第2話 異世界への転移

 目を覚ました俺は、草原の木陰に寝ていた。これは夢か?俺の部屋は?


 立ってみると草原は丘の上にあるようで、丘の下には城壁が見える。城壁といっても日本のお城のような石垣じゃない。外国にあるようなレンガの城壁である。


 城門も見える。その城門から続く道が、この丘を通って、どこか遠くまで伸びている。


 このままここにいてもしょうがないと考え、道に沿って丘を下り城門に向かうことにした。


 しかし夢にしては、はっきりしすぎている。まさか異世界転移なんてな(笑)……などと思いながら、城門の近くまで来た。


 城門には衛兵が立っている。中に入れてもらえないのだろうか?


 そんなことを考えていると後ろから声を掛けられた。


「すみません。冒険者の方ですか? 良かったら、ご一緒しませんか?」


 振り向くと、眉目秀麗な少年が立っていた。革製の鎧を着ているが、大人用なのか明らかに体のサイズに合っていない。


「えっと……。え!?」


 自分の声を聞いてびっくりした。声が高い。高校生のときに声変わりしたはずだが、さては若返ったか?


 混乱していると少年がさらに話しかけてきた。


「その首から下げているのは冒険者証ですよね?」


 たしかに見てみると首に何かをぶら下げている。


 そんなことよりも今さら気づいた!

 今まで着たこともない白いワンピースをまとっている。そして色白な腕、細い手指、胸のふくらみ、そして男ならあるはずのモノが無い!

 なぜか女になっている……。


 ワタワタしていると、さらに少年が話しかけてくる。


「申し遅れました。ローリエと言います。実はこの街が初めてで。もしよかったら、ご一緒できませんか?」

「わ、わかりました。では一緒に行きましょうか……」


 何がなんだか分からず、なんとか取り繕った。とりあえず一緒に城門まで歩く。


 城門に近づくと衛兵が話しかけてきた。


「よーし、身分証明証をだして。はい、冒険者証をこちらにかざして」


 そう言って、衛兵が持っていた水晶に冒険者証をかざした。どうやら冒険者証が身分証となっているようだ。


「サフラン、15歳。パエリア村出身。入ってよし!」


 サフラン? 俺はサフランという女の子に成り代わっている状態なのか? しかも15歳って微妙に若返っているな……。


「ローリエ、15歳。ポトフ村出身。入ってよし!」


 ローリエも15歳。同い年だったのか。


「サフランさんっていうんですね。よろしくお願いします」


「同い年みたいだし、呼び捨てでいいよ。おれ……わ、私もこの街は初めてなんだ」


「わかった、サフラン。それじゃ、冒険者ギルドに行こっか」


 そうしてローリエと一緒に冒険書ギルドに向かって歩いた。


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