第43話 ネメア2
ネメアの魔法が私とローズマリー先生を襲う。
ローズマリー先生は鮮やかに避けていくが、私はそうはいかない。
ネメアの咆哮と同時に『
ネメアの魔法による雷が私に落ち、痛みと衝撃を感じた直後に、その痛みが引き体が治される感覚に包まれる。
何度となくネメアの雷と私の『
後方からのジンジャーの牽制が利いているのか、さきほどよりかは雷の間隔が長い。その間に私はネメアに詰め寄ろうとする。
先にネメアの元に到達したローズマリー先生が、その剣撃をネメアに向ける。
しかしネメアの表皮は頑丈であり、ローズマリー先生の剣撃をもってしても刃が通らないようだ。そこで、ローズマリー先生は動けないネメアの脇腹や
「これほどとは……」
ローズマリー先生が困惑しているところに、私もネメアの元に到達した。
まずは前足の関節を狙って、錫杖を振り上げた。
「ええい!」
グシャッと足関節を砕く手応えを感じる。
しかし、いつもなら錫杖の一発で魔物は吹っ飛ぶのだが、ネメアは微動だにしなかった。せいぜい体勢を崩して
「サフラン、みぞおちを狙ってください!」
ローズマリー先生の声を受けて、私は渾身の突きをネメアのみぞおちに食らわせようとした。
しかしネメアの前足が私を横殴りにした。
不意を突かれた私は横に吹っ飛び、地面に叩きつけられる。
「サフラン!」
ローズマリー先生の声が聞こえる。
意識が朦朧とする中、必死に『
体が癒されるのを感じる。
錫杖を杖代わりに何とか立ち上がろうとした。
その直後、今度はネメアの雷が私を
しかもネメアも本気なのか超強力なやつだ。
体に激痛が走り、ついに意識が飛んだ。
*****
後にローズマリー先生から聞いた話によれば、意識を失いつつも、私は錫杖を立てたまま気を失っていたらしい。
ネメアの雷が何度も私に落とされていたが、雷は私ではなく錫杖に落雷していたそうである。
ネメアが私に気を取られている隙をついて、ローズマリー先生はネメアの両目を刺突した。
目が見えなくなったネメアは四方八方に落雷を落とすようになっていた。
私を狙った執拗な雷は止んだが、ランダムに落ちる雷によってローズマリー先生も回避が難しくなり、何とか私を連れて一旦撤退しようとしていたとのことである。
*****
私は意識を失った中、夢の中でローリエの声を聞いていた。
「サフラン! サフラン! 起きて!」
耳元でローリエが叫んでいる。
体が揺さぶられるのを感じる。
揺さぶられているのではなく、これは心臓マッサージか。
ローリエが私を蘇生させようとしてくれている。
ローリエの涙が私の顔に零れる。
ああ、ローリエ。愛している。泣かないで。
まだまだローリエとの時間を過ごしたい。
ここで死ぬわけにはいかない。
私の心臓がまた脈打ち始めるのを感じる。
私を瞳を開いた。
そこには泣きながら私を見つめるローリエがいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます