気紛れな昼下り

そういやこないだの上級生の名前、聞いてねえな…。

などと、涼は教室で、昨夜放送されたテレビアニメの感想を熱心に語る同級生を受け流しつつ、ボーっとしていた。


…昼休み、ちょっと顔出してみっか。なんか居そうだ。


お弁当を持って、先日の花壇に向かう涼。…あぁ、やっぱり居た。


なんか変なのかじかじ食ってる。…明太子フランスパン?貴女は一体どこからそんなものを仕入れてくるんですか…?ま、いっか。


「うす、先輩」

「!?」


よほど真剣にパンを齧っていたのか、ここは人がほぼ来ないような場所なのか…両方かな…。


「けっほけっほ…びっくりしたぁ。ま、また来てくれたんだね!」

「えぇ、隣、良かったら良いですか」

「うん!」


いつの間にかピザパンにリロードしている先輩。よく食うなぁ…。俺も弁当を食うか。


「そういえば…」

「ん?」


母親の作ったいつまでもタコさんウインナーが中身から抜けない弁当をかきこんでいると


「わたしたちってまだお互いの名前知らないよね」

「まぁ…そうですね」


「わたしは春日 優美っていうんだー。キミは?」

「俺は久下 涼、です。」

「えへへ、よろしくね、涼クン!!」


何を?とりあえず俺、座って飯食ってる、先輩、名前を知って喜んでるのかピョンピョン跳ねてる。パンツ丸見えっす…。しかも高3にもなっていちご柄の下着…。


色々残念な気分になりつつ、その日も土いじりを手伝った。



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