第34話 二人の関係性とは?
古瀬と観覧車を満喫してから、次に向かったのは機関車ランド。
某テレビ番組で放送されているアニメキャラクターの機関車の世界観が表現されており、小さい子供なら誰しもが冒険欲をそそられる街づくりになっている。
『機関車トー○ス』
タイトルコールが、CVジョン・カ○ラでトー○スのOP映像と一緒に脳内再生されるぜ。
あっ、もしかして、CV森本○オで脳内再生されてる人もいるかな?
ちなみに俺は、カ○ラの方は某サッカーゲームの実況というイメージが強いです。
『実況はジョン・カ○ラ。解説は元日本代表MF北○豪さんです』
が、ゲーム画面と一緒に脳内再生されている。
そんなくだらないことを考えつつ、俺は古瀬と手を繋ぎながら、再現された機関車ランドの世界観漂う街を歩いて行く。
「懐かしいなぁー。俺も幼稚園ぐらいの時、良くアニメ見てたよ」
「へぇーそうなんだ。私全然分からないや」
「まあ確かに、乗り物系のアニメって、どちらかというと男の子向けだもんな。女の子向けだと、○リキュアとかなのかな?」
「私たちの世代だと妖怪ウォ○チかもね。というか私の場合、姉の影響で少女漫画系のアニメばかり観させられてた気がする」
「へえー、古瀬ってお姉さんいるんだ」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「うん。家族についての話は初耳だな」
普段から、古瀬との話題は、学校生活における男女関係についてのもつれや愚痴話ばかり。
そのため、ほとんど学外での古瀬の話は聞いたことがなかった。
「私は、大学生の姉が二人いるんだけど、どっちもザ・大学生って感じで、今はサークル活動とかゼミの飲み会に毎週のように参加しては、酔いつぶれて帰ってきてるよ」
「あぁ……なんかわかるかも」
古瀬のフォルムをもう少し大人びた雰囲気に変換して、髪の毛を金髪に近い茶色に変換。そこに、化粧っ気を増してみる。
あらびっくり、まさに今どきの女子大生に変身しちゃったではありませんか。
きっと古瀬に似て美少女だろうから、大学でも男子からちやほやされて、サークルの姫的立ち位置を確立しているのかな?
「今、凄い失礼なこと考えてない?」
古瀬は、眉根を顰めて訝しんだ視線を向けてくる。
「そ、そんなことないよ?」
俺は目を泳がせながら適当に誤魔化した。
この女、勘が鋭いな?
古瀬は、はぁっと大きなため息を吐く。
「まっ、お姉ちゃんは私より何倍もフットワーク軽いから、初木が想像した通りで合ってると思うよ。深夜遅くに酔いつぶれて帰ってくることもあるし、朝帰りなんてこともざらにあるからね」
「そ、そうなんだ……」
なんと言うか、古瀬のお姉さん方、随分と羽目を外しておられるようですね。
俺的には、古瀬にはそういう大学生にだけはなって欲しくないなと思いますはい。
「な、何よ……?」
無意識のうちに顔に出てしまっていたらしく、古瀬が細い目を向けてくる。
「いや……古瀬にはもっとこう、羽目を外しすぎない大学生活を送って欲しいなと思っただけだ」
「なら、初木が私を守ってよ」
「はい?」
「だから……私が変な男に引っ掛からないよう、初木が私を守ってくれれば、羽目を外すこともないでしょ?」
古瀬が当然のように言ってきたので、俺は咄嗟に手を横に振ってしまう。
「いやいやいや、そもそも俺達、同じ大学に行くかも分からないだろ? そこまで保証期間ついてないって」
「……私たちの関係って、大学が違うだけで消えちゃうような、そんな軟弱な関係なの?」
「そ、それは……」
ここで『違う!!』っとかっこよく言い切れたら、どれだけかっこよかっただろうか。
俺はまだ、古瀬との関係性に、明確な名前を付けることが出来ずにいた。
二人きりで図書室で会うだけの仲とはもう言えない。
かといって、そこまで深い間柄になったかと問われれば、俺の中に疑問が生じる。
きっと、俺と古瀬の関係性は、現在進行形で変わりつつあるのだ。
卒業するまでの間に、どういう間柄になっているのかは、俺にも分からない。
「まあ……頭の片隅には入れておくことにするよ」
だから俺は、そう答えることにしか出来なかった。
「うん、それでいいよ」
しかし、古瀬もこの答えで納得してくれたらしい。
頷く表情は、どこか晴れやかだった。
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