第27話 浴場2

 長い間、湯に浸かり続けてのぼせてしまった。


「のぼせたー……。もうだめ〜」

「上がろうか。休憩スペースがあるから、そこで休もう」


 私たちは湯船から上がり、体を拭いてから、服を着て、休憩スペースで涼んだ。


「あー、涼しくて気持ちいいね」


 団扇のようなものでパタパタして涼む。さすがに扇風機はこの世界にはない。


 熱が引いて、一息ついたところで、私は一興思いついた。

 座っているローリエの後ろに回り込んで、ローリエの肩を揉み始めた。


「あー、サフラン、気持ちいいよ」


 高校生のころはよくこうやって、お母さんの肩を揉んだものだ。おだてられていただけかもしれないけど、よく上手と言ってもらえていた。


「ローリエ、ちょっとそこに寝そべってもらっていいかな?」


 休憩スペースは畳ではないけれども、籐のようなもので編まれたラグが引かれており、寝転ぶこともできる。


 今度は寝転んでもらったローリエの背中を指圧しはじめた。


「う~、気持ちいい。サフラン、上手だね。こんな特技があったなんて」

「そう? ありがとう」


 嫌らしい感じにならないように、背中からお尻、太もも、ふくらはぎと移動する。こうやってローリエの身体中を触れるなんて、最高だね。最後に、足裏マッサージをした。


「あー、痛気持ちいいい。サフランと結婚する人は幸せだろうなあ」

「あはは。ローリエと結婚するよ」


 冗談ぽく言ったものの、つい本音がでてしまった。でも私は中身が男だし、ローリエとなら結婚したいと思う。


「はは。私が本当に男だったらねー。あ、でも、まわりからは仲の良いカップルと思われているのかな?」

「そういえば傍目からは、どう思われているんだろうね」


 そうだ。傍目から見ると、ローリエが彼氏で、私が彼女か。


「あ、ありがとう。交代しよう。今度はサフランが寝そべって」


 今度は私が寝そべって、ローリエが上からマッサージしてくれる。


「サフランと結婚かー。私が男だったら間違いなくしているなー」


 そんなことを言いながら、ローリエが指圧だけでなく、フェザータッチも折りませてくる。


「あッ、ちょっとローリエ、別の意味で気持ちよくなっちゃいそう」

「はは、なっちゃえなっちゃえ」


 そんなことをしながら、私たちは個室風呂の休憩スペースで、時間ぎりぎりまで楽しんだ。

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