第6話ITO派経済学6 ~ザイム真理教の本質~

頑なに「緊縮財政」「増税」にこだわる財務官僚をはじめとする日本の守旧派、いわゆる「ザイム真理教徒」の正体ですが。これは皆わかりかねている。やれ、アメリカや中国、GAFAM、ダボスマンの陰謀だとか。統一教会が裏で糸を引いているのだとか。ここまでくると一種の陰謀論なのですが。


そもそも緊縮財政は90年代から日本の国策として財務省を中心に行われてきた経済政策で、民主党政権下でも一貫していた。その間、日本の経済成長は止まったままだった。いわゆる平成の「失われた30年間」です。


実は、2008年のアメリカ中央銀行FRBがQE(大規模金融緩和)を、2012年に日銀がアベノミクスを始めるまではそれで正解であった。既存の世界の経済体制、経済学が新しいフェーズに入ったのはこのサブプライムローンショックを発端とした世界金融危機。その対応策として始められたQEが全く新しい経済の世界をもたらしたのだ。


中央銀行が国債を買い支え、長期金利を限りなく低く誘導し続け、財政破綻を免れながら、同時に政府が国債を大量発行して大規模な財政支出をおこない経済成長を促すという、いわゆる「国債本位主義」。MMTともいわれる。


殆んどの主要国はこうした手法で政府支出をおこないGDPを着実に増やしてきた。だがその間日本国だけがおもに財務省の意向で政府支出を拒み(緊縮財政)それに相関してGDPも労働者賃金も増加しなかった。


確かに「失われた30年間」を日本は経験したのだが、QE以前と以降では内容がまったく違う。QE以降はそもそも財政破綻を恐れたり緊縮財政を続ける理由がなかったし、不正解だったのである。いま、多くの若手経済学者、エコノミスト、有識者、政治家はこの事実に気づきつつある。


結局、財務官僚、大手マスコミ、御用聞き学者、守旧派政治家たちは面子や従来の自説にこだわって、振り上げたこぶしを下せなくなっているタイプと、あるいは本気で新しい経済の常識の到来に気づいていない「天然さん」の2種類に分かれるのではないか。


しかし、ベン・バーナンキのノーベル賞受賞に見るように世界のスタンダードは否応なくそちらに舵を切りつつある。新時代の到来。人類が今後100年間にわたって大繁栄期を迎えるルネサンスの序章ではないだろうか。単純にお金がたくさん遣えたら、モノやサービスが飛ぶように売れたら、何より生活が今より遥かに豊かになったらどうだろうか。それを好景気と呼ぶのであり、100年続いたらルネサンスである。


疫病(コロナ禍)、テロ、戦争と続いた後に、結局人間を平和にするのは経済であると。「It's economy , stupid !(結局は経済だ、バカ者!)(ビル・クリントン」。経済が立ち直れば福祉も行き届き、若者も安心して恋愛して出産子育てできるようになる。少子高齢化も解決し、すべてが好循環となるのである。衣食足りて礼節を知る。

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