第7話 カオス上等!ヤンキー1年生の日々(7)
「すごいのは、本棚だけじゃないんだぜ、凛?そうだろう、オメーら~!?」
「「「「おう。」」」」
「え?」
瑞希お兄ちゃんの問いかけに、先輩方が声をそろえて答える。
「凛たん、すごいのは本棚だけじゃないぞ~?」
「烈司さん?」
「この部屋のテレビ、ブルーレイとか3Dとか使えるから。パソコンも、念のため用意してっから。音楽も、ベットサイドにあるのがそうだから、自由に使いなよ~?」
その言葉通り、充実したラインナップでそろっていた。
「わぁ~パソコンもテレビも、最新型!?烈司さん、すごーい!」
〔★凛のテンションが上がった★〕
「あらあら、凛ちゃん♪すごいのは、こっちもよぉ~」
「モニカちゃん?」
「このクローゼット、モニカちゃん一押しの使いやすさと、スペースの広さがある長持ちタイプよん!あとね~お洋服着た後で、身だしなみチェックできるように~ほら、全身が映る鏡も用意したの~使わない時は、この可愛いカバーをかけてね~!?」
彼女の言う通り、開いたクローゼットは乙女心をくすぐる作りだった。
「わぁ~すっごくオシャレなクローゼット!モニカちゃんん、すごーい!」
〔★凛のテンションがまた上がった★〕
「凛道、本当にすごいのは、これみたいに良い素材を使っている場合だ。」
「獅子島さん?」
「今は食事が置かれているが、本来はノートや教材を置く机・・・お前の身長は把握している。その情報をもとに用意した机だ。角は丸くなっているから、ドジなお前でも怪我はせんだろう。あかりは、LED私用で目にも優しい。ついでに、部屋の明かりも同じものだ。」
言われてみれば、木のぬくもりと優しい光の良さが伝わってくるようだった。
「わぁ~これなら怪我もしないし、LEDも取り付け感嘆タイプだ!獅子島さん、すごーい!」
〔★凛のテンションがまたまた上がった★〕
「わははははは!凛助!オメーチビだから、良いベットを用意してやったぞ!?」
「百鬼さん?」
「俺様お勧めの安眠ベットだ!女からも評判が良いウォーターベットだから、寝心地抜群だぜ!?ベットの下は収納機能がついてるからよ!エロ本入れるのに使えや!わはははははははは!!」
「いえ、靴下を入れるのに使います。」
〔★凛のテンションが下がった★〕
〔★今まで上がっていた分もふくめて下がった★〕
「おい!?なんで俺様のだけ、リアクションが薄いんだ!?」
「いや、そんなことないですよ。百鬼さん、すごーい。」
(そういう無神経なことを言えるところがすごーい。)
なんで、私にそういう話するのよ!?
思春期を察しなさいよ!
デリカシー0男っ!
〔★思春期だからしたのだろう★〕
「おいおい、凛助!オメー男なら、エロに興味あるだろう!?ここは素直になれよぉ~!?」
「っ!せ、性欲の問題ではなくて、話す場面を考えて下さいというのです!」
「場面だぁー!?」
「皇助!」
私の言葉で首を傾げた百鬼を、瑞希お兄ちゃんが呼ぶ。
「あんだと、瑞希―!?」
「ここにいるのは、野郎ばっかじゃないだろう・・・!?」
そう言って、チラチラと視線を送った先にいたのは・・・
(カンナさん!)
居心地悪そうな顔で、私達を見ているカンナさんがいた。
(ああ、なるほど!設定上で、ここに思春期女子はカンナさんだけだもんね。)
エッチな話はNGでしょう。
「おおっ!なんだオメーそういうことか~!?わはははは!」
それに気づいた百鬼が、手を叩いて笑った。
そして、私の頭をポンポンと押しながら言った。
「そうならそうと言えよ、凛助!」
「え!?な、なにがです、百鬼さ・・・!?」
「高千穂がいるから、照れてんだなオメー!?」
「ええ!?いや、僕は~」
「わははははは!オメー思春期だな、凛助!じゃあ、エロ本の隠し場所は別のところにしろよ~!?わーはっはっはっ!」
「ああ、はいはい、うん。ソウデスネー」
納得しながら笑う野獣を見て思う。
エロ本と見せかけて、英語の問題中をベットの下の収納スペースに入れてやろう、と。
〔★皇助からの好意、凛は真顔でスルーした★〕
「オッホン!思春期問題は後にして~凛!部屋は気に入ったか?」
そう言って、咳払いをしながら話題を変えてくれたのは私の好きな人。
「サプライズで下からよ、凛の好みも聞かないで揃えたから~・・・嫌じゃないか?」
「そんな!とんでもないです!」
私の様子をうかがいながら聞く瑞希お兄ちゃんに、私は首を横に振りながら言った。
「すっごく気に入りました!なによりも、僕のために、ここまで立派な部屋にして頂いて・・・嬉しいです!」
「そっか・・・凛が気に入ったんならよかったぜ。」
「はい!つきましては、部屋のセッティングにおいくらかかったのか~・・・・その、分割払いでいいでしょうか?」
「はあ!?」
「凛たん!?」
「凛ちゃん!?」
「凛道お前・・・」
「りーん助ぇ~・・・!」
「なんで金の話になるんだ!?」
〔★凛からの支払い確認、ゴレンジャーは戸惑っている★〕
「ばか!なんてこと言うんだ!?凛から金なんて、とらねぇーよ!」
「ええ!?でも・・・」
これだけしてもらったのなら、いくらか包んで出さなければいけない・・・
烈司さんからパソコンの紹介を受けたあたりから、そう思っていたのに―――
「タダなんて、瑞希お兄ちゃん達に無理させてるようで・・・」
「そんなことねぇーよ。」
そんな私に、瑞希お兄ちゃんは首を横に振りながら言った。
「カッコはつけてるけど、無理したとかはねぇーよ。俺もこいつらも、凛が好きだからしてるだけって話だ。」
「僕を・・・・!?」
瑞希お兄ちゃんが僕を・・・!?
(好き・・・・)
今まで、何度も聞いてるセリフだけど・・・・
(何回聞いても嬉しい・・・・)
好きって言われるのも、言うのも。
「そうそう。素直で優しい凛たんに、好きでしてることだからよ?」
「烈司さん。」
「可愛い凛ちゃんのためなら、あたしの魂燃やしちゃうわ!」
「モニカちゃん。」
「人間観察もよかろう。凛道、感謝しろ。」
「獅子島さん。」
「わはははははは!」
「百鬼さん・・・」
(野獣は、何言ってるかわからないけど。)
なんとなく、全員が何を言おうとしているかわかった。
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