先制攻撃
2021年は非通知着信が多い年となったらしい。
堂々と文句があるなら、彼のスマホに上司の電話なりホテルの公式電話からかければ良いのだ。
でも引け目があるから、堂々とはできない。
年は変わり、2022年。
彼と僕は今年、セレスホテルがねぶたプランを売り出す前に、先制パンチを食らわしてやろうと決めた。
というのも前年の記事はコロナ禍による影響とねぶた料金の話を二つ混ぜたことにより、読んで欲しい読者層に声が届いていなかった可能性があったからだ。コロナ禍全般のニュースを毛嫌いする人は一定数存在するので、今度は純粋にねぶた祭りにおける料金変動をテーマにすれば多くの方々にお読み頂けるのではないかと。
そして4本目記事を2022年3月18日に公開。
過去に集めていたデータを再編集し、誰もがお読み頂けるように工夫を凝らしたつもりだ。こんなにも高くなったねぶた料金はあくまで一部ホテルで起きたことであり、多くのホテルは開催の是非が判明するまで売り控えをしていた事実は伝えなければならない。正しい情報を出来る限り拡散されるように祈りながら……書いたのが思い出される。
加えて記事とは別にホテルレートの最新情報を各SNSで流し続けることにして、衆人環視の状況を作り出すことに努めた。これは全てのホテルに言えることだが、その客室料金自体の情報価値は、実は予約サイトに載ってるものとSNSや記事で流されたものとで意味合いは同じはずだ。なので仮に高い値段をつけていても、SNSや記事で取り上げられたからと言って本来怯える謂れはない。だってその価格設定に自信があるはずなのだから。堂々としていればいいはず。
青森市における多くのホテルの客室が去年に比べて格段と安くなった事実は、これまでお客様を軽視してきたことに他ならない。
堂々とできなかったセレスホテル青森は……一向に客室販売の開始をしなかった。その代わりに記事公開後、八戸中央と本八戸のレートに従来の販売価格に1万円ほど上乗せして売り上げを補おうとしていたが、果たしてそれの効力は如何いかに?
4月11日、突如として記事のアクセスが急上昇。同じころ彼に非通知着信あり。
4月13日、北奧新報より記事が公開。
"「青森県内宿泊ゼロ」“ねぶた料金”も災いか
間もなく「弘前さくらまつり」が始まる。某社の「全国『さくら県』イメージランキング」では、青森県は全国3位に入った。多くの人がやってくるのは確実だ。その人たちが桜以外の良さにも触れ、青森県の食材・料理や土産品などを購入してもらうためにも県内に宿泊してもらうことが重要だ。繁忙だけを理由に、料金を桁外れに上げる「ねぶた料金」は、やめにしなければならないのだ。"
おそらく彼の元職場に取材が入り、動揺した誰かかブロック長の大矢さんなのか不明ではあるが、文句の言いたさに非通知着信をしてきたのであろう。
でも彼は言う。『毎回思うのだけど、着信が来るのは午前中の9時から11時ぐらいで、職場でスマホは休憩中以外ずっとロッカーに入れっぱなしだから……出ようにも出れないのよね。』先方は昼休みを狙うとか、そういった知恵が働かないらしい。残念だ。
逆に言えばホテル業自体に”昼休みは12時~13時にとる”という概念が薄く、シフト制なので休憩時間もきっちり定まっているわけではない。なのでそういった”定時で休む会社がある”という発想に結びつかないのだろうか。
5月19日、再び非通知着信あり。
『これはまた新聞の取材を受けたな?』と受け取った僕と彼はネット上で探してみると、ネット紙面の経済舎で出ているではないか。要点としては……
"・ #青森ねぶた祭 は6日間の期間中、県GDPの1%弱を稼ぐ。
・地域経済への影響度が最も大きかったのは382億円の #ねぶた祭 で、域内経済効果指数は全国平均を7.4ポイント上回る8.7。
・ #ねぶた 集客数が285万人と突出する。"
おそらくは高値の訳を知らない経済舎が、純粋にその理由を知りたいがためにセレスホテルに取材申し入れをした可能性があるのではないか。もちろん断られただろうが。代わりに秋田で一番高いホテルが取材を受けていたのであった。
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