第30話 白状
「みんなはどうして魔物たちが動かなくなったのか不思議に思っているんだけど、僕は君が何かしてくれたんじゃないかと思っているんだ。サフラン」
空気が固まった。
どうしよう。しらを切り続けるか、白状するか。
「さきほども話したとおり、君たち……というか、サフランのスキルではそのようなことができないことはわかっている。ただ、先日、練習用ダンジョンで見つけたというその武器……
あちゃー、バレバレだ。もう隠しようがないね。白状するしかない。
「えーと……、ご明察のとおりです。
「そうか!やっぱり僕の予想は当たっていたわけだね。いやいや、そんな後ろめたく思う必要はないよ。冒険者が手の内を晒さないのは当然のことだ」
「でも、こんなスキルがあるって先にわかっていたら、魔物との戦い方もまた違ったんじゃないですか?もっと犠牲を減らせたかもしれないし……」
「それはそうかもしれないけど。ただあのときの君の表情を見ていると自信満々にスキルを使ったわけじゃないよね? イチかバチかでスキルを使ったんじゃないのかな」
「そうです。あんなにたくさんの魔物に使ったのは初めてでした」
「はっはっは!そうだろうね! 普段からあの数の魔物を相手にしていたら、もう魔物は絶滅しているんじゃないかな」
カルダモン伯爵が高笑いする。
何となく拘束されるようなことにはならないような気がしてきた。こうなったらもう直球で確認しちゃおう。
「あの……領主として、私のスキルを危険視されないんですか? もし私が反乱でも起こしたら、防ぎようがないと思うんですが」
「え、反乱起こそうと思っているの?」
「もちろんそんなことはしません!」
「そうでしょ。たしかにもしそんなことになったら防ぎようがないけど、こんな可愛い女の子がそんなことするわけないと思っているよ」
また自分の顔が赤くなるのを感じた。カルダモン伯爵って、軟派者だ……。
「あ、でも悪い男にその力を利用されないようには気をつけないとね。そういうわけで頼むよ、ローリエ」
「え? あ? はい!」
急に話を振られたローリエがびっくりしている。
「よしよし。では次の話をしよう。サフランにローリエ、王都に行ってくれないか?」
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