第9話 最終回
最終日になった
昨日はあれほど嫌な感覚だったのに今はもうなんともない
俺の最後を受け入れるような清々しい朝
俺は朝が嫌いだ
いつも何かが始まるときは朝だから
そしてその何かが終わっても特に意味はない
意味のない何かが始まるのは朝
だけど今日の朝はずっと忘れないだろう
最終日だけどいつもと違うことをする気はなかった
仕事をやめてから用事がない日は朝散歩をするようになった
いつもより5倍増しほどに景色がきれいに見えた
俺に最後を後悔させたいのかと思うほど綺麗だった
そこからは特に何もなく
ご飯を食べて
テレビを見て
昨日から何通も来ているお礼のメッセージに適当に返し、外を見ながらぼーっとする
最後にはふさわしくないかもしれないけど俺はそれで良かった
急にとてつもないほどの眠気に襲われた
あぁもう時間なんだなと悟った
その眠気に身を任せる
気がつくと俺はなにかの上にいた
目の前には無がいる
ここはどこなのか聞くと雲の上らしい
逆に無に聞かれる
願い事を使わなくて良いのかと
そんな話あったことを忘れていた
詳しく聞くと
願い事は3回らしい
大体どんな願いも叶えてくれるが終わりたくないやまだ現世にいたい
などの願いは無効らしい、当たり前だけどね
俺は何を願うかすぐに決めて行動に移す
何を願うか聞かれたのが今で本当に良かった
1つ目は俺の寿命をあいつの妹に分けてほしい
2つ目は無は何者なのか聞きたい
3つ目は俺を輪廻転生させないでほしい
という願いにした
1つ目は元々余った俺の寿命は色々な世界の誰かに分けられると最初聞いていたのでその対象を絞った
2つ目は単純に気になるから、あと他の願いは別にないから
3つ目は俺が最初に決めた願い、なんで最初に決めたのに最後に言ったかというとただたんに無をびっくりさせたかったから
まずは1つ目、これは俺の時間が来てから行われるらしい、俺は見れないので無を信じるしかない
そして2つ目、無は命を司る神の補助?仲間?的なやつらしい
そして3つ目、これは予定通り驚かれた
理由を聞かれたが
この1ヶ月間が俺の中で最高な時間だったから
と答えておいた
いつの間にか結構時間が来ていてもうすぐだった
俺は最初次の人生に期待とか思ってたのに今は次の人生を期待しないでいる
意外と考え方は見方を変えればすぐに変わってしまう
それと俺があの妹を助けた理由だが
俺の人生になにか意味をもたらしたかったから
あの子が助かれば俺の人生はあの子を助けるためのものだったと言える
あの子には申し訳ないが助けられるなら誰でも良かったのかもそれない
いや、
結局あの子を最初見たときの苛立ちは何だったのだろうか、もしかして俺はあの子に一目惚れでもしたのだろうか、なんであの子がということを思ったのかもしれない
だとしたら結局俺の人生はいわゆる普通のままで終わるのか、好きな人のための人生、けど今はそれはそれで悪くない気がした
理由は特にないけど
人間変わろうと思って変われる人は少ないと思う
けどきっかけがあればすぐに変わってしまう
そこが人の1番嫌なところで1番いいところ
人生は終わりまでの暇つぶしなんて言う人がいるが
あながち間違いでもないのかもしれない
暇な人生をどう生きるかも結構面白かったり大切だったり
人生に意味を求めすぎないこと
他人から見たら意味のない人生だって自分や関わりのあった他者から見れば良い人生かもしれない
結局人生なんて人それぞれなんだ
おっと、そろそろだね
俺はこの辺で退場させてもらおう
この先何が起きるかわからないけどそこそこで楽しませてもらおうかな
それじゃあ行ってきます
人生に幕をおろしたいだけ 枝野豆夫 @eda_mame1221
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