第30.5話 そうこなくっちゃ

「ねえ」


「な、何ですか?」


「もしこの将棋で私が勝ったらさ」


「は、はい」


「一つ、私のお願いを聞いてくれないかな?」


「お、お願い?」


「そうそう。仮にあなたが勝ったら、私があなたのお願いを一つ聞いてあげる」


「べ、別に。て、テンさんにお願いしたいことなんて……」


「いいのかなー。私に勝てば、彼と恋人になれる確率が急上昇するのになー」


「……………………え?」


「好きなんでしょ。彼のこと」


「……………………な、ななななな。そ、そそそそそんなこと」


「隠さなくていいって。バレバレなんだから。初めて会った時も思ったけど、あなたって表情に出やすいよね」


「あ、あう……」


「『彼に告白する手伝いをして』っていうお願いもできるよ。私、彼の情報とか結構知ってるしね。いい手助けができると思う」


「…………」


「どうかな?」


「…………」


「…………」


「…………」


「…………」


「や、やり……ます」


「ふふっ。そうこなくっちゃ」


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