第13話 カオス上等!ヤンキー1年生の日々(13)



「オメーが原因だろう、凛道蓮!」


「え?僕!?」


「オメーが、旗揚げの晩に、飛翔連合やその他のチームをハチャメチャにしただろう?」


「ええ!?ハチャメチャって、僕は別に~」


「そのおかげで、飛翔連合をまとめてた煉獄は解散に追い込まれた。同時に、飛翔連合狩りも始まった。」


「狩り?」


「今まで、飛翔連合のせいでやられてた小さいチームが、まとまって連合メンバーを襲うようになったんだ。」


「そうそう!あたしらも誘われたぜ、復讐ゲームに?」



「ええ!?ゲームにしちゃダメでしょう、それ!?」




ギョッとしながら言えば、困った顔でカンナさんと円城寺君は言う。




「あたしらに言われてもな~先にゲームで遊んだのは、飛翔連合だぜ?」


「先に・・・?」


「自分達が一番だって見せしめを先にしてたんだよ!」


「どういうこと??」


「それも教えてもらってないのかよ~!?」




聞き返せば、くそっ!と言いながらも円城寺君は話してくれた。




「龍星軍解散後の最強組織ってことで、いきがってやがったんだ。調子に乗って、なんもしてねぇーのに、自分達より小さいチームを捕まえては、飛翔連合の強さを見せつけてやがったんだ!けっきょくは、その龍星軍4代目総長にボロ負けしたけどな・・・!?」


「つまり・・・相手にした嫌なことが、自分に返ってきてるって段階なんですね・・・?」


「そーそー!間違っても、同情するなよ、凛!?あいつらが、自分でまいた種だからよ!?」


「・・・・・そうですね。」




カンナさんの言葉にうなずけば、円城寺君が言った。




「今は警察の介入で、凛道、オメーが飛翔連合に狙われることはねぇ。」


「え!?僕、またお礼参りされるんですか!?」


「5分5分(ごぶごぶ)だ。もっとも、それまでにオメーが無事ならって話だ・・・」


「無事なら?」




あいまいな表現に、背筋がゾクっとする。





「あの・・・・・円城寺君、カンナさん・・・今日いらした本題はなんですか?」





自分のことだから、確かめなくちゃいけない。


確かめようと思って聞いたら。







「凛が蛇の目に、狙われてるから気をつけろってことだ。」



「瑞希お兄ちゃん!?」








私の質問に、それまで黙っていた人が答えた。






「蛇の目が・・・僕を狙ってるって・・・・!?」


「飛翔連合の新入りで、他のチームからのお礼参りも少ない蛇の目からすれば、凛を倒すことで、ここでのナンバーワンヤンキーの暴走族になれるからだ。」


「えええ!?」



(どういうルール!?)




〔★迷惑な基準だった★〕





とんでもないカミングアウトに、食欲が失せる。




「そんな・・・僕を倒せば、一番になれるとか・・・・困りますよ!?」


「こうなるのは、総長になるって時点でわかってただろう、凛?」


「そうですけど、瑞希お兄ちゃん・・・・」


「だったら、今さら泣き入れてんじゃねぇぞ!?とりあえず、当面は蛇の目に気をつけろよ、凛。車に押し込まれて、さらわれる可能性が高いからな・・・!」



「ほぼ誘拐じゃないですか!?」




〔★喧嘩の要素が見えない★〕





「安心しろ、凛。『蛇の目から』の攻撃は、長くて半月だ。それを過ぎれば大丈夫だ。」


「そうですか・・・それなら、よかっ―――――――よくないです!瑞希お兄ちゃん今、『蛇の目から』と言いましたよね!?その口ぶりだとまるで~」


「あははは・・・・さすが凛、察しが良いな?」




私からの質問に、作り笑いで彼は言う。





「警察のおかげで、飛翔連合も過ぎには動けない。早く動けて半月・・・その後は、ちょっとサバイバルな生活になるかもしれねぇーけど、いざとなればなんとかなるからよ!あんまり深刻になるなよ?」


「深刻になりますよ、それ!?」




わかってはいたけど!



暴走族として喧嘩をしてから、覚悟はしていたけど!





「喧嘩の覚悟はしてましたが、誘拐は聞いてないですよー!?」




漢なら、拳で語り合えよ!!





〔★それもどうだ★〕





「聞いてなかったって・・・・真田先輩?」


「あ~・・・・さらわれるかもしれねぇって話、してなかったかも・・・ごめん、凛!」


「え、ええ!?いや、謝らないでください、瑞希お兄ちゃん!そんな、何を言っ~」


「何言ってんすか、瑞希さん!?悪いのは凛道で、瑞希さんが気にすることねぇーっスよ!手段を選ばねぇー敵がいるってことを学ばせるいい機会っすよ!」


「わはははは!凛助は軽いからな、連れ出すのが楽だろう!」


「ダメよ、ダメダメ~!凛ちゃんをさらっていいのはあたしだけよぉ~!きゃー!なんちゃってー!」


「どちらにせよ、誘拐の可能性はある。凛道、車でさらわれた際の対処方法を教えてやろう。」


「いいね、伊織~凛たん、助手席と後部座席・・・まぁ後部座席だとは思うけど・・・無理やり乗せられた時の攻撃方法と、抵抗の仕方はね~」


「あ、待て烈司!教えるなら、俺が凛に教える!凛は昔の俺にそっくりだから、体験談を離した方が~!」




「あははは・・・・結論から言うと、僕は誘拐される方向で『決まり』なんですね・・・・?」




〔★決定事項だった★〕





熱心に説明してくれる瑞希お兄ちゃん達を見て思う。


ヤンキーは誘拐も得意なんだ、と。





〔★それも個人差がある★〕





「おい、暗い顔するなよ、凛!あたしが守ってやっからよ!」


「カンナさん・・・・」


「オメーには、いろいろ借りがあるからな!今度はあたしを頼りなよ!」


「でも・・・・友達に迷惑は・・・」


「かけろ!あたしら、もうツレだぞ!?ツレに迷惑かけるぐれーの親しみもてや!?」





そう言って、バシッと背中を叩かれる。


少し力がきつめだったけど、不安が飛び出すようで気持ちよかった。






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