第7話
帰宅
いつも通り残業をし、帰宅する。大した仕事をしてないのになんで残業になるのか、疑問に思いながら会社を出る。
今日の晩ご飯は何にしようか。コンビニにするか、スーパーか自炊か、それともお弁当屋さんにするか……。家に着く頃は、10時半くらいか。これは、コンビニになりそう。スマホで時間を確認する。企業のお知らせを閉じる。地味にウザイ。
特になんの意味もない連絡を取る事が社会人になってからだんだんと減った。それに気づく度、寂しい。
スマホを開く流れでSNSのアプリをタップし、文字を眺める。スクロールをただしながら、電車を待つ。
『今日話したとこ、申し込みしたよー!』
と、1時間先に帰った陽子から連絡が届いた。
『分かった。帰ったらするね』
と返事をし、一旦スマホの画面を閉じた。
あー……。
電車が来た。余裕で座れる時間帯。一旦、座ろう。
自宅の最寄り駅は乗り換えを1回して着く。
通勤時間は、ドラマを観るわけでも本を読むわけでも勉強をするわけでもない。ただ、身を任せて乗り、SNSのタイムラインをスクロールする。今日は陽子が申し込んだ街コンの内容が気になるので、連絡内容を確認する。メッセージと一緒にURLが添付されていた。
『完全同世代』というテーマが目に入った。もしテーマが、ハイスペックだったり高収入だったらどうしようかと思った。
下にスクロールすると、申し込みボタンを見つけた。ここで画面を閉じると申し込みするのに時間がかかりそうだ。このままの勢いで申し込みをする。必要事項を記入し、料金はクレジットにした。申し込み終え、すぐに画面を閉じた。
少しホッとした。私は世間のルートに戻りたいのかもしれない。
私は私と向き合うことに苦手なんだと思う。でも今さら、自分と向き合えと言うのは難しい。とりあえず、街コンに行けば何か分かるだろうと、電車を降りた。
駅を出たあと忘れないうちスマホの予定表に街コンを記録した。街コンとは書くのはやめて、陽子と記入した。これでもう、逃げられない。そんな気持ちになった。
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