第1章 第2話 後始末

妹は起きてこなかった、

家が壊れたことはどうにかして治した

ただ妹のメンタルは壊れてるのでは無いかと。


杞憂であるといいな、杞憂であれ。





祈里視点


親を殺した。

私は何をしていたのか覚えていないことはわかる。

ただ、親をグチャグチャにしたことは覚えている?!


ウウッ!?


もう胃液しか出ない、酸っぱい匂いがこの部屋を充満しているだろう、もう匂いになれてしまった。


外に出れない。



彼女は言い表せない感情に浸っている。

何をするべきか、何をしていたか、何をしていくのか、全てが不透明であった。


雨が降っている


祈里「私は今何するんだろう?」


1時間経つ


2時間経つ



.....一日がすぎる。









色麻「祈里いるか?」


なんで私に話しかけるの?


色麻「少し話さね?」


やめてよ、優しくしないでよ


色麻「兄弟水入ら祈里「入ってこないで!!」


わかりやすい拒絶


隔てる扉は1枚だが。


僕にはこの壁が、この壁の奥に空間があるように思えない。扉を開ければ壁があり、妹なんて居ないんだと思いたいほど、この扉は禁錮のようにビクともしなかった


でもさ、ドアなんて、開けるだけだろ?


いつもどうり


捻って


引けば そうだろ?


開けられる



なぁ祈里

話そうじゃん、兄妹水入らずでさ



色麻「祈里」


祈里「何?」


一樹「話さないか?」


一樹「ドアを開けてさ」


祈里「やめて、ヤダ!」


一樹「話したいだけだ。」


祈里「いやだ!」


一樹「本当に話したいだけだ、拒絶しないでくれ!」


祈里「なら、話してよ!あの力!なんで母さん殺せたの!私は叩いたら、グチャグチャになったんだよ?」


そんなことなら、妹の為にいくらでも話そう


色麻「話してもいいよ?でも開けて貰える?この」


祈里「それは....」


色麻「平たく言えば等価交換だ、話すから、面と向かって話そうじゃん」


沈黙がまた兄妹を誘う


雨は強くなってきた


ガチャ.........


対面する兄妹

いつもどうり話せばいいと2人は思う

いつもどうり

いつもどうり


いつもどうりってなんだろう?


今までの私?


これからの僕?


それとも


化け物としての私達?


そのとき


瑠々「そんなとこで、突っ立てないで、下に来なさいよ!黄昏れるな!一樹、祈里ちゃん、」


こんな時こんなにも空気を読めない奴がいると、助かることを知った。

今だけは瑠々に感謝したいとこの時思った。


下に降りると、あの母親の死体のあったリビングには

今にも仕事が出来そうなくらい、健康的で活気のある母親が居た。


開口一番


紫月「さぁさぁ、殺してくれた分」


紫月「親子水入らず。話そうじゃない、

祈里」


母親はそういった。


祈里「くそババア....」


祈里は反抗した


紫月「!!!!"祈里"!!!!」


祈里「!?」ビクゥ!


紫月「あたしはね、くそババアと言われようが、母さんと言われようが、社畜時代が功を奏したのかね、耐えれるんだよ、パワハラに耐えてきたからね」


紫月「でもね、開口一番に祈里、親に謝ることも出来ない子に育てた覚えはないし、人に謝れる子に育てたつもりだったけどねぇ

後今のくそババア云々の下り無し。ふつうに言われたら泣くわ?愛しの子だもの」


紫月「なんで殺せたのかなんて、わかりやすいわ、一樹と同じ能力者って事だもの」


紫月「なーんで、私の子が2人とも能力者なのかしらねぇ」


母さんは心に溜まった鬱憤と思い思いの言葉を羅列していた、とめどなく、そして間髪入れず言ってきた。


紫月「私はね、あんた達を、殺されかけたあんた達でも守りたいのよ、国の英雄だのなんだので、戦争で人だけは殺して欲しくないの」


紫月「1人殺せば犯罪者、100人殺せば英雄なんて言葉あるけど、人殺しを正当化してる時点でろくでもない言葉だわ」


紫月「人を殺すな!人を助けなさい?その力で、、一樹もよ?」


そんなこと


一樹「勿論」


紫月「祈里は?」


祈里は喋れなかった

彼女は突っ立ていた。

虚空を見つめていて

錯乱しているのは目に見えて明らかだった


祈里「....ワ!....わったしは」


祈里「わたっわたっわたっ」


祈里「どっ!どうすれ、ば..いいか」


瑠々「遮るようで悪いけど、もっと饒舌にしゃべってくれない?」


色麻「おい瑠々!」


瑠々「一樹、黙って頂戴」


瑠々は座り込み、青ざめている祈里に迫った

能力を持っていて圧倒的に力関係で言えば上のはずの祈里に臆するのことなく立ち塞がった。


瑠々「祈里ちゃん、昔、私が交通事故にあった日らへんかしら?覚えているかしらね」


祈里「.......?」


瑠々「覚えているのか、覚えてないふりをしているかはさておいて、あの時あなたは私に、お兄ちゃんに近づくな!!なーんて言ってたわよねぇ」


瑠々「ただの嫉妬だと思ってたけど、ここまでひねくれてて、入り込んでいて、そして醜いなんて思いも寄らなかったのだけれど」


瑠々「ねぇ勿体ぶらないで、その恨みつらみ、吐露し尽くせるまでしゃべってもらえないかしらねぇ」


祈里「....」


祈里「わ....たしは」


口を開く、独白する祈里


色麻家に光か闇かが差し込んでくる


彼女は語る.....


雨は、止んでいく










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