第50話 結婚式

 翌日、予定通りローリエと大聖堂に行った。

 控室でローリエはタキシードに、私はウェディングドレスに着替える。

 そこにバジル大司教がやってきた。


「ローリエさんにサフランさん、今日はよろしくお願いしますね」

「こちらこそよろしくお願いします。昨日の今日で突然の結婚式で申し訳ありません」

「はっはっは。たしかに急でしたね。でも国王の依頼とあれば断れませんよ。ちょうど今日は大聖堂も私もスケジュールは空いていましたし」

「せっかくのお休みの日にありがとうございます」

「いえいえ、気にしなくて良いですよ。それで今日の段取りですが……」


 バジル大司教から式の手順を聞く。

 最初から私とローリエで入場するというぐらいで、他は地球の教会式と大差ないようだ。


 *****


「いくよ、サフラン」

「うん」


 私とローリエは手を繋いで、ウェディングロードを歩く。


 通路の片側にはローズマリー先生、パセリ、ジンジャー、マスタードが立っている。

 もう片側にはコリアンダー大王、スターアニス王女、ナツメグさんが立っている。

 大聖堂という広い場所には少しさみしいけれど、ここにいるみんなは私とローリエを祝福してくれている。


 祭壇の前で、バジル大司教が待っている。私たちはそこで立ち止まった。

 バジル大司教が何か話した後、みんなで賛美歌を歌い、そしてローリエと誓いの言葉を交わす。

 指輪の交換をした後、結婚証明書にサインした。

 あまりの緊張に、夢うつつのまま進んでしまって、自分が何を話したのかも覚えていない。そういえば、指輪の調整は間に合ったんだ。


 気づいたら、ローリエとウェディングロードから退場していた。


「大丈夫? サフラン」

「ぷはー! 大丈夫じゃない大丈夫じゃない。緊張して何も覚えてないよ」

「あはは。さあ、最後にブーケトスだよ」

「そっか。行こう行こう」


 今度は大聖堂の外に出て、フラワーシャワーを浴びた。


「おめでとう!」

「おめでとう!」


 そしてブーケを放り投げると、ローズマリー先生がキャッチした。

 私には『加速クイック』を使ったように見えたけど……。


 こうして結婚式が終わった。みんなに祝福され、最高の一日だった。


 *****


 その日の夜。


「サフラン、結婚指輪の交信ってどんなものかな?」

「よし試してみよっか!」


 ローリエ(聞こえる?)


「え? 何か喋った?」

「あはは。喋ってないよ。指輪に意識をおいて相手に伝わるように念じるんだよ」


 サフラン(こう?)

 ローリエ(そうそう)

 サフラン(へー! すごいね!)

 ローリエ(まあ、普段は常に一緒にいるから使う必要はないかな)


 私はふと思いついて、ローリエの目を見て念じた。


 サフラン(ローリエ、愛してる)

 ローリエ(え? ふふふ。私もよ、サフラン、愛している)

 サフラン(キスしていい?)

 ローリエ(いいよ)


 私とローリエはベッドに倒れこみ、相交わった。

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