第18話
「
「数学」
「そうなんだ。私は現代文」
そんなことを話しながら、廊下を歩く。すると、急に
「あっ。ごめん。どうし」
すると、その生徒がこちらに気づいて歩みを止める。視線は
「えっ」
思わず声が漏れてしまった。なぜなら、その生徒の目は黒く冷たい、強烈な敵意に満ちていたから。あまりの強さに、こちらも凍るような感覚を受ける。
何?
「
あまりに急すぎて、何が何なのか分からない。
「大丈夫⁉ しっかりして!」
顔色が悪く、血の気が引いているようだった。保健室に連れて行かなくちゃ!
顔を上げるとその生徒の姿はなかった。何なの?
「うぅ……」
「
必死に声をかけると、それが届いたのか
「……ごめん」
「何を謝ってるの……。大丈夫?」
「ちょっと立ち
そう言うものの、まだ顔は青い。
「とりあえず、保健室行こ? いいね?」
念を押すと、
保健室に着いたところで、チャイムが鳴った。午後の授業が始まった。教室に戻らないといけない。
けれど、今はそんなことより
事情を保健の先生に伝える。
「あなたは戻りなさい」
「ここに居させてください。心配なんです」
「私が居るから。安心して」
「お願いします! 大事な友達なんです!」
そう言って深く頭を下げると、保健の先生はため息まじりに、好きにしなさいと言ってくれた。
「ありがとうございます」
お礼を伝えて、ベッドの横に椅子を置き座った。
しばらくして、
「具合はどう?」
「……まあまあかな」
そういって、いびつな笑いを見せる。その顔が妙に痛々しくて、なんとかしてあげたくて、思わず言ってしまった。
「さっきのあの人、誰?
「アタシのせいなんだ」
「どうして?
「したんだよ」
「してないよ!」
「今は……ちょっと無理」
「ごめん」
反射的に謝ってしまう。
反省し、横になった
今は閉じられている瞳で、彼女は何を見たのだろう。
倒れこんでしまうほどの何か。それは
重い矢じりが
でも、今の
私にできそうなことは、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます