第6話 光子夫人

日本大使館での会話 

光子夫人は笑顔で懐かしい日本語での会話を楽しんでいた。


「夫 私のパパ 

ハインリッヒは人種も宗教も違った異国人である私をそれは愛してくれました」

光子伯爵夫人は彼女の黒い瞳を輝かせてそれは嬉しそうに言うのだった。

「私を侮辱する者に決闘をするとも うふふ」


「哲学者で宗教にも寛容な考えを持つ研究者でもありました

大学では幾つかもの学位を‥」

「日本ではお寺の方とも御話をしておりまして 欧州へ帰国の船では

ユダヤ人の方達ともそれにイスラムの方々にインドの方とも仲良くして」


「インドでは象も乗りましてよ 

暑い国でしたから水がとても美味しく感じました」


「私の場合は学位を沢山持ち語学の天才だった夫ち違いますから」

ふうとため息をつき 久方ふりの緑茶を味わいながら


「私は女ですし、少女時代は高い教育の機会は無かったのですが

夫や子供達の為にも家庭教師について沢山学びました

語学に歴史に地理‥マナーに乗馬」


「ただの町娘でしたのに うふふ」


「子供達にも沢山勉強させたので それに私は神経質にもなって

日本恋しさに いつの間にか子供達の心は離れてしまったのです」


「夫は パパは本当にこの子達の為にもマカオに帝国の大使として

赴任する予定でしたのに‥領地経営を主体にする事になりました」


「華やかな社交界も 素敵でしたわ」

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