第13話
アタシに自分から進んで話しかける。かといって無理をしている感じはない。最初はおどおどしていたけれど、最近はゆったりとしているように見える。
今の彼女が本来の彼女なのだとしたら、彼女は広いキャパシティーを持っているのだろう。狭くて不安定なアタシとは、正反対だ。
今日は離れたりくっついたりの日だった。お昼のあれは純粋に申し訳ないと思った。けど、アタシはああいう場が苦手なんだ。
楽器のトライアングルは、必ずつながっていないところがある。つながっていない辺と辺。あと少しの距離で空洞がある。
アタシと、
アタシは
分かっているんだか分かっていないんだか、もう何がなにやら分からない。
ベッドに転がる。公園でしばらく撮影した後、
何の
「ふふっ」
無意識に笑みがこぼれる。はっと顔を触ると、口角が上がっていた。誰も見ていないというのに恥ずかしくなる。
まあそんなことは置いておいて。彼女は写真に詳しそうではない。だけど、何か本質的なものは理解している。そんな気がする。
公園で
転がったまま、スマホで写真コンクールを調べてみる。
まず出てきたのはプロのコンクール。見るからにハードルが高そうだ。受賞作品も一目でうまいと分かるものばかり。
きついなー。
高校生対象のコンクールを見てみる。
相変わらずうまいけれど、アタシと同じくらいの年齢が並んでいる。これなら出せるかも。
ちょっとテンションが上がって、上がりきる前に冷静になる。
コンテストに出して仮に受賞したとしたら、アタシは全校集会で名前を呼ばれることになる。それはどうなんだ?
アタシは極力目立ちたくない。コンクールはもちろん本名だし、それなら全国にアタシの名前が知れ渡る。
きっと、アタシの傷つけたあの子だって――
そう考えて、嫌になった。
でも、個人で出せないならコンクールは諦めないといけない。
もやもやする。
そもそも受賞するなんて分からない話だ。出さなければいい話だ。
アタシはずっと、彼女だけに写真を見せ続ければいい。
スマホを放り出して横になった。天井の照明が目に差し込む。腕で目を隠して、まだ葛藤があることに気づいた。
出さなくて、いいのかな。
彼女はそれを望んでいるんだろうか。何気ない一言だったし、本気で言っているわけじゃないと思うけど。
けど、もしコンクールに出すって言ったら、彼女は喜んでくれるだろうか。
コンクール。
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