第3話 アニメ制作会社

「次は同じ製作会社のアニメでオススメしてみるのってのはどうですか?」

知樹が提案する。

それにしても話題が尽きないな。この日の為にわざわざ考えてきてくれたのだろうか?

それとも普段話を出来る相手がいなくて溜まっているのだろうか?ケンイチはあきらかに後者っぽいが・・・

「『けいおんぶ!』の制作会社は太秦アニメーションやな!太秦は名作が多いな!」

「『けいおんぶ!』はもちろんとしてさっき同ジャンルのアニメでもちらっと出てきた『轟けユーフォニアム』、多くの人間をヲタク沼に落とし込んだ『清宮ハルヒの憂鬱』、ミステリ作品を見事にアニメキャラへと落とし込んだ『氷菓子』、泣きアニメと言えば絶対に名前の上がる『クラナドゥ』・・・」

「最近だと泣きアニメで『バイオレットエバーガーデン』良かったよね・・・あとは好みにもよるけど、『はぴ☆すた』『厨二病でも恋がしたい』『佐藤さんちのメイドラゴン』みたいな萌え系アニメは素晴らしい作品が多い!」

待て待て待て!一気に作品の名前出し過ぎや!覚えられない!

「僕達はちょっと対象外ですが『FREE!』や『つるね』みたいな女性向けアニメにも強いです」

それだけ多くの名作を産み出した会社って事なんだな。アニメ界のスタジオジブリみたいなものか!いや、ジブリもアニメ制作会社だわ・・・何言ってんだ俺?

「どの作品にも言えるのは面白い面白くない、自分に合う合わないは別にして仕事が丁寧でクオリティが高いアニメを作るってイメージかな」

「太秦アニメーションの作品で作画が酷いなって話はあまり出ませんもんね。その話にも繋がりますが、原作モノをアニメ化した時に原作の魅力をアップさせるアニメを作ってくれる会社だと思います。」

「たしかに原作付きアニメに強い印象やな!逆にオリジナルって何かあったっけ?」

「『たまごマーケット』辺りですね」

「『たまごマーケット』かぁ・・・面白しろかったけど、あえて太秦の№1にあげる人は少なそう」

「『たまごマ』は劇場版がすっごく良くて最終的には評価が上がるんですけど、そこまでたどり着いた人がどれだけいるのか・・・」

「テレビ版はに日常ギャグがメインだけど、劇場版はしっかりラブストーリーしてるもんな。俺も劇場版の方が好き」

まーた置いてけぼりにされてる。俺へのプレゼンはどうなったんですかね??

「めっちゃ名前出てきたけど、俺へのオススメはどれなん?」

とりあえず2人の会話をこっちに引き戻す。

「よっさんへのオススメ・・・さっきも言いましたけど部活&音楽で『轟けユーフォニアム』は合いそうな気がします。

「じゃあ俺は萌え&日常ギャグで『はぴ☆すた』を推しておこう。古い作品だからギャグのノリとかキャラデザとかが今と合わない可能性はあるけど・・・」

「『けいおんぶ!』も似たような時期の作品だから、大丈夫じゃないですか?」

「まぁ・・・そうだな!俺もいつまでたってもるりるりは可愛いしな」

「ですです!いつまでたっても飛鳥は僕の嫁です」

なんとか結論は出たみたいで良かった。

「ちなみに2人とも太秦で1番好きなアニメはその2つなん?」

「違いますね」

即答かよ。

「うーん・・・1番かって言われると・・・俺も違うのを選ぶかな」

ケンイチ・・・お前もか・・・。

「それなら1番をオススメしてよ!」

「いや、アニメって一言で言ってもその人の好み、合う合わないは絶つつ対にあるからな!どんなに名作でどんな売れた作品でもこの作品嫌いやわって人は一定数おるから」

「今日はよっさんが好きそうなアニメはこの辺だなって話をしてますけど、僕達が好きなアニメとなるとまた別の話になりますよね」

そうだったのか・・・一応俺をメインで考えてくれてたんだな・・・ちょくちょく付いていけない話もあるんだけどね。

2人が好きなアニメについては、いつか別の機会で聞いてみたいものだ。

「俺が太秦で1番好きなアニメはやっぱり『清宮ハルヒの憂鬱』かな!」

勝手に話し出したわ。このしゃべりたがりのヲタクめ。

「ラノベ原作のSFベースの作品でキャラの魅力にストーリー、考察のしがいもあって太秦と言わず深夜アニメ全体で見ても最高傑作の1つだと思う。」

では何故オススメしないのか?

「でもな・・・原作のアニメも完結する気配がないのが辛いよね・・・せめて原作さえしっかり続いていればアニメの続きは原作で!って言えるんだけど、それすら許されない呪いのコンテンツになりつつあるから・・・」

あー。ファンはずっとお預けを食らってる状態なのね・・・それは好きになれば好きになるほど辛いかも・・・

「その作品に今からわざわざヨシハルに飛び込ませるのも酷かなって」

なるほど理解した。では知樹は??

「僕はどれも好きですがあえて1番を選ぶとしたら『バイオレットエバーガーデン』ですかね?王道の泣きアニメで劇場場も含めてどれだけ涙を流させられたか・・・」

「それは何故俺にはオススメではないん?」

「え?よっさんがアニメ見て泣いてるイメージがわかない。むしろこの場にいてすらよっさんがアニメを見ているイメージがわかないです」

なんじゃそりゃ!俺はもう立派なヲタクだよ!!

「いやいや!めっちゃ泣くから!「天使がくれたよ!」聞いたら今でも涙出るから」

「むしろその感覚の方が理解できないです」

「ヨシハルの人生のどこにぶっ刺さたんかわからんけど・・・そこで号泣するやつはヲタク界隈でもレアな人種だと思うわ・・・」

酷い言われようだな。

もっと他人の価値観を認め合わないと、これからの世間に流れには乗っていけないコンテンツになるぜ。多様性大事よ。

「じゃあ結局のところ『轟けユーフォニアム』『はぴ☆スタ』を見てみたらいい感じかな?」

「あーでも、その2作品も素晴らしいけど、急ぎで見なくてもいいかな」

「そう・・・ですね。制作会社でアニメをチョイスしても、ある程度のクオリティは保証してくれますが、結局は原作は当然の事、監督や脚本、作画チームによって全然別物になりますからね」

「そのある程度の保証すら、中の社員さんとかクリエーターさんの移籍等であてにならない事も多いから、制作会社だけでアニメ探すのはちょっと難しいかもね」

「太秦アニメーションでは少ないですが、去年まではすっごく良いアニメ作ってたのに、最近急に品質下がったな・・・ってアニメ制作会社もありますもんね」

えー・・・別にオススメされてない感じなの?

「ここまでのお話は何だったんですかね・・・」

「自己満足・・・かな」

「いろんな方向から議論するのも必要でしょ?」

お前らがしゃべりたいだけかよ!


じゃあもう少ししゃべらせてやるよ。

「2人が好きなアニメ制作会社とはあるん?」

「そうですね・・・」

「そうだな・・・」

悩みながらも楽しそうだ。やっぱりヲタクは語るのが好きだからね。

「僕はMAPPOが比較的好きですね」

まずは知樹が答える。

正直、アニメ制作会社の名前を言われてもまったくピンとこない。

「原作付きもオリジナルも、社風なのか尖った作品が多い印象です。映像にもこだわりが強いし・・・面白いかどうかは別にして、毎回ワクワクさせてくれます」

面白いかどうかは別にしていいのだろうか。

「どんな作品があるん?」

「一般的に有名なのは『迎撃の巨人』や『呪力廻戦』になるのかな」

ケンイチが答える。そもそもヲタク達は、どのアニメを作ったのがどのアニメ制作会社という事もいちいち覚えているのだろうか?俺は今までそんな事を考えた事がなかったんだが・・・

「ですね!あとは今期の『チェーンソー・マン』もMAPPOです」

「有名なやつばっかりじゃん」

俺でも知っているビッグタイトルばかりだ。

「いや、よっさんにわかりやすいタイトルをまずはあげただけですよ。けっこうマイナーな原作付きやオリジナルも多いですし」

「でも『うしこととらみ』だったり『どらら』だったり、『はじめの二歩』だったり有名な原作の作品を引っ張ってきてアニメ化するのが得意よな」

この3作品も漫画で有名なものばかりだ。

「たしかに言われてみればそうですね・・・でも僕はオリジナル作品の方が好きなんですよね」

「どんなんあったっけ?」

「『ゾンビィランドサガ』、『パンチライナー』、『リスナーズ』とか面白いですよ」

今度は知らない名前ばかりだ。

「『ゾンサガ』はめっちゃ面白かったな!あとの2つは・・・見たと思うけど、あんまり覚えてないな・・・」

「ですよね・・・一般的に売れたのは『ゾンサガ』ですが、あとの2つも面白くて僕はすっごい好きでした」

一般的に・・・ヲタクの一般ラインと俺の一般ラインは違うんだろうな。

「ケンさんは好きなアニメ制作会社はないんですか?」

知樹がケンイチに質問を返す。

自分の話を聞いてもらったら、相手の話も聞く。じつに礼儀正しいヲタクである。

「俺は・・・正直、アニメ制作会社にこだわって見たりはしないけど・・・あえて言うならTRYGGER(トライガー)の作品は好きなやつが多いかな」

やっぱり制作会社の名前には1つもピンと来ない。

それならばと、さっきと同じ質問をする。

「有名な作品はどんなやつがあるん?」

「『グランラガン』、『キルキラル』、『リトルウィッチアカデミー』・・・最近だったら『サイバーパンクエッジファイターズ』とかかな」

「うーむ・・・名作揃いですね!最新作の『サイバーパンク』も凄かった!」

あら?有名作品を聞いたはずなのに、知ってる作品が1つもないぞ。

「あれ?もっと有名な誰でも知ってる・・・みたいなやつはないの?」

「うーんそういえば有名原作のアニメ化はあんまりしないかな?」

「『ニンジャスラッシャー』がありましたけど・・・アレはね・・・」

「まぁアレはな・・・」

俺はまず有名原作で名前を出された『ニンジャスラッシャー』を知らないワケだが・・・

しかしながら何か二人だけには通じるものがあったみたいだ。

「TRYGGERはどっちかって言うとオリジナル作品が得意なアニメ制作会社って印象やな。あと本数は少ないけど、どれも面白いってイメージが俺にはある」

「結局、アニメ制作会社ってイメージだけですよね。良く言うと会社ブランド」

「好きな作品のアニメ化が発表された時に、この制作会社か、やったーとか、うわーとかは少なからず、アニメが始まる前に考えてしまう事はあるもんね」

「ですね。だからこそよっさんにはまだ選り好みをしないでまずはいろんな作品を見て欲しいと思うんですよね」

「いろんな作品を見ていくうちに、そう言えば気に入った作品は同じ制作会社の事が多いなってなるかも知らんし」

「まぁヲタク初心者のよっさんには制作会社でアニメを選別するのはまだ早いって事ですよ」

じゃあなぜこの話をしたっ!

やっぱりお前達が語りたいだけじゃないか!

多分このテーマはこれ以上続けても俺の実益にはならない・・・次の話題に行こう・・・



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