第14話 錫杖
ひととおり観察し終えた後、フェンネルさんがスキルを使って錫杖を調べ始めた。
「『
紙と羽ペンを使って、サラサラと何か書いていく。
ひととおり書き終えた後に、羽ペンを置き、みんなが見えるように紙を広げた。
「『
「うーん。たしかになんと書いてあるのか読めませんね……」
みんなが首をかしげる。
フェンネルさんが広げた紙にはこう書いてあった。私にはすべて読めた。これは日本語だ。おそらくこの世界の人たちは漢字の部分が読めないのだろう。
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名前:
所有者:サフラン(所有者以外所持不可)
所持特典:運動能力百倍
強度:
付与法力:
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「あの……、私には読めます。まずアイテムの名前は『しゃくじょう』です。それで所有者は私だと書いてあります。どうも私以外は持つことができないようです。それとこのアイテムを持っていると運動能力が百倍になる、と。あと、強度については
「ほー、サフラン専用アイテムということですか。おそらく最初に手にしたのがあなただったから所有者に選ばれたんでしょうね。所有者にしか読めない文字とは不思議なものですね」
「それよりも運動能力百倍ですか。それならオーガを一撃で倒せたのも納得できます」
「サフラン以外の人が持ち上げられなかったのは、所有者じゃないからだったんだね」
みんなが思い思いに感想を言っている。
私は付与法力の『
フェンネルさんが口を開く。
「サフラン。練習用ダンジョンからこのようなアイテムが見つかったことを、私は立場上、この街の領主であるカルダモン伯爵に報告せねばなりません。よろしいですか?」
「かまいません。あ、でも私の行動に何か制限が加わりますか?」
「少なくとも今のところはそれはないと思います。ただ、もしかしたらカルダモン伯爵から呼び出されるかもしれません。なにせ珍しいアイテムですからね」
「わかりました。それはしょうがないですね」
「ローズマリーもサフランとローリエのことは気にしておいてもらえますか。縁起でもない話ですが、サフランの身になにかあった場合に、『しゃくじょう』の行方がどのようになってしまうのかわからないですからね」
「承知しました。あなたたちも大丈夫とは思うけど無理せず安全第一にお願いしますね」
「わかりました」
「安心してください。僕がサフランを守ります」
「ふふ。安心はできませんが頼みますよ、ローリエ」
ローズマリー先生が苦笑いする。
でも私はローリエがそう言ってくれたことが嬉しかった。
「ありがとう、ローリエ」
私はローリエと手を繋いで指を絡めた。
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