第4話 カオス上等!ヤンキー1年生の日々(4)




飯塚のことはともかく、転校生か。





(この季節外れに・・・めずらしい。)





両親が選んだ学校は、私の学力よりワンランク下のところ。


だからと言って、世間を気にする2人が、適当な場所なんて選ばない。




「きっと、どこかの有名人の子供だろうね~あるいは、お金持ち?」




そう、それなりにステータスのある学校。


いろんな業界の子供達が通う学校でもあった。


つまり、お金持ちの私立高校らしい場所である。






「そ、そうですか・・・すごいですね。」


「だよねー?俺の彼女も有名人の娘だしさ~時々、テレビの中と外にいるのか、区別がつかなくなるわ~」


「あははは・・・・そうですね~」



(つーか、お前の彼女に見せてもらえよ、宿題!?)





イラッとしつつも、笑顔であいづちを打つ。


ほどなくして、チャイムが鳴って教師が入ってくる。





「お前ら―!席につけ!」


「あ、ヤベ!先公来たわ!またね、菅原さん!」


「お気遣いなく・・・・!」





迷惑なイケメンに笑顔で返し、小さくため息をつく。






(あーあ・・・朝からついてないよ。早く、放課後にならないかなぁ~)






放課後になれば、瑞希お兄ちゃんに会える。


しかも今日は、お父さんが出張で家にいない。


お母さんも実家に帰ってるので、明後日まで帰ってこなーい!






(鬼の居ぬ間になんとやらよぉ~!)






瑞希お兄ちゃんからもらった携帯でメールしたら、『今日は休みだから、絶対来い!』って誘われたし~♪







(すぐ行くから待っててね!私の王子様♪)






彼を思い浮かべて、元気を出す。


瑞希お兄ちゃんを考えて、優しい気持ちになる。



だから、気づけなかった。



私を見つめるアブナイ視線に。







待ちに待った放課後。


人に見られないように、尾行とかにも気をつけて、秘密のロッカーで着替えてから、お店に直行した。





「瑞希お兄ちゃ~ん、来ましたぁ!!」




(瑞希お兄ちゃんからのメール通り、ちゃんと来ましたよ!)





そんな思いで、彼を指名して呼んだんだけど。






「よく来たな、この野郎・・・・!!」


「わー!?円城寺君!?」







待っていたのは、メンチを切る男子。


彼は円城寺大河君。


不良グループ『爆裂弾』のリーダー。


基本、私といる時はいつも怒ってます。


そんな彼が、私服姿で私の前に仁王立ちしていた。




〔★大河が現れた!機嫌が悪そうだ!★〕





「なんでいるの!?」


「いちゃ悪いかボケ!?」


「いや、そういうわけじゃぁ~」


「心配しなくても、あたしもいるぞ~」


「え!?カンナさん!?」





そう言ってヒラヒラと手を振るのは、友達のカンナさん。


円城寺君と同じく、不良グループ『爆裂弾』所属のガールズヤンキー。


凛道蓮になって初めての友達で、私に好意的な子です。


そんな彼女が、私服姿でカウンター席に腰かけていた。




〔★カンナが現れた!機嫌はよさそうだ!★〕






「どうしたんですか、2人共!?」




予想していなかった2人がいたことで、びっくりする。


心配になった。





(爆裂弾のメンバーが来てるってことは、何かトラブル発生!?)





思い返してみれば、彼女達と一緒の時は大変な目にあっている。


ロクなことがなかった。





〔★それは向こうも同じである★〕





気を引き締めながら聞けば、ヘラッとした顔でカンナさんが言った。




「緊張すんなよ、凛!取ってくおってわけじゃねぇーんだよ。遊びに来たんだって!」


「え!?遊びに来たの!?」


「おう!あたしら友達だろう?」


「う、うん・・・・そうだったね。



(そうだったのかぁ~!)





カンナさんの言葉に、トラブルじゃなくてよかったと思う。


同時に、友達は良い者だと感じた。


でも、そこで1つの疑問も生まれた。






「ということは・・・・・・・円城寺君も、僕のところに遊びに来てくれたの?」


「誰が友達だ、馬鹿野郎!」





私の問いに、予想通りのキレ方で怒鳴る爆裂弾のリーダー。






「俺とオメーは『ライバル』なんだ!なれ合いなんかするかよ!?」



(『ライバル』なんだ・・・・)






〔★『どうでもいいやつ』から昇格していた★〕




格上げされたんだと思っていたら、舌打ちしながら円城寺君は言う。




「カンナは遊びだが、俺は親切をしに来た!」


「じゃあ、瑞希お兄ちゃんと二人っきりになりたいので、親切をもって帰ってください。」


「ストレートに言いやがったな、この野郎!?」


「あ、カンナさんは遊んでからでいいですよ。ババ抜きと大富豪、どっちがいい?」


「そういう遊ぶかよ!?ウノはねぇーのか!?」


「オメーも応えるな、カンナ!帰らんぞ、俺は帰らねぇ!居座ってやる~!」


「どうでもいいですよ。それより瑞希お兄ちゃんは?」



「みーちゃんは、3階よん♪」





そんな声と一緒に、体がキッチン側に引っ張られた。






「いらっしゃーい、凛ちゃん!」



チュウ♪




「モ、モニカちゃん!?」





そう言って、私の頬にチューしながら現れたのは先輩のオネェさん。


見た目は男だけど、中身は女の子の朝霧モニカちゃんだった。




「凛ちゃん、いいタイミングで来たわねぇ~!?ご飯の用意できてるわよー!?」


「ちょ、朝霧先輩!?」


「なにしてんすか、モニカ先輩!?」


「そうですよ。ご飯って、どうしたんですか?」



「「そっちじゃねぇーだろう!?」」




私に向かってツッコミをする円城寺君とカンナさん。



「おい、凛!なんでモニカ先輩がオメーにチューすんだよ!?まさか、変な関係じゃないだろうな!?」


「やーん、焼いてるの~?高千穂ちゃーん?残念だけど、高千穂ちゃんの予想通り~あたしと凛ちゃんは~」


「無関係です。危なくもない先輩後輩の綺麗な関係です。」


「凛ちゃん!?」



〔★凛は真顔で否定した★〕




「何でそんな意地悪言うのォ~!?モニカちゃんが嫌なの!?」


「嫌じゃないです。」


「じゃあ、もう一回ちゅーを~!」


「するのは、ダメです。瑞希お兄ちゃんも、動物への接触は一回のあいさつにつき、一回までと言われてますから。」


「「動物!?」」


「ちょ、ええ!?凛ちゃん、あたしを動物扱い!?」


「逆です。僕が触られてる側ですから。」



「「お前かよ!?」」




〔★大河&カンナのツッコミ、動物は凛だった★〕





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