見た『六畳半タイムマシンブルース』は面白かったよ」

ケンイチの方から作品の名前がでる。

「お、『六畳半タイムマシンブルース』見たんですか?面白かったですか?」

どうやら知樹は見ていないようだ。

「わざわざ映画館で見た。めっちゃ面白かったで!『六畳半神話大系』が好きやったらぜったに見た方がいい」

「誘ってくださいよー!」

「いやぁ公開期間がそもそも短くて、俺もギリギリの日程の隙間で行ったからさ・・・」

「それってもう見れないの?」

「どこかの動画配信サイトで独占放送してるはず」

「最近は映画館での公開期間が短くて、あとは動画配信サイトの方で見てねっていうビジネスモデルが多いですよね」

俺は動画配信サイトでのアニメ視聴が多いから、そういうのは大丈夫そうだな。


「この流れで能力を使ったタイムトラベル、タイムリープ系のアニメの話をしましょうか」

「了解」

「よろしくお願いいたします」

再び知樹の講演会が始まる。

「タイムトラベルをする能力と言ってしまうと、この後の超能力とジャンル被りするのですが、とりあえずはそのまま聞いてください」

いや、誰も深くは考えてないと思う。続けたまえ。

「最近ヒットした作品だと『大阪リベンジャーズ』なんかが有名ですね。これは原作も最終回になったし、2期も決まっているのでもしかしたら最後までアニメ化する事も期待もできます」

「うーん・・・」

なぜかケンイチがうなっている。

「どうかしました?ケンさん?」

「いや、なんでもないよ続けて」

「そうですか?他に僕が好きなのは・・・『君だけがいない街』も良かったですね!」

「『君だけがいない街』は面白かった!」

「あとはさっきケンさんからも出てきた『六畳半タイムマシンブルース』の・・・前作って言っていいのかな?『六畳半神話大系』も名作です」

「『六畳半神話大系』は面白い!絶対にオススメしたいね」

「ケンさんは他に何かオススメあります?」

「そうだな・・・今まで知樹が出してない作品だと・・・この前やってた『サマータイムバケーション』も面白かったよ」

「『サマータイムバケーション』良いですね!夏、孤島、タイムリープ、バトル・・・ヲタクの大好きな要素全部乗せって感じでした」

「あれも原作が完結していて、アニメが2クールで最後までやってるからオススメよ」

「ですね!あと・・・他にもタイムリープものの面白い作品はいっぱいあるんですけどね・・・そもそもタイムリープしているって事がネタバレしないから面白いって作品も多くて、ここでは名前を出せない作品もいっぱいあります」

「残念な事にそういう作品はたくさんある」

それはたしかに難しいな。

「あとは異世界転生のジャンルに出てきた『リゼロ』もタイムリープものです。SFではないですが・・・」

「『サマータイムバケーション』もSFというよりはタイムリープの要素があるバトルって感じだけどね」

「オススメはこの辺りですかね?」

SFの中の1つのジャンルだけでもこんなに作品が出てくるとは・・・

このジャンルの話はまだまだ続きそうだ。
















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