第21話
「それで、どうしよっかなって」
「ふうん」
学校帰りに二人で寄った喫茶店は冷房が効いている。そこそこ混んだ店内には中学や高校の女子生徒が目立つ。ざっと見た感じ、私たちと同じ制服は見当たらない。
「クラスは違うし、名前も知らないの」
コーヒーを
「だいたい、廊下ですれ違っただけでしょ? なんでそんな気になるの」
「それは……」
「なんかどっかで見た気がするって思って……。とにかくひっかかって気になるの」
苦しい言い訳だったけど、
一息ついたので、私もアイスティーをすする。テーブルに置かれた時の
アイスコーヒーを飲みきると、
「それで、同じ学年と言ってもいっぱいいるじゃん? 他のクラス回って、ひとりひとり名前聞いていくのもおかしいし」
「そりゃそうだ」
「なんかいいアイデアない? いろいろ考えても思いつかなくて」
視線をスマホに向けたまま、
「そういや、今度社会科見学行くの知ってる?」
「あー、なんか博物館行くやつだっけ」
うろ覚えだけど、四月の初めのほうに説明があった気がする。県の中心部にある、大き目の博物館だったような。
「あれクラス関係なしの自由行動になったらしいよ」
「そうなんだ」
初めて聞いた話だ。
そこで
「自由行動なんだし、その隙にいろいろ回れば会えるんじゃない?」
「ほんと? 博物館も広いでしょ?」
すると、
「広いと言っても見学ルートはだいたい決まってる。順序の前後はあるけど、脇道がないからいけるんじゃない?」
なるほど。時間と手間はかかるかもしれないけど、会えるかもしれない。
「ありがとう。やってみる」
お礼を言うと
杏と果帆 鳥海 摩耶 @tyoukaimaya
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