ディナーの後で……
たから聖
第1話 ディナーの後で……幸せな日々。
朝からウチの妻は良く働く。
掃除に洗濯に、と……バタバタと慌ただしく動きまくっている。
俺が話しかける。
『なぁ、
妻の悠里が答える。
『えー?!何~?聞こえなぁい!』
部屋中どころか、家中をピカピカにしているが、
毎週毎週、ウチの妻はホントに
立派なモノだ。
俺は散歩に行く振りをして財布をポケットに入れる。
妻の誕生日も、そろそろだな?
フと考え、俺は外に出た。
もうすぐ12月が近いと言うのに
ホントに良い散歩日和だ。
結婚して3年目……
俺達の間には子供はなかなか、
授からない。
『早く
ふぅ、と……息を漏らすと
ある不思議な雑貨屋が目に止まる。
俺は吸い込まれる様に、その雑貨屋へと入る。
店主が、じぃっと俺のことを見つめながらも語り出す。
『あんたさんで、本日3人目だ。ようこそ。いらっしゃいませ。』
俺は不思議に思い答える。
『確か?ここに前ケーキ屋さん
ありませんでしたっけ?』
店主は、
『あぁ、母親が趣味と実益兼ねてな。でも…………。』
店主は口をつむぐ。だが俺は
空気が読めなかった。
『すっごい美味しかったなぁ。
あのケーキ、また食べたいな?』
『雑貨の中にも、ケーキ作りが
出来るオモチャ、あるけど。』
店主は口は、動くが目が笑ってない。俺は違和感を覚えたので、
『あ~良いです!他に行きますから。』
店を出ると、雑貨屋の店主は、
俺を目で追っていたが。
『気味悪い雑貨屋だな?まぁ、早々に潰れるだろうな?』
さて……と俺は
ドンドン歩いて行き、遂には
街中のデパートに着いてしまった!
『しまったぁ!こんな事なら
お金をもっと持ってくれば!』
だが、デパートとは言え片田舎なので、値段もそれほど高くない。
デパート内をウロウロしていると、あるものに
目が行ったのだ!これは?!
『アイツにピッタリなドレスだ!!』
食い入る様に、ドレスを眺めていると、
またもや店員に捕まった!
『いかがされましたか?このドレス素敵ですよね?』
『ええ。ホントに……』
『プレゼントですか?』
『ちょっと……妻に……』
『ふふふ。ロマンチックですね?奥様が羨ましいです!お求め安いですけど。どうしますか?』
俺は慌てて、財布を取り出し中身を確認する。
店員さんも財布を見つめながら。
二人で、、、 思わず。
『あ!!あ~ぁ!』
千円足らない!!店員さんも苦笑交じりに、困った顔を見せた。
そして、店員さんは僕にある提案をしてきたのだ。
『お客様??このドレス、千円オマケしますから。今度の日曜日
お食事しませんか?』
『え…………?お、、、俺?』
俺は、その取り引きを無視して
その場を走り去った!
『あんな可愛い妻を裏切れる訳無いだろ?』
俺は、慌てて食べ物屋を見付けたので入って行くと、
なんと!!!
ケーキが売っている!ではないか?!
俺は有頂天になり、早速ケーキを持ち帰りで!!と頼んだ。
街中を久しぶりにブラついたけど今日一日、いろいろあったな?
と……。
大事そうに。ケーキを持って
帰ってくると、
家からは、甘い香りが漂っていた。
まさか??!
慌てて家に入ると、
妻の
俺は思った。
やっちゃったなぁ!!と……。
でも……2度美味しいから、良いよな?と思いながらも
お菓子作りをしている
抱き寄せた。
『ごめん。重なっちゃったな。』
妻の表情は、ぱぁっと明るくなり
『ううん。嬉しいわ!』
『いつも、ありがとうな?』
『ふふふ。私が好きでしてる事だから。』
『ホントか?疲れてないか?!』
『うん。楽しいから。』
悠里は、出来た妻だ。
俺には、もったいないくらいだ。
その夜、ケーキを何種類と食べた俺は……ソファーの上で
寝てしまった。
ん!?チクチク痛い。
そう思いながらも深い眠りについた。
『この時を待ってたわよ。あなた。ふふふ。』
首に、かぶりつくと血を吸いながらも満足げに幸せな表情を浮かべる。
『ふふふ。あなたが美味しモノを食べれば、食べるほど。
私は、新鮮な血が飲めるのよ?
ふふふ。』
出来た妻……を演じていただけでホントは
血が欲しいだけだった事を俺は知る由も、なかった。
ディナーの後で…… たから聖 @08061012
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