第12話 カオス上等!ヤンキー1年生の日々(12)




「そう思わないと・・・いけないほどの相手ですか?」


「だから、うちの頭も連れて来たんだぜ、凛?」


「カンナさん?」



「皇助!!」





カンナさんの声の後で、瑞希お兄ちゃんが百鬼を呼んだ。




「わははは♪」


「痛って!?」




その声に素早く反応すると、ブリッジを仕掛けていた円城寺君を離す野獣。


それで、ごろんと円城寺君が転がった。




〔★大河は解放された★〕





「う!?あいててて・・・・!」


「わっ、大丈夫!?円城寺君!?」


「じゃかましいわ、このくそボケっ!オメーに心配されるほど、俺はヤワじゃねぇっ!!」


「わるかったな、大河。平気か?」


「瑞希さん!?いやいや、平気っすよ、そんなぁ!あははははは!」



「え!?二重人格!?」




あまりの変わり身の早さに、ギョッとする。





(私が聞いたら、ゴミでも見る目をしたのに、瑞希お兄ちゃんへは宝石を見るような目を向けるとは・・・・!)





〔★わかりやすい差だ★〕





「俺がタフなのは、瑞希さんも知ってるでしょう~?」


「ならいいけどよ。」




ボロボロだったけど、瑞希お兄ちゃんの声掛けで元気になった円城寺君。


それにカンナさんも声をかける。




「イケんのかよ、大河~?」


「ああ?俺を誰だと思ってんだよ!?つーか、べらべら勝手に話してんじゃねぇーよ!」


「だったら、こっからオメーが話せよ、大河?いちいち凛に、八つ当たりしてんじゃねぇーぞ!」


「くっ・・・黙ってろ!」




カンナさんを怒鳴ると、肩や腕を鳴らしてから、円城寺君が私を見ながら言った。




「今までの話を聞いてわかってると思うが、蛇の目は外様組。早い話が、よそ者だ。」


「転校生みたいなものですか?」


「てん・・・!?ま、まぁそんなとこか。他所から流れてきて、SHIELDの口利きで飛翔連盟に入ったんだよ。」


「SHIELDが引き入れたんですか?」


「世間はそう見てっけど、俺らの見解は違う。」


「何が違うんですか?」




聞き返せば、キツイ目をさらにキツくしながら言う。




「SHIELDの先代が、蛇の目の先代の子分だったんだ。」


「子分!?」


「凛道、オメーが瑞希さんと神社で会ったSHIELDの4代目は覚えてるか?」


「ああ、ブサメンですか?」


「ぶっ!?ブサメンって・・・凛・・・・!」


「くっくっ・・・・高千穂、笑うな・・・真面目な話だ・・・!」


「ぶさ・・・・きゃはははははは!やだぁ―凛ちゃん!」


「子供は正直だな・・・くくく!」


「わはははははは!見た目も中身も不細工だったな~」


「はははは!凛たん最高~」


「え?そ、そうですか?」



「照れるな凛道!あと、カンナも瑞希さん達も笑うな!マジな話だぞ!」




〔★部屋に笑い声が戻った★〕





「ふざけてんじゃねぇぞ、凛道!真面目に聞け!」


「ごめん、円城寺君。でも、瑞希お兄ちゃんも喜んでくれたから~」


「別のことで喜ばせろ!オメーが会った4代目は、あの通り、自分に媚びを売るやつしか相手にしない!そんな中から選んだのが、先代の5代目だ!そいつが蛇の目の手下になり下がってんだよ!」


「うわ~ロクでもない予感しかしない~」


「大当たりだな!その5代目は人に取り入るのは上手いが、利用されやすいオツムの持ち主でもあってな・・・・!蛇の目の先代が、そこに目をつけたんだ!」


「え?どうしたの?」


「当時、蛇の目は東京から流れてきた『何でもありのチーム』だった。」


「ああ、転校してきたんだね?」


「そんな可愛いもんじゃねぇーよ!要は、島流しの連中だ!」


「島流し!?」




時代劇ならともかく、現代にはふさわしくないネーミング。


嫌な予感が増す。




「それって・・・・」


「ああ!・・・手におえなくなったり、追い出されたり、ヤベーことして逃げてきたって奴らが組織してんだよ。」



(やっぱり・・・・)





〔★ロクでもなかった★〕




「手におえないって・・・そんなにひどい子達ばっかりなの?」


「そうだよ!」


「そうなの、瑞希お兄ちゃん?」


「どうなんだ、伊織?」


「どういう質問の仕方だ?」




不安になって聞けば、聞いた相手も、別の人に聞く。


これで、最終的に回答をすることになった人が言った。




「円城寺の話で間違いはない。SHIELDの5代目がこっちに流れて来たばかりの蛇の目の幹部に助けられた。ということだが、実際は『美人局(つつもたせ)』でハメたというからな?」


「つつもたせ??」


「結婚してる夫婦とかが~『あたし独身!』って言って、独り身の男とデートした後で、女の旦那さんが出てきて~『俺の女に手を出したから、金を払え!』って言って詐欺を働くようなことをいうのよぉ~♪」


「ええ!?完全にだましてるじゃないですか?」


「そうだ。そのやり方で騙されたSHIELDの味方になり、子分にした上で、飛翔連合に入ったんだ。」



「何でそこまでして飛翔連合に・・・?」



(人をみたら、いきなりカツアゲしたり、攻撃するような組織のどこが良いの??)






「ニラミがきくからだ。」


「円城寺君。」





私の疑問に爆裂弾のリーダーが答えてくれた。




「この辺りで一番となれば、龍星軍解散後は飛翔連合だった。飛翔連合に入れば、暴走活動するのに安全だったりもするからな。あそこをまとめてる煉獄が、融通をきかせてくれるからな。飛翔連合は、龍星軍の後釜として、ここら辺で無茶してたからよ。けど、それも過去の話だ。」



「え?どうして??」


「どうしてって・・・!!」





首を傾げながら聞けば、大きく息を吐いた円城寺君が言った。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る