第3回【マスコミの、相変わらずのマスコミぶり】

 与野党問わず政治家に加え、本エッセイ第2回で紹介した一部のテレビ番組を除く大部分のマスコミ、中でも特に新聞メディアは与党自民党と旧統一教会の癒着を問題視していない。そうとしか見えない。

 一応新聞メディアも『2021年・衆院選前に統一教会関連団体が自民党衆議院議員と交わした推薦確認書の存在』を問題としている。が、まったく


 例えば現在我が家でとっている新聞は(朝日新聞ではない)、

>世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連2団体は、防衛力強化や家庭の重視など保守的な政策の推進を掲げる。教団側には、主張と親和性の高い自民党議員と「協定」を結ぶことで、理念実現や影響力アピールにつなげる狙いがありそうだ。


 などと、何の疑問も無さそうに書いている。統一教会の教祖文鮮明は「」と言っているのだが。

 つまり、(反日思想を持っている人間という意味)によって承認されたであろう〝日本の採るべき政策〟が、日本の軍事力の増強(防衛力強化)であるわけがない。本当に日本の軍事力の増強を、旧統一教会を動かしている韓国人連中が推進しようとしているのかどうか、韓国まで訊きに行って答えを持ち帰ったという日本メディアの話しを聞かない。行って訊けば面白い事が起きそうなのに。

 上手くいけば旧統一教会を他ならぬ韓国人達・韓国社会の手によって滅ぼせるというのに。



 要は日本のリベラル・左派陣営メディアもまた韓国人にめっぽう甘いのである。本気度が足りないとはこういう事である。現にこんな実例ある。


 2006年に結成された政治団体『在特会』なる団体がある。この団体が朝鮮学校前に集い、「出て行け!」であるとか「帰れ!」であるとか、大音量で街宣活動を始めた。

 これに危機感を抱いたのが朝日新聞を中心としたリベラル・左派陣営メディア。キャンペーンを張り『ヘイトスピーチ』という聞き慣れない外来語を流行語にし、「外国にはヘイトスピーチ対策法があるぞ! 早急に同様の法を日本でも作るべきだ!」と求め、これに安倍自民党政権が応え立法化された。『ヘイトスピーチ解消法』である。こうした成立のいきさつから、事実上『加害者の日本人から被害者の在日韓国朝鮮人を守るため』の立法と言っていい。


 ところが、である。今回の旧統一教会の案件は逆で、加害者が韓国人(ただし大韓民国本国の韓国人で在日韓国朝鮮人ではない)、被害者が日本人である。

 どういう訳か今回リベラル・左派陣営メディアは「外国にはカルト宗教対策法(フランスの反セクト法)があるぞ! 早急に同様の法を日本でも作るべきだ!」とは言わない。よって与野党問わず政治家側にも立法化の動きは無い。それどころか「信教の自由とのかねあいが云々」と、やらない理由を蕩々と語り出す始末。


 韓国人が日本人から被害を受けたケースでは取り締まるための立法化は驚くほどにすばしっこかったのに、日本人が韓国人から被害を受けたケースでは取り締まるための立法化は驚くほどに鈍重だ。

 これほど事が対照的だと、リベラル・左派陣営メディアと安倍自民党政権は実は一心同体だったのではないかという疑念すら生じてくる。最大の問題は、7年8ヶ月続いた安倍自民党政権を倒せる可能性に満ちていた〝与党自民党と旧統一教会との癒着〟というネタがありながら、そのネタを遂に使わなかったのはなぜなのか? という問題である。


 相手がいかに巨大与党でも〝勝機〟というものはある。古くから戦術として用いられてきた常套手段がある。

 かの織田信長は、斎藤氏が治める美濃国を攻めあぐねていた。そこで斎藤氏の重臣『美濃三人衆』を調略し寝返らせる事により、美濃国攻略を成功させ織田領とした。

 かの豊臣秀吉は、小牧長久手で『織田信雄・徳川家康連合軍』と対峙したまま動けなくなったとき、徳川家康の同盟者織田信雄を徳川から離反させ、徳川家康に軍を引かせる事に成功した。

 その徳川家康は関ヶ原において『小早川秀秋』を裏切らせ、自軍である東軍を勝利に導いた。

 勝利の方程式は敵の結束にひびを入れ離反させるか味方につけるかすればいいという決まり切ったものだ。


 衆参合わせ全自民党国会議員381人のおよそ半数の180人が旧統一教会との接点を持っていた事は本エッセイ第2回で指摘したとおり。細かい人数は現在と違っているだろうが何年か前でもおよそ半数は該当者であったと考えられる。衆院選前の絶妙のタイミングでこのネタをぶち上げていたらどうなっていたか?

 旧統一教会と接点を持っていなかった自民党議員からは怒りの声が上がり、「俺は潔白だ」と主張する議員達によって自民党という党は真っ二つに割れていたかもしれない。その時点で安倍内閣の命運は尽きていた筈で、確実に7年8ヶ月も保たなかったろう。本人だって暗殺されずにまだ生きていたかもしれない。その安倍晋三を撃った人間も犯罪者にならなかったかもしれない。


 このように安倍自民党政権を倒せるネタがありながら遂にその行使をしなかったリベラル・左派陣営メディアは安倍政権の味方だった。「いいや断じて違う!」と彼らが言おうと結果は既に出ている。まだ執拗に「モリカケサクラだ!」と言ってもそれは負け犬の遠吠えだ。あれらは「私達は政権攻撃をやっています」という〝やってる感〟を世間にアピールするだけのもの。全て出来レースだった。だって安倍自民党政権は歴代最長政権になってしまったんだから。出来レースと断じてどこか間違っているのか?

 キャンペーンを始めて二ヶ月もすれば既に解っていた筈だ。「このネタじゃダメだ」と。それを続行し続けるなどほとんど牟田口司令官(あのインパール作戦の)並の能力である。いったいモリカケサクラとは何だったのか?



リベラル・左派の支持者達「モリカケサクラは……役に立ったのですよね……何か直接政権を打倒したわけではなくても!! あの時の支持率の下落は!! 左派やリベラルの反撃の糧になったのですよね!!?」


リベラル・左派陣営メディア「もちろん……イヤ……今回のキャンペーンで……我々は……今回も……」

リベラル・左派陣営メディア「なんの成果も!! 得られませんでした!! 我々が無能なばかりに……!! ただいたずらに時間を浪費し歴代最長政権を生み……!! ヤツラらの正体(保守を自称する自民党の正体)を……!! 突きとめることができませんでした!!」



 リベラル・左派陣営メディアは少しはキース・シャーディス兵団長を見習って欲しいところである。『韓国人を絶対に守りたい』という歪んだ感情がこの結果を招いた事を、直視した方がいい。


 さて、これでいかにリベラル・左派陣営メディアが韓国人を守りたがっているかがお解りいただけたかと思う。安倍自民党政権を倒せるネタがありながら韓国絡みだと決して行使はしなかった。


 という訳で、ここらで話しを本作『真の・リベラル  誠の・リベラル』に戻します。韓国発祥のカルト宗教を本気で非難するという事は、一般的韓国人の歴史観を非難する事だ。この問題は『韓国人の歴史観』が日本人に直接的危害を加えていた事が明るみに出た事件である。そう認識したくない日本メディアという組織風土の中で主人公天狗騨記者が韓国人の歴史観を否定するような事を言えば出世どころか間違いなく左遷で、『真の・リベラル  誠の・リベラル』という物語は崩壊する。主人公天狗騨記者が所属するASH新聞も〝異分子を徹底的に弾圧する邪悪な新聞社〟として描く事になる。読後感も非常に悪くなる。


 ここはもはや〝このテーマを喋っても違和感の無い人物〟に扱わせる他無い。それは『極右属性のキャラ』である。出した当初は名前を出すだけで直接語らせるつもりなどなかった『仏暁信晴』というキャラに台詞を喋らせる他ない。


 だが問題が二つほどある。商業出版小説をさほどに何冊も読んではいないが、『連続殺人犯』に『猟奇殺人犯』、『テロリスト』は小説上の登場人物として存在できても、さて、『極右』なんて属性の登場人物が商業出版小説に登場した事があっただろうか?

 それともう一つ。ここ『カクヨム』に、韓国ネタを扱い排除された作品があるのだ——(第4回へ続く)

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