第39話 指名依頼
C級講習を受け終わった翌日、私とローリエはギルドに向かいながら相談していた。
「サフラン。カルダモン伯爵が言っていた、王都に行ってコリアンダー大王に会うって話、どうする?」
「うーん。カルダモン伯爵が推薦状も書くって言っているし、断るのは難しそうな感じだよね……」
「C級にもなったし、護衛依頼を使って王都に移動かあ。そんな都合よく王都に行くような護衛依頼があるのかな」
「昨日、ナツメグさんに王都に帰る時期を聞いておけばよかったね」
「各地で薬を買い集めているんでしょ? まだ王都に帰るのは先になるかもしれないね」
そのような話をしながら、私たちはギルドに着いた。
早々に受付嬢が話しかけてくる。
「サフランさんにローリエさん! 指名依頼がきていますよ」
ローリエと顔を見合わせた。
昨日の今日で指名依頼?
それはナツメグさんしかありえないでしょ。
話があるということで、私たちはギルド長室に呼ばれた。
ギルド長室にはフェンネルさんとローズマリー先生が待っていた。
「フェンネルさん、誰からの指名依頼なんですか?」
「君たちどういう
えええ! スターアニス王女!?
もしかして昨日のスターアニスさんが実は王女だったの!?
「ローズマリー先生は知っていたんですか!?」
「いや。私も昨日の夜、C級講習の結果をフェンネルギルド長に報告した際に、王女殿下ではないかと言われて知ったんだよ。そうしたら今朝になって指名依頼だ。さすがにびっくりしたよ」
「スターアニス王女殿下からの指名依頼は次のとおりだ。『サフランとローリエに王都までに護衛依頼を指名する。なお、サフランとローランの人選により護衛者を追加して良い』」
「なるほど。私とローリエに、プラス何人かという感じなんですね」
「そうだ。スターアニス王女殿下は隣町に滞在しているので、準備ができ次第、出発したいということだ」
そこで思い出したようにフェンネルさんは机の引き出しから一通の手紙を取り出した。
「ああ、そうだ。カルダモン伯爵からコリアンダー大王に謁見するための推薦状を預かっている。渡しておこう」
タイミング良く、フェンネルさんから封蝋された手紙を受け取った。
「ローリエ……、どうしよう?」
「もうこうなったら、スターアニス王女殿下と一緒に王都に行って、コリアンダー大王に会うしかないんじゃないかな?」
「やっぱりそっか……。あとは他に声をかける人だよね。さすがに私たちだけじゃ心もとないし」
「ローズマリー先生、一緒に来てくださいませんか?」
「すまない、ローリエ。私はA級冒険者の義務としてこの街を長く離れるわけにはいかないんだ」
「ローズマリー。そのことなんだが、スターアニス王女殿下にもしものことがあってはならん。ギルドの仕事はこちらで何とかするから、一緒に行ってやってはどうかな」
「良いんですか?ギルド長。行って良いなら私も行きますよ」
「うむ。2人をよろしく頼むよ」
「やった! 先生、よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしく。しかし、王都までとなると3人ではまだちょっと少ないですね。誰か良い冒険者はいないでしょうか」
私は数少ない知り合いを思い浮かべていた。
「パセリたちに声をかけようと思います」
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