第6話 スキル

 ローリエが起きてから、今日は街の外で薬草や薬茸やくたけを採集しつつ、スキルを練習しようということになった。薬草や薬茸はギルドで買い取ってくれるためお金になるらしい。


「ローリエの『索敵サーチ』で薬草や薬茸も見つけられるかな?」

「どうだろう? 採集スポットに近づいたらやってみるね」


 街を出て、そのようなことを話しながら、昨日の丘を通りすぎて、雑木林のような場所についた。


 ローリエは立ち止まって目を瞑り集中する。『索敵サーチ』を使っているのだろう。10秒ほど時が経ち、ようやくローリエが口を開いた。


「こっちに反応があるわ」

「意外とスキルって簡単に使えるのかな?」

「うーん。もっと自然に使えないといけないんじゃないかな。それこそ息をするみたいに」

「そっか。もっと慣れないとだね」


 ローリエの言う方角へ二人で進むと、たしかにそれらしききのこが生えている。


「よし、採っちゃおう」


 そう言って私はきのこをもぎり始めた。


「あ、それは……」

「え? ……ァ!」


 ローリエが何か言いかけたが遅かった。私は体が痺れるのを感じながらしゃがみこむ。もしかして毒茸どくきのこだったのか。


「はやく『解毒キュア』を!」

「くッ……。『解毒キュア』……」


 脂汗をにじませながら『解毒キュア』を念じる。自分の中で不思議な感覚が駆け巡る。「ああ、これがスキルを使った時の感覚なんだ」と思いながら、体の痺れが引いていくのを感じた。


「危なかったー。どうなることかと思ったよ。『解毒キュア』のことを教えてくれてありがとう。あまりにも突然で頭が真っ白だったよ」

「サフラン、慌てすぎだよ! 私が見つけたのは毒茸どくきのこじゃなくて、薬草のほうだよ! ほら、こっち!」


 たしかにきのこに気を取られて気づかなかったけれども、薬草らしき草も生えている。私たちは薬草をむしり、袋に入れることにした。

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