第17話
卵焼きをあげると言ったら、
いつものクールな横顔が、ちょっと戸惑っている。ショートボブからチラチラ見える瞳は、冷静さを欠いている。
体がもじもじ動いていて、落ち着きがない。
なんで? よくわからないけど、いつもの
お昼いっしょに食べようと言って待ち合わせして、会った時はいつもの感じだったのに。
「じゃ、じゃあ、もらおうかな」
そう言って、右手を差し出してくる。ああ、載せればいいのか。
「どう?」
「うん。おいしい」
「あ、そういえば、この前の休みに
「
「あ、そういや言ってなかったね。
「
「うん」
「
「そうなんだ」
校舎の入り口で
新しい楽しみを発見したような、そんな感じの話し方だった。
「同じ漫画が好きとは知らなかった」
「
でも他の人は違うと思う。彼女の明るさが、時に相手を傷つけてしまうかもしれない。当日に軽く謝ったけど、やっぱりちゃんと謝っておこうかな。
「
すると、
「別に良いよ。明るい子だね」
そして、ちょっと間を置いてからぽつりと言った。
「実は、最初はちょっと苦手だった」
やっぱりそうだよね。
『大事な友達、なんでしょ?』
あの日の
「……だよね」
申し訳ないと思った。けれど同時に、これで良かったとも思った。
あそこで二人を会わせていなければ
「けど、悪い子じゃない。アタシが勝手に距離を感じてただけかも。これからも、仲良く話せるような子だよ」
私はほっとして、
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