クレッシェンド
ガッッ!!と何かが削れるような音が空間に響く。ステラの『
レグルスが仰け反った隙を逃さず、ステラは追撃を加えていく。それに合わせるように、カナデの操る光球もレグルスへ攻撃を繰り出す。
「カナデ! 凄いよこれ、力がどんどん溢れてくる!」
カナデがステラへ使った『
この時点で、カナデが『
しかし、力を青天井に引き上げるような能力に、代償が無いなどという美味い話は存在しない。
「ガルルッ……。我ニ傷ヲ負ワセルトハ、小サキ者ニシテハ中々ニ屈強ナ戦士ダ。ダガ、ソノヨウナ無茶ナ強化、長クハ持ツマイ。ソウダロウ、指揮者ヨ」
突然指名されたカナデはその声に気圧されながらも、その問いに答える。
「そうね。『
「また無茶なことを!」
カナデにはそう零しながらも、ステラの攻撃の手は緩むことなく続く。その力が増幅しているとは言え、獅子の膂力と正面からかち合って勝つには体格差がありすぎる。そのままでは力負けして押し潰されてしまう為、ステラは迫り来る鋭爪を黒刃で上手くいなす事で攻撃を回避しながらレグルスに肉薄し、一撃を与えて離脱する。
このサイクルを繰り返す事によりステラは戦闘不能に陥る事無く、またレグルスへダメージを蓄積させる事に成功していたのだ。
これを実現させていたのは、カナデの『
ステラと光球によるの一撃と離脱のローテーションによって少なくない傷を負い、彼女を脅威と認めたレグルスは後方へと跳躍し距離を取る。
「グゥッ……。トハイエ少々戦士ヲ侮リ過ギタカ。良イダロウ、ソノ蛮勇ヲ認メ、後ロの指揮者諸共一撃ノモトニ葬リ去ッテヤロウ!」
「なんかマズイかもっ!」
レグルスの発言に何か仕掛けてくると察したステラは急いでカナデの元へ駆けていく。
「カナデ、レグルスは何か大きな攻撃を仕掛けてくると思う。ここが肝心だよ」
「分かったわ。でも、アンタの強化ももうすぐ切れるわよ。倒せるの?」
「やってみないと分からないけどやるしかないよ。レグルスの攻撃をやり過ごせたら、残ってる力全部使って一番デカいのをぶつける」
「間違っても外したりなんかしないでよね。命かかってるんだから」
作戦ともいえない作戦をまとめ、ステラとカナデはレグルスへと向き直る。そのレグルスは口を大きく開け、力を凝縮させているようだった。レグルスが距離を取ったのは、ステラの攻撃サイクルから逃れる為だけではなく、この溜め時間を確保する為でもあったのだ。凝縮された力は白く小さな光の塊となり、やがて大きく成長していく。
光の塊はステラ一人くらいなら軽く飲み込むようなサイズへ変貌し、放たれる。
「ステラ、アレは任せなさい。だからその後は、任せたわよ」
「潰エヨ」
瞬間、景色を全て塗りつぶすような光線が発射され、二人の視界は夥しい白に染まった。
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