第7話ITO派経済学7 ~バルク経済学~
われわれリベラル派の経済学派がアダムスミスやマルクス、ケインズを超えた瞬間です(^^)v
政府支出と経済成長率は相関する。税は財源というより景気の調整弁のひとつで、景気が悪いときは財政出動、減税。逆に景気が過熱した場合は財政緊縮、増税で対応する。その間、財政ファイナンス(国債の引き受け)だけは忘れてはならない。
ではなぜ現代に新しい経済学が必要となったか。ひとつは金融政策の機能が麻痺しているという点。ゼロ金利プラス大規模金融緩和をしてももはや経済の閉塞を打破できな状況が長く続いた場合。財政政策がもうひとつの景気の調整弁となるのである。
一方で経済の歴史を紐解くと、長期で見れば政府支出は一貫して増大し続けてきたという史実がある。また2008年以降のFRBによるQE(大規模金融緩和)以降、事実上の国債本位制へと主要国は移行している。
つまり今までのケインズ経済学では金融政策、金利の上げ下げが景気の調整弁でしたが、現代の経済学ではこれに財政政策も加わる。つまり今後政府支出により景気が過熱した場合あるいはインフレ率が高まった場合、増税や緊縮財政といった財政政策により経済の調整を図っていく。
金融政策と財政政策が両輪となって実体経済を調整していくわけです。そして100年後また人類の経済が行き詰る場面も出てくることが予想される。その場合、その時代を生きる経済学者たちは躊躇うことなく「今の時代」の経済学を踏み越えていくべきだ。これはケインズも指摘していたこと。
経済学はモラルサイエンス(社会科学)でありナチュラルサイエンス(自然科学)とは違う。絶対の正解、真理はその時代によって異なってくる。「真理の複数性」。以前千葉雅也さんが指摘しておられた。最終的には経済の歴史と変遷を哲学的に、碩学的に紐解き、新しい経済学を常に発見していくのが、
経済学者の宿命であると。温故知新。時には保守的であることも大切だが時には創造的であれと。そして、現代の日本は明らかに積極財政、減税をすべきとき。
為替は金利差で決まる。 第三の経済学というのは、ミクロ(micro)経済学(個人の経済)、マクロ(macro)経済学(国単位の経済学)に対して、世界全体、地球規模での経済動態を考える、仮にバルク(Bulk(立体的な))経済学と名付けます。このバルク経済学では主権国家同士の最も大きな経済関係である、「為替」を計算する必要があるのです。では為替を決める金利とは何か?一番は「長期金利」であり、その誘導指標である「政策金利」「インフレ率」も重要な金利ファクターとなる。
なぜ今年円安が進んだか。それは世界的なインフレで各国が軒並み利上げに踏み切るなか日本だけがゼロ金利政策を続けたから。なのでわたしは日銀の利上げに一定の理解を示します。為替のために政策金利を各国と歩調を合わせる必要がある。
一方で、財政出動はやらなければいけない。ここがザイム真理教徒がもっとも勘違いしている所で。アメリカをはじめ主要国は政策金利を上げながら同時に財政は積極的なのです。いわばアクセルとブレーキを同時に踏んでる状態。矛盾していますがこの点も他の主要国と歩調を合わせる必要がある。
世界的なトレンドに乗ること。これは地球規模で考える「バルク経済学」ではもっとも重要なことでもあります。
世界の経済のトレンドというのはまずアメリカから始まります。これは1930年代以降一貫している。理由の一つが通貨供給量、世界のマネーストックですね。これを見るとアメリカドルの供給量が頭抜けている。つまり地球規模で見ても政府支出=マネーストックが経済力どころかヘゲモニー(覇権争い)まで致命的に決めてしまう。またここでも、ニワトリとタマゴの話で覇権を握ってるからマネーストックが増やせるのか、マネーストックを増やしてきたから覇権を握ったのか。恐らく両輪なのだと思います。どちらが欠けてもアメリカのヘゲモニーはなかった。
他方で現代はアメリカ一強から多極化に向かう時代でもあります。ユーロや中国といった地域もマネーストックを増やし虎視眈々と覇権を狙っている。日本もやはりマネーストック(政府支出)を増やすべきだと思います。それは日本一強を狙うという意味ではなく世界に向けた逆説的な平和へのメッセージ。伊東乾の言う「究極のパワーバランス」なのです。
どのみちこれから世界は多極化に向かうのですから。軍事力だけでなく経済力も世界のパワーバランスを意識しながら付けていく必要がある。まずは世界のトレンドに乗りほどほどの政府支出とほどほどの経済成長。それがうまく行くようであればその先もまた他の主権国家、マーケットと対話をしながらベストの方策を探っていくと。つまり諸外国が許すのなら世界をけん引するような日本発の超好景気。100年続くルネサンスですよね。
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