第8話
会社3
次の日、出社をして席に着いた私に荷物を持ったままの陽子が話しかけてきた。
「ねぇ、ちゃんと申し込みしてくれた?」
「ごめん、したよー。再来週の土曜でしょ?」
「それならいいけど。昨日するって言ってから何も返信がなかったから少し不安だった」
「ごめんごめん、行くって言って行かないことはないよ」
笑いながら答えた。
「それもそうよね、こっちこそごめんね。じゃあ、また連絡する」
分かったと席に向かう陽子に返事をし、改めて内容を確認した。受付時間は14時で開始は14時半か。飲み物と軽食は出る。
そういえば街コンってどんな服装をすればいいのかな。オフィスカジュアルでいいのかなぁ。念のために陽子にも確認してみよ。
周りが仕事の準備をし始める。もう9時か。無意味な朝礼が始まる。周りも仕事を始めようとしている。
朝礼って意味があるのかな。あるとしても全体朝礼は月一でいい。どうせ、グループ事に朝礼をするんだし。
そして今日も朝礼が終わり、自分の仕事に取りかかった。
主にパソコンを使って仕事をするが、紙の書類が必要なる。そのため必要に応じて書類棚に取りに行かなくてはいけない。書類を取りに席を外した。
書類棚に行くと村上さんがいた。
「あ、はる。陽子から聞いたよ。街コン行くんだね」
と少し明るめの声で村上さんが話しかけてきた。
「そうなんですよ。再来週行くことになりました」
「らしいね。私も行ったことあるし、また話そうね」
仕事中ということもあり話はすぐ終了した。
そもそも、街コンへ行くということをあまり公の場で話したくない気がする。
11時かぁ。スマホを見た。陽子から連絡が来ている。
『今日、お昼ご飯一緒に食べよー!』
今日のお昼休みは、村上さんと陽子と行くことになった。
エレベーター前で2人と会い、そのままお店へ行った。
「どの街コン行くことにしたの?」
お店の席に座ると村上さんが陽子に話しかけた。陽子がスマホの画面を見せた。
「ふーーん。同世代がメインの街コンなんだね」
村上さんは呟きながら画面を見て呟いた
「まずは、街コンってどんなとこか体験してみようとと思って、同世代だと話しやすいかなと思ってここにしました」
「じゃあ次は行くなら条件つけようよ。高収入とかさ」
2回目以降もあるのか……。
村上さんと陽子は楽しそうに話している。楽しそうに話す2人の水を指すわけにはいかない。
「ねぇ、はるはどんな人がタイプなの?」
ぼーっと話を聞いていたため、突然の陽子の質問に一瞬遅れた。どんな人がタイプかぁ。詰めればいっぱいあるだろうけど、
「私は、話が合う人かな。」
「もっと具体的やつはないの?ほら、見た目とかは?」
恋愛トークのテンションになった陽子が再度答えを求めてきた。
「えーーー、太っているよりかは痩せている方かなー……」
「全然タイプないじゃん」
とツッコまれた。
できるだけ会話に寄り添おうと思ったけど、難しい。
「まぁ、でも程よい距離感で意志疎通できる人がいいかなーー」
と、念のため言葉を添えておいた。
「それが1番難しいんだよねぇ」
と、村上さんが答えた。
それを聞いて私は前の彼氏と距離感で別れたことを思い出した。ここでは、発表しないけど。
会話の内容が深い話になりそうでならない状態が続き、昼休みは終了した。
昼休みからしばらく経ち、服装のことについて聞けばよかったと後悔した。
でも、相談しても男受けについて語られそうだったから話さなくてもよかったかもしれない。
会社員として仕事しているためオフィスレディの格好はできる。仕事着で行こうと思ったが、少し固い気もするし。うーーん。
私服という手もあるが、私服なんて最近買っていなくて、休日もほぼ仕事着のような格好をしている。本当はおしゃれな格好をしたいけど、自炊と同じでだんだんと体力と時間を調整した結果の生活だ。
そういえば、新しい服で出かけるワクワクなんていつからしてないんだろう。服を買うとしても仕事着がメインで私服をメインに買い物を行ったのはいつだろう。
振り返れば振り返るほどなんとなく虚しくなってきた。今日は早く帰ろう。
そう思って何が急ぎの仕事なのか見直しをしていると陽子から『今日か明日の夜、空いてる?』とスマホにかわいいスタンプ付きでメッセージが来た。夜かぁ。この前も飲んだしなぁ。今日はキツいなぁ。
明日は何曜日だろう。机に置いてある卓上カレンダーを見る。明日は金曜だ。そうか、明日は金曜か。明日にしよう。
『明日なら空いてるよー』と返事をした。行く気満々だからか、レスポンスが早い。明日、飲みに行く事になったの同時に今日の残業も確定した。
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