第2話 まとめて潰してあげますから。
「私の婚約者に手を出したら、
許さないわよ。」
フランソワから知らせを聞いて
アリアは急いで馬車を走らせていた。
「フランソワの役立たず!」
なんのために、
こちらがお膳立てをしたと
思っているのか。
「そう怒らずとも
良いでは無いですか。」
と、正面に座るエルマンが言った。
エルマンは西の商家の息子である。
特徴的な白色の髪に、青い目を持つ。
気味が悪いわ、と
アリアはいつも思う。
「リリ嬢が惚れ魔法に弱いことは
はっきりと分かったわけですから。
また違う男に
あてがえば良いだけですよ。」
エルマンは魔法に精通しており、
アリアは何かあれば
この男を利用していた。
今回は、リリに
『フランソワのことを好きになる』
という、魔法をかけてもらったのだ。
「そんなじれったいやり方じゃなくて、
リリに呪いをかけてよ!」
幼い頃からチャーリーにつきまとうあの女を
なんとかして排除したいのに。
「まぁ、そう焦らずに。
呪いは、失敗すると
自身にはね返ってきますよ。
それに、、」
エルマンは言葉を止めた。
エルマンの何か芝居がかった言い方も
アリアには気に障ってしょうがなかった。
「なによ?!」
「あまり派手に動くと、
王子様に
気づかれてしまうかもしれません。」
アリアは俯いて、拳を握った。
「彼に恨まれたくはないでしょう?
だからゆっくりリリ嬢を
王子から引き離すのです。」
馬鹿な女だ、
エルマンは心の中で呟いて
アリアを眺めた。
ただ、この女は利用できる。
チャーリーを破滅させるために
慎重にことを進めてきた。
それに加えて
エルマンはリリ嬢の持つ
ある秘密に気がついた。
リリ嬢は『生贄』に
丁度良いかもしれない。
「まとめて潰してあげますから
アリア様は安心して
良いのですよ?」
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婚約破棄の次の日に王子と結婚してやったけど文句ある? 皐月ふう @fuchan22
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