龍神ドライガー

山ピー

新たなヒーロー

第1話「龍神復活」

超戦士グレイザーがゲシェードを倒して3年の月日が流れた……。


−警視庁−

特殊訓練施設に葛城警視(25歳)と藤波博士(56歳)

「いよいよですね」

葛城が話し掛ける。

「ああ……彼はどんな人物なんだ?」

藤波博士が尋ねる。

「彼はとても精神力の強い、優秀な若手刑事ですよ。まぁ、若手と言っても自分と同い年なんですけどね」

葛城と藤波が話していると、一人の男が入ってきた。

「準備出来ました」

「よーし……では最終訓練を開始する」

合図をするのは特殊犯罪対策班の班長、小田克也(おだ かつや)警部(41歳)

「了解」『変身』。

男が変身したのはグレイザーの後継のシステムとなるGTN-1(グレイザー ザ ネクスト 1号)。

警察用に藤波博士が開発した新たなグレイザーだ。

GTN-1は白に青のラインが入ったグレイザーとは対象的なカラーリングだった。

左胸には日本の警察を象徴する桜の紋章があしらわれている。

「訓練開始!」

小田の合図で訓練用のロボットが攻撃して来る。

GTN-1はそれをかわし『Gブラスター』と名付けられた小型銃で反撃。

その命中精度は確かで、全て訓練用ロボットに命中。

ロボットの動きを止めた。

「おおー!」

声を上げたのは藤波博士。

そこに居た誰もが納得する出来栄えだった。


変身を解除。

変身者のこの男は特殊犯罪対策班のメンバーの一人、火村淳(ひむら じゅん)(25歳)

「やりました!」

「凄い!」

拍手を送る女性。

彼女も特殊犯罪対策班のメンバー。

川島光(かわしま ひかり)(24歳)


所変わってここは都内の河川敷。

草の上に寝転び昼寝をする男。

これが主人公神上勇一(かみじょう ゆういち)(22歳)

男は眩しくない様にタオルで目隠しをしていた。

男は夢を見ていた。

それは子どもの頃から何度も見る夢……。

それは龍神が邪神や手下達と戦っている夢……。

全ての敵をなぎ倒したあと、龍神はこちらを見ている。

いつも夢はここで終わる。


誰かが、雑誌で勇一の顔面を叩く。

「痛っ!?」

勇一は飛び起きると、そこには幼馴染みの工藤香織(くどう かおり)(22歳)が立っていた。

「香織〜何すんだよ!痛ってぇなぁ!」

文句を言う勇一に笑いながら話し掛ける香織。

「こんなとこでサボってんじゃないわよ!……おじさんが呼んでたよ」

「父さんが?」

香織は勇一を連れて勇一の実家の神社に行く。


−龍宝神社−


ここが勇一の実家で1000年以上続く由緒正しき神社だ。

神社の境内には御神木があり、その奥の本堂に勇一の父で、神主の神上正信(かみじょう まさのぶ)(57歳)が居た。

「おじさ〜ん、勇一連れて来たよ〜!」

香織が勇一の手を引いてやって来た。

「おお、すまなかったね香織ちゃん」

香織が急に止まるので、勇一が転けた。

「痛って!」

「勇一、何処に行ってたんだ?お前に話がある」

そう言って正信は奥の部屋に入って行った。


奥の部屋では正信と勇一がテーブルを挟んで座る。

「で?話って?就活の事か?」

最初に口を開いたのは勇一だった。

「いや、今日は違う。まぁ、就活の方は頑張って貰わないと困るが、それとは別にな。お前、子どもの頃から良く龍神様の夢を見るって言ってただろ?」

「ん?あ、ああ」

「それは何かの前触れかも知れん。そろそろお前にコレを渡しておこうと思ってな」

そう言って正信は小さな桐の箱に入った『龍の宝玉』を見せた。

「これは?」

勇一が尋ねると正信が説明を始めた。

この『龍の宝玉』は龍宝神社で代々保管されて来た龍神の力を宿すと言われる宝玉で、持ち主に龍神の力を与えるらしい。

何故、今それを出したのか、それは近い内に数千年に一度復活する邪神が蘇ろうとしている事、そして、それを止めるのが龍神の役目であるから。

数千年前にも邪神が世界を滅ぼそうとした時、龍神の力を与えられた者がそれと戦い平和を取り戻したと言われている。

「じゃあ、その邪神って奴がもうすぐ現れるのか?」

また、勇一が尋ねた。

「ああ、そうだ。そして、今度はお前が龍神様のお力を借りそれを倒すのだ」

「ふ〜ん……まっ、いいや。何とかなるっしょ」

勇一は『龍の宝玉』を受け取った。

「お前……軽いな……もっと渋るかと思ったぞ……」

「小さい頃から龍神様の話は聞かされてるからな。抵抗ないっていうか……」

そう言って勇一は出て行った。


その日の夜、葛城は対策班のメンバーと藤波博士を集め親睦会を開いていた。

「皆さん、ご協力ありがとうございました。今日は私の奢りです。遠慮なく食べて下さい」

「火村さん、訓練お疲れ様でした」

葛城が火村と乾杯をする。

「ありがとうございます。自分が頑張れたのも、葛城警視や皆さんのご協力あってこそです」


親睦会終わりに葛城と藤波博士が歩いていた。

「すみません……私が飲んでいなければご自宅までお送りしたんですが……」

葛城が藤波博士に話し掛ける。

「いやいや、気にしないで下さい。でも珍しいですね、葛城刑事……あっ、いえ警視がお酒を飲むなんて」

「ハッハッ、言い直さなくていいですよ……博士のお陰で我々警察も守君と同じ力を得る事が出来ました。まぁ、使わないのが一番何ですが……」

「そうだな……だが、バルバの件もあるし、いつまたあんな敵が現れるかわからんからな……」

「そういえば、守君はどうしてます?」

「ん?ああ……彼もアメリカで頑張ってるよ。留学して向こうの研究機関に興味を持ったらしくてな。研究に没頭してるんじゃないか?」

「宇宙工学か……私もゲシェードの件以来勉強しましたが、流石についていけなかったですね……」

そんな会話を2人がしていると……。


「きゃー!?」

近くで女性の悲鳴が聞こえた。

葛城と藤波が行ってみると。


そこにはコウモリの様な姿をした怪人が女性を殺害していた。

「ゲシェード!?」

葛城が驚く。

「そんなバカな……」

コウモリの怪人は葛城と藤波にも襲い掛かった。

「うわっ!?藤波博士、逃げて……」

葛城が必死にコウモリの怪人を取り押さえる。

藤波博士は火村に連絡。

「はい、火村です」

「火村さん、直ぐにGTN-1を出動させてくれ!ゲシェードの怪人が現れた!!」

藤波博士は場所を伝え電話を切る。

コウモリの怪人は葛城に噛みつこうとしていた。

物凄い力で葛城を抑え付ける。

コウモリの怪人は葛城の首を狙って噛みつこうと迫る。

藤波博士が鉄パイプをコウモリの怪人に投げつける。

コウモリの怪人は今度は藤波博士に向かって来る。


コウモリの怪人が現れた事を勇一は気配を感じていた。

勇一がバイクで現場に向う。


コウモリの怪人が藤波博士に迫る。


そこに火村が到着。

「待て!俺が相手だ!」『変身』。

火村はGTN-1に変身した。

コウモリの怪人はGTN-1に襲い掛かる。

GTN-1は『Gブラスター』で応戦。

しかし、攻撃が通じずコウモリ怪人はGTN-1を襲う。

「何っ!?効かない!?」

コウモリ怪人はGTN-1に攻撃を続けGTN-1は大ピンチに。

壁に叩き付けられ、大ダメージを受けた。

「そんな……」

自分が作ったシステムが全く通用しない事に藤波博士は絶望した。


コウモリ怪人はGTN-1にトドメを刺そうと迫る。

そこに勇一がやって来た。

勇一はバイクを降り『龍の宝玉』を空に掲げた。

『変身』。

勇一は龍神の姿となった。

「龍神か……」

コウモリ怪人が喋った。

「ん?あ、ああ……そうだけど……もっとヒーローっぽい呼び方がいいな……ん〜……龍……ドラゴン……あっ!」

勇一は何かを思い付いたようだ。

龍神ドライガー。

そう名乗った。

「ドライガー!?」

藤波博士も驚く。


ドライガーがコウモリ怪人と戦い始める。

しかし、そこに通報を受けたパトカーが到着し、パトカーのライトを浴びたコウモリ怪人は逃げてしまった。


仕方なくドライガーも帰る。

「あっ、待ってくれ!君は一体!?」

藤波博士が引き止める。


しかし、ドライガーはそのまま帰って行く。


藤波博士達から離れ勇一は変身解除。

「これが……龍神の力……」


勇一も龍神の力に驚いていた。


続く……。

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