第51話 ガーリック将軍

 翌朝、私たちはマッサマン平原に向かう王国軍の集合場所に来ていた。


「そういえば、ローズマリー先生は迷っていたけど、どうすることにしたんだろう?」


 そう言っていると、ローズマリー先生が現れた。


「おはよう。サフラン、ローリエ。私も行くことにしました」

「おはようございます。ローズマリー先生」

「おはようございます。無理して行かなくても良かったんじゃないですか?」

「いえ、無理はしていませんよ。本来、A級冒険者は、魔物の討伐、盗賊の捕縛、町の治安維持などが主な役割です。私の矜持きょうじとして、戦争で人を殺めることに対して踏ん切りがつかなかったのです」

「では、やっぱり行かないほうが良いのではないですか?」

「いえ、私は友であるサフランとローリエを守るために参加することにします。それで今日ここに来ました」

「そうなんですね。ありがとうございます。ローズマリー先生がいると心強いです」


 やがてコリアンダー大王とガーリック将軍が姿を見せた。


「おはようございます。私たち3名が従軍いたします」

「来てくれたか! 心強い。私とともに行動してほしい」


 私たちはコリアンダー大王やガーリック将軍の後ろについていくことになった。


「よーし、出発だ! マッサマン平原に向けて出発!」


 *****


 数日後、マッサマン平原に到着すると、ハバネロ帝国軍は既に陣を敷いていた。


「大王様、ただいま戻りました」

「おう、ナツメグか。どうだった?」

「ハバネロ帝国は、皇帝ハバネロ自らマッサマンに来ていました。それとペッパー将軍も来ています」

「ペッパーの野郎か。大王様、あいつと一騎打ちの許可を」

「いいだろう。ガーリック将軍、よろしく頼むぞ」

「ハッ」


 ハーブス・パイス王国軍は陣を敷くと同時に、ガーリック将軍はハバネロ帝国軍のペッパー将軍に一騎打ちを申し入れた。


 私たちもガーリック将軍と一緒に出陣し、手前で一騎打ちを見守る。

 ガーリック将軍とペッパー将軍はお互いに名乗り合い、一騎打ちが始まった。


 ガーリック将軍は薙刀や青龍偃月刀のような武器を使っている。

 対するペッパー将軍はいわゆる槍だ。


 ガーリック将軍はその筋骨隆々とした体つきから繰り出される強烈な斬り、そしてペッパー将軍の鍛え上げられた腕から繰り出される鋭い突き。何十合も打ち合っているが、勝負はつかない。


「勝負がつかんな。一旦引かせよう」


 いつのまにか私たちの横に来ていたコリアンダー大王がそう言い、引き上げの合図を出させる。

 一騎打ちを止め、ガーリック将軍が引き上げてくる。

 ペッパー将軍も自陣に引き上げようというその時、ハバネロ帝国軍の陣から大軍がこちらめがけて、打って出てきた。

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