第55話 救援
私たちを取り囲んでいる輪の外側がワアワアと騒がしくなってきた。
「なんだ?」
見ると、王国軍の騎馬隊数十騎が、私たちに向かって近づいている。
ガーリック将軍、ローズマリー先生も一緒だ。
みんなボロボロになりながらも勢いで突き進んでくる。
私は騎馬隊に『
「ガーリック将軍! サフランがあそこにいますよ!」
「よし、もう少しだ。行くぞ!」
私は、取り囲んでいた帝国軍の『
「ガーリック将軍! ローズマリー先生!」
「おう、無事だったか。ハバネロとペッパーはどこに?」
「あそこで伸びています!」
ガーリック将軍は、皇帝ハバネロの元に行くと躊躇なしに首を
続いて、ペッパー将軍の元に行くと縄で縛り上げた。
「サフラン、こいつに『
「は、はい。わかりました」
「ペッパーはハバネロに操られていた哀れなやつだ」
そうか。さっき私がされたように、ペッパーはハバネロの精神干渉系のスキルに侵されていたのか。
私はペッパーに『
「む、むむ。私はいったい……」
「気づいたか、ペッパー。悪いがハバネロは討ち取らせてもらった。投降しろ」
「そうか……。我が軍は負けたのか」
縄に縛られたペッパーは
*****
「サフランよ、こたびの戦功は第一である。その方に名誉国民の称号を与える。他に余が可能な褒美であればなんでも取らせよう」
「そうですね……。ではカルダモン伯爵の治めるあの都市に、ローリエと暮らすための土地と家を頂けないでしょうか」
「たやすいことだ。カルダモン伯爵に話して場所を融通してもらおう。しかし王都ではなく、あの地方都市が良いのか」
「はい。王都は華やかで良いのですが、ローリエと暮らすにはあのぐらい落ち着いた場所のほうが良いかなと」
「そうか。たまには王都に遊びにきてくれ」
「はい、もちろんです」
*****
その日、王都中がお祭りのようになっていた。
そして、王宮では戦勝祝いの大宴会が催された。
大宴会に出席したは良いものの、貴族ばかりで知っている人は全然いない。
そこにスターアニス王女が声をかけてくれた。
「サフランさん、良いかしら?」
「スターアニス! 助かったー。話せる人が全然いなくて」
「ふふ。もうしばらくは王都にいるの?」
「明日は観光と買い出しをして、明後日には帰ろうと思ってます」
「そっか……。また、地方巡幸するときには護衛依頼を指名させてもらうからね」
「ええ、その時はぜひ呼んでください!」
そうして、私たち……つまり私、ローリエ、ローズマリー先生、パセリ、ジンジャー、マスタードは翌々日に王都を立ち、帰路についた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます