第22話

どこだここは。


目が覚めるとそこは、、、目が覚めたら異世界とかだったらいいのに。⋯⋯ここ異世界だわ。


雰囲気はジメジメしており、肌寒い。辺りは暗くうっすらと見える壁はゴツゴツとした岩肌。微かに見える光、出入り口だろうか。


今いる場所は洞窟の中。まあ、なんとなくだけど。おとぎ話のドラゴンってよく山岳の洞窟に巣とか作るし。でもどうやってここまで来たか分からない。来た道が分からなければ、あの村に帰ることも出来ない。


整理しょう。ここに来るまでの記憶。まず俺が贄となった。ブルーめ、、、それは一旦置いておこう。そしてドラゴンに連れ去られた。そして運ばれてる途中に見ないようにしていた地上を、遥か彼方上空から見下ろしたために俺は気を失った。我ながら情けない。チビらなかっただけマシだと思うことにしよう。


整理したけどなんもないな。あ、でもあのドラゴン山に向かってたな。やっぱりここは山岳の洞窟とかか?でもドラゴンっで城を乗っ取るって聞きたことあるな。でも山に城はないか。


「⋯⋯あれ、これ池か?」


魚である彼が動けるのは基本水中。まあ、ヒレを上手く使えばゴツゴツした岩肌の窪みに出来た手のひらサイズの池だった。


「起きたのか?」


岩陰に白のワンピースを着た少女が1人、ちょこんと座り込んでいた。幼女という方が適切な見た目だ。よく見ると、角と鱗の付いた尻尾が見える。


「目を中々覚まさないのでな、死んだと思っておった。生きていたのだな」


どこかで見た眼光。紫がかった髪、隠しきれない犬歯。見た目の幼さとは逆に強い威圧を感じる。


「おま、お前がドラゴンなのか?」


「うむ、我が名はパープル。七大厄災が一つ、【怒る雷霆の化身・紫雷龍】である」


「⋯⋯⋯」


「どうした、主よ」


「⋯⋯オイシクナイヨ、タベネイデ」


「⋯⋯そうであったな。安心せえ、主を贄として扱う気は無い」


パープルと名乗った幼女は申し訳なさそうに話す。


「元々村へは贄ではなく、暇潰ししてくれる相手を探しに行っただけでな。そしたら古くからの伝承か、何かは分からないが。贄を用意すると言われて、恐れらてしまった」


「そっか。いや、でもなんか平屋をぶっ壊しながら、ノリノリで贄よこせって言ってなかったけ?俺の中の回想では結構怖いぞお前」


「恐れられていようが、友達だろうが贄だろうが暇潰しなればそれで良い、この今のようにな」


「何だか、悪そうに見えないが?お前本当に厄災なのか?」


「厄災だ。事実、我は王国を滅ぼすという大罪を犯した」


それは確かに大罪だな。


「でも、何か理由があったんだろ?」


王国を滅ぼす程だ、きっとよっぽどの理由が―。


「――兵士が我のことを、トカゲってバカにしたのだ!!!」


「ええええぇ、、、、」


「我も、ワイバーンやヒドラなどであったら、言われても我も我慢することも可能であった、、かもしれない。ただ、トカゲは我慢ならんかった。だからその兵士に言ってやったのだ、「我はトカゲなのではないわ馬鹿者!アホ!ポンコツ!」とな」


「こどもだ⋯⋯」


「すると、兵士長が出てきて、「私の兵士を馬鹿するな!このトカゲの化け物めが!」とまたしても我を愚弄しおったのだ」


「兵士長もこどもだ⋯⋯」


「今度は兵士長に言ってやったのだ「馬鹿者、アホ、トンチンカン」とな」


「悪口のレパートリーが貧弱すぎる⋯⋯こどもだ⋯⋯」


「そんなこんな、兵士たちと言い争いをしていたら国王が現れてな、「兵士たちよ、何をしておる、お前達が争う相手はこのドラゴンでは無いであろう」とな。」


「ようやくまともな大人が⋯⋯」


「だが、「お言葉ですが国王陛下、このドラゴンは、我々兵士等のことを大馬鹿者、アホ、トンチンカンと侮辱行為を行ったのです」と言い、国王は「我が兵士らをトンチンカンとは許せぬ!このバカドラゴン!アホ竜!びちゃびちゃのう〇こ!! 」と国王までもが我を馬鹿にして⋯⋯だから王国を滅ぼしてやったのだ」


「登場キャラ全てこども⋯⋯なんなら国王が1番酷い有様」


【憤怒の竜】ってただ、沸点の低いこども

子様ドラゴンなのでは。

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