第3話 冒険者ギルド

「冒険者ギルドには何しに行くの?」


 冒険者ギルドに向かう途中、ローリエに聞いてみた。


「スキルを確認しに行くんだ。この辺の地方でスキルの確認ができるのは、この街ぐらいだからね」

「スキルって?」

「え? スキルを知らないの? 15歳で成人して冒険者になれば、みんな何かしらのスキルを授けられるでしょ。ただどんなスキルを授けられたのかは、この街のような大きなギルドに来ないとわからないけど。サフランもそれが目的でこの街に来たんじゃなくて?」

「あ、いや、ああ、そうだね。私もスキルを確認しようと思ってるんだ」


 あぶないあぶない。

 しかしこの世界にはスキルというものがあるらしい。特殊技能みたいなものなんだろうけど、どんなものか楽しみだ。


 そんな話をしていると冒険者ギルドに到着した。


 冒険者ギルドは木造2階建て、入り口はスイングドアになっており、気軽に中に入れる作りになっていた。中に入り、受付カウンターへと向かう。他の冒険者たちの視線が気になるけど、こちらからマジマジと観察する勇気はない。


「いらっしゃい。ご用は何でしょう?」


 受付嬢がにこりと話しかけてくれる。


「スキル確認をお願いします」


 ローリエはそう言って冒険者証を差し出す。


「ではこちらに手をかざしてください」


 冒険者証を確認した受付嬢は水晶をカウンターの上に置いて、そう言った。

 ローリエが冒険者証をかざすと、反対側から水晶を見ていた受付嬢がスキルを教えてくれた。


「『索敵サーチ』と『隠密ハイド』ですね。斥候職スカウト向きのスキルがふたつもあるなんて、なかなか良いじゃないですか」

「ありがとうございます。彼女のスキルも見てほしいのですが」


 ローリエがそう言うと、私は水晶の前に押しやられた。


「よろしくお願いします」


 同じように冒険者証を提示して、手を水晶にかざすと、やはり反対側から水晶を覗いている受付嬢が口を開いた。水晶の反対側に何か表示されているのだろう。


「『治癒ヒール』と『解毒キュア』ですね。サフランさんもふたつとも治癒職ヒーラー向きのスキルなんて、すごいじゃないですか」

「ありがとうございます」

「あとはスキルを使いこなせるようにならないとね。あなたたちはまだE級だけど、スキルがちゃんと使いこなせればD級講習を受けられるわ」


 受付嬢とローリエから教えてもらったところによると、冒険者はE級からスタートする。E級はダンジョンへの入場が禁止されているが、スキルが使いこなせるようになるとD級講習を受けることができ、D級になればダンジョンにも入れるようになるとのことであった。

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